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3年ぶり、十数度目の谷川岳である。車でのアクセスも良いが、駅から直接登れるので今回同様、電車を使うことも多い。 谷川岳の最寄駅である土合駅は日本一の“モグラ駅”と呼ばれ、下り線ホームから改札口まで標高差が70m以上ある。電車を降るといきなり462段の階段上りを強いられる。残暑厳しい時期ながら、ホームの空気はひんやりとしている。とはいえ階段を登るに従い、徐々に気温も上がり、改札口を出るまでにひと汗かいてしまう。 |
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明日は10時間のロングランとはいえ、今日は肩ノ小屋泊まり、しかもロープウエイで天神平まで運んでもらう。谷川岳までは何度も歩いているし、楽々のんびりと思いきや、快晴の炎天下、軽い熱中症になっていたらしくバテバテのバテ、小屋に着いた時には疲労困憊、明日はこのまま下山もやむなしと秘かに覚悟する。 | 日本一の“モグラ駅” |
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天神尾根から谷川岳を望む |
天神尾根から万太郎山を望む |
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最初のクサリ場 |
オジカ沢ノ頭 |
一夜明け濃霧と強風の中 5:40 肩の小屋出発。本日は10時間の長丁場、展望は利かないが、カンカン照りの昨日よりましだろうと、自らを慰める。 小屋を出ると緩やかとはいえけっこう下る、脚慣らしには良いが登り返しを思うとちょっと嫌気する。中ゴー尾根への分岐を左に分けると最初のクサリ場、登り切るとオジカ沢ノ頭、小屋から1時間ほどだ。相変わらず、ガスで展望は利かない。 |
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視界数十m、波板鉄板、カマボコ形の避難小屋を過ぎしばらく行くと、上州側のガスが消え、越後との国境稜線が一望できる。小笹の中の稜線に小障子ノ頭の道標を見る。 | 濃霧の中、本日最初の避難小屋 |
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上州・越後の国境稜線 |
小障子ノ頭 |
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前方に大障子避難小屋 |
大障子ノ頭との鞍部まで下ると前方に大障子避難小屋が見える。遠望は利かないものの快適な尾根歩きだ。とはいえ、大障子ノ頭の登り返しはけっこうきつい、小さなアップダウンを繰り返し、さらなる急坂を登り土樽への路を右に分けるとほどなく万太郎山山頂に着いた。ここも真っ白け、先は長いと早々に山頂を後にする。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
大障子ノ頭 |
万太郎山山頂 |
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ガスはますます濃くなり視界は10m前後、万太郎山から急坂を下って下ってまた下る。避難小屋を通過するとほどなく毛越乗越(越路)、ここから標高差500m近い登り返し、今度は急坂を登って登ってまた登る、花も景色もあったもんじゃない、黙々とひたすら登る、曇天なのが有り難い。万太郎山頂から2時間、やっとピークと思ったらエビス大黒ノ頭、この付近は痩せ尾根の岩稜帯、名うての難所とのことだが濃霧のせいでたいして緊張することもなく通過。 | 越路避難小屋 |
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エビス大黒ノ頭〜仙ノ倉山鞍部の避難小屋 |
エビス大黒ノ頭から下った鞍部に避難小屋、そこからまたまた急坂の登り返しだ。やがて傾斜が緩み、草原状の路となるとほどなく谷川連峰中の最高峰・仙ノ倉山の山頂である。相変わらず濃いガスの中、集合写真がうまく撮れない、何度か撮りなおして山頂を後にする。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
傾斜が緩み草原状となると山頂は近い |
仙ノ倉山山頂 |
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平標山への路は遊歩道と云えるほど良く整備されている。傾斜はゆるやか、本コースの山場を越えた安堵感からルンルン気分のゆとりの歩みとなる。ふと、「肩ノ小屋ヨリ10000m 東芝ランプ」と企業名が書かれた道標が目に入る。聞くところによると、肩ノ小屋より500m
or 1000mごとに設けられていたそうだが気づかなかった。昭和25年、導標の誤りにまどわされ東芝山岳会など6人中5人が遭難死したのを契機に設けられたそうである。 東芝ランプ道標:右写真の右隅 |
仙ノ倉山を後にして |
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草紅葉の中の木道 |
ガスも次第に薄まり、目の前にゆったりとした起伏の草原が広がる。草紅葉の中に木道が敷かれ遊歩道風に整備された道が延びている。フィナーレを楽しむには最高の舞台だが一転、平標山山頂は多くのハイカーで賑わう大喧騒、今朝から誰にも会わなかった静かな山行の余韻に浸りたいと集合写真も撮らずすぐに山頂を後にする。 幅広の木製階段を下り、平標山の家経由で、肩の小屋からちょうど10時間、登山口のバス停にたどり着いた。 |
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朝から誰にも会わない静かな山行のフィナーレ |
大賑わいの平標山山頂 |
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