土合駅
【谷川岳】蓬峠から谷川岳縦走
シリーズ | 日本百名山 前 次 | |
関東百名山 前 次 | ||
山 名 | 茂倉岳、一ノ倉岳、谷川岳 | |
山行日 | 2008年10月18−19日(土・日) | |
参加者 | 5名 | |
歩行時間 | 18日:4時間10分(除く昼食休憩) 19日:9時間00分(除く昼食休憩) |
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コース | 土合駅→新道→見張所→白樺避難小屋→蓬ヒュッテ(泊)→茂倉岳→谷川岳→西黒尾根→巌剛新道→土合駅 |
行 程 | |||
場 所 | 着時刻 | 発時刻 | |
土合駅 | 9:59 | 10:25 | |
新道分岐(土合橋) | 10:32 | − | |
芝倉沢(昼食) | 11:55 | 12:25 | |
白樺避難小屋 | 14:03 | − | |
蓬ヒュッテ(泊) | 15:05 | 5:50 | |
武能岳 | 6:33 | 6:39 | |
茂倉岳 | 8:30 | 8:40 | |
一ノ倉岳 | 9:10 | 9:15 | |
谷川岳(オキノ耳) | 11:05 | 11:35 | |
ガレ沢の頭 | 12:40 | 12:50 | |
第一見晴台 | 13:55 | 14:00 | |
旧国道 | 14:43 | − | |
土合駅 | 15:20 | 15:32 |
今日のメンバー5人が、大宮駅発 7:45 の特急水上1号に集結する。水上駅で乗り換え土合駅着 9:59 ホームから一気上りの462段を含め、地上に出るまでに500段ほどの階段を上らねばならない。日本一のモグラ駅だ。
駅前の車道をロープウエイ駅に向かって10分ほど行き土合橋を渡るとすぐに蓬峠への新道が右に分岐する。角の道標に蓬峠 9.5km とある。少し行くとマイクロバスの周辺で20人ほどのハイカーが準備体操をしている。聞くところによると、われわれと同じ蓬ヒュッテに泊まって、明日、朝日岳から白毛門へと巡るそうだ。
湯桧曽川沿いの新道
車道分岐から20分ほどで林道終点、10台ほどの車が停められるほどのスペースがある。車止め脇をすり抜け湯桧曽川沿いの新道を行く。マチガ沢、一ノ倉沢、幽ノ沢と谷川岳東面の険谷のすそを次々とからめて行く。旧道からこれらの沢巡りをし終えた何人ものハイカーとすれ違う。
一ノ倉沢を渡る
芝倉沢、背後に堅炭岩峰群
新道と旧道の合流地点に建つ芝倉沢見張所前を過ぎ、少し下った芝倉沢で昼食とする。沢の上流、紅葉に彩られた山裾の先に屹立する堅炭岩峰群を仰ぎ見ながらの食事は格別だ。しばらくすると先の20人ほどのハイカーが通り過ぎていった。
湯桧曽川右岸を遡る
芝倉沢を後にして湯桧曽川右岸を遡っていく。相変わらず路は平坦、武能沢を渡り樹間を縫って山腹に取り付くとようやくジグザグの本格的な登りとなる。
しばらく展望のない苦しい登りが続く。送電線を2度くぐる辺りから展望が開け振り返り見ると、湯桧曽川を挟んだ対岸に笠ヶ岳、朝日岳が聳え、右側(北側)間近の紅葉に覆われた鉄砲尾根は秋の日を受け輝いている。
白樺避難小屋
白樺避難小屋の先で清水峠への路を右に分け、山襞を縫うように登りが続く。右に方向を変えた辺りからガレ場の急登となる。登りきると笹原の気持ちのよい路となり、武能岳から流れ落ちる沢の水場に出る。蓬ヒュッテには水場がないとのことであり、ここで水を補給する。
紅葉に覆われた鉄砲尾根越に清水峠を望む
笹原の道がゆるやかになるとほどなく武能岳からの縦走路に合流する。前方には黄色に塗られた蓬ヒュッテが建っている。15:05 ヒュッテ到着。入口に“お分けする水はありません。水場10分 土たる方面 蓬仙人”の看板がぶら下がっている。
蓬峠に建つ小さなヒュッテ
山襞を縫う登山路、ツアーの20人が見える
定員20名の小さな山小屋、今日は28名が泊まるという。われわれと何度か前後した20名のツアー、当初の予約は9名だったが20名に増えたため超満員となったそうだ。狭い炊事場でひとり夕食の準備をしている小屋管理人「てんぱってるから話しかけないように」と、ちょっと苛ついているようだ。もちろん食堂はないので、寝具を片付け自分のスペースでカレーライスを食べる。
土合、武能岳分岐(前日撮影)
幅広でゆったりした歩きやすい路が少しずつ傾斜を増すに従い、路が抉ら狭くなる上、強風に煽られ歩きにくくなる。小さなピークをいくつか乗越し45分ほどで武能岳山頂に立つ。濃いガスで視界なし、早々に茂倉岳に向かう。
前夜、満天の星空だったが朝食後、5:50 出発する際には、視界20m程度の濃霧に加え強風が吹き荒れている。蓬ヒュッテから少し戻り、昨日歩いて来た土合への路を左に分け平坦な草原を武能岳に向かう。
笹平まで一気に下る。茂倉岳山頂まで標高差400m、クマザサの中の長い登りを続けるころから青空が見えるようになり、薄れゆく霧の中から次々と遠近の山々が姿を現す。
笹平を通過した辺り
茂倉岳山頂は360度の展望だがあまりの強風に立っているだけでも容易でない。景色を楽しむ気にもならず早々に山頂を後にし、少し下った風のないところでひと休み。いずこともなく消え去る霧の中からどんどんと雄姿を現わす朝日岳・笠ヶ岳・白毛門、その右彼方には燧、至仏など尾瀬の山並みも見渡せる。目を転じ西を見れば、万太郎山・仙ノ倉山・・苗場山などの山が連なっている。
霧から姿を現す朝日岳・笠ヶ岳、右後方に尾瀬の山
一ノ倉岳への路はゆるやかな起伏の気持ちのよい稜線歩きだ。振り返り見れば武能岳、茂倉岳とたどり来た山が一望できる。気分のよい稜線歩きに足どりも軽い。
一ノ倉岳中腹より茂倉岳を振り返る
一ノ倉岳から先の稜線東側からはまだ霧がどんどん湧き上がってきている。いつのまにか一ノ倉岳山頂、標識がなければ低いクマザサの中の単なる縦走路にしか見えない。路脇にカマボコ形の避難小屋があり、中芝新道が分岐している。
一ノ倉岳山頂直前、谷川岳東面から霧が湧き上がる
一ノ倉岳を越えると様相は一変、谷川岳本峰に向かって険崖が連なり左下は、奈落の底へと落ち込んでいる。一ノ倉沢の絶壁を眺めながら大きく下り“ノゾキ”に出る。
一ノ倉岳を越え険崖連なる稜線へ
ゴツゴツした岩だらけの山稜、潅木や岩の間を縫いながら小さく上下している。まったくと言っていいほど危険は感じないが、ちょっとつまづいてバランスを崩せば命取りになりかねない。
“ノゾキ” より朝日岳、笠ヶ岳、白毛門を一望
浅間神社奥の院の鳥居をくぐるとオキノ耳はすぐだ。狭い山頂には登山者がひしめいている。早々に、双耳峰のもう一つの山頂、トマノ耳に向かう。行き交うハイカーはこれまでとは桁違。トマノ耳山頂も人・人・人の大賑わい。西黒尾根側に少し下った風のない岩陰に逃げ込み昼食とする。
トマノ耳よりオキノ耳、一ノ倉岳、茂倉岳を振り返る
西黒尾根からの下山にかかる。下りはじめは天神尾根に向かっているように思えるが左にトラバース気味に回りこみほどなくザンゲ岩を右に見る。この辺りから本格的下りとなり、岩稜の急降下が連続する。足を止め左に目をやると、谷川岳山頂から東に連なる荒々しいシンセン岩峰が間近に迫る。
西黒尾根よりシンセン岩峰
大きな一枚岩の上に出ると西黒尾根の下山路が一望できる。氷河の爪痕と呼ばれる一枚岩の左脇を慎重に下る。ますます傾斜は急になり、一瞬たりとも気が抜けず登り以上に体力を消耗する。
一枚岩直上より西黒尾根を見下ろす
傾斜の緩い痩せ尾根がしばらく続き、再び急な岩場となり長いクサリ場を下りしばらくするとようやく西黒尾根と巌剛新道との分岐、ガレ沢の頭に着く。ひと休みして巌剛新道を下る。
下ってきた西黒尾根を振り返る、左上方にザンゲ岩
第一展望台を過ぎると傾斜が緩まり歩きやすい路となる。湯桧曽川はまだかなり下方に見えるのに、すっかり緊張から開放されたためかみなのんびりモードとなる。途中から「これでは間に合わないかもしれないぞ」と、ピッチをあげる。十分余裕をもって、土合駅発 15:32 の電車に乗ることができた。
巌剛新道は尾根路と異なりマチガ沢沿いの日陰の路、足元の岩が濡れていて滑りやすくこれまで以上に神経を使う。それでも2度ほどクサリ場をこなすと比較的歩きやすい路となり、左に見え隠れするマチガ沢の景観を楽しむことができる。先日下った西黒尾根の展望のない樹林帯の路より総合的には巌剛新道の方がよさそうだが、いずれも登りに使うべき路かもしれない。
陽に映える東尾根と麓の紅葉:第一展望台より