路端に咲くキスミレ

【高草山】キスミレ咲く登山路は蘇えるか

シリーズ  静岡百山       
山 名  高草山
山行日  2007年3月14日(水)
歩行時間  ゆっくり歩いて一周 2時間半〜3時間
コース 林叟院駐車場→Bコース→古墳分岐→A・B合流→高草山→A・B合流→石脇分岐→林叟院→駐車場
関連情報           アクセスカウンター
1/2.5万地形図 焼津 [北東]
ガイドブック  ▼月刊誌:山と渓谷 2001/12 p102
  小林泰彦の百低山巡礼 静岡県 高草山
マイカー  ▼東名高速焼津IC→林叟院 約2.5Km
  カーナビ目標:林叟院 054-628-3487▼
交通 ▼JR焼津駅⇒坂本(朝比奈線) 8分 ¥180
  土日休 7:30、8:35、9:45、10:40
  しずてつジャストライン:0120-012-990
▼坂本バス停→林叟院 徒歩約10分 

  高草山は焼津市のシンボル的存在の山である。市街地の北方に位置し、茶畑に覆われた明るく大らかな山で、北麓に旧東海道、南麓に奈良時代の官道「やきつべの小径」が通り、それぞれが宇津ノ谷峠、日本坂峠を越えて駿河国に通じていた。それが現在では国道1号線、東名高速道路に変わっている。

 山頂は双耳峰で、それぞれに無線鉄塔が立つ。東峰からは富士山、西峰からは南アルプスが望まれる。また、この山は野鳥や山野草が多く、キスミレの東限の山としても知られている。

林叟院駐車場

 山仲間から高草山にキスミレが咲いていると聞きさっそく行ってみる。久しぶりに林叟院(りんそういん)から登ることにする。最近整備したと思われる駐車場に車を停め、少し戻ってBコースを登ることにする。

“林叟禅院” 石柱、A・Bコース分岐

  林叟院からの高草山がはじめての人は、Bコースを登り、Aコース(坂本コース)を下るとよいと思う。Aコースは道標がしっかり整備されていて、何度も横断する林道でも迷うことはないが、Bコースは道標がほとんどないので、下りに使うと林道横断でちょっと迷うかもしれない。登りの場合は林道横断地点で目の前に登山路が見えるし、山頂の電波塔を目指して登ることができるので、道標がなくてもまったく不安はない。

  A・Bコースの分岐に“林叟禅院”と掘り込まれた立派な石柱が立っている。左のBコースを小川沿いに少し行き、モノラックレール手前の小さな石橋を渡り墓地脇のレールに沿って登りはじめる。右側が開けていて明るく気持ちの良い路だ。少し登ると右眼下に大きな駐車場、振り返れば焼津市街が見渡せる。ほどなく樹林帯に入り、大きなジグザグを切りながらのゆったりとした登り路は、しだいに小さなジグザグの急登となる。

墓地脇のモノラックレール沿いに登りはじめる

林道の向こうに山頂の電波塔が見える

 左に鉄塔を見て高圧線をくぐると目の前が開け真正面に山頂の電波塔、下方には林道が見下ろせる。少し下りVカーブの林道をかすめて正面の登山路を登る。20mほど行くと目の前に作業小屋があり、その直前で左の金網フェンス沿いに行くのだが、うっかりすると右の小屋脇の路に入り込んでしまう。

左前方の山頂目指して茶畑を行く

 山頂の電波塔を前方に見ながら茶畑の路をしばらく登ると再び林道に出合う。これを横断し少し進むと右下に笛吹段公園の駐車場が見下ろせ、そこまで路がついている。

 共に電波塔が建つ双耳峰の高草山山頂を左に見ながら広々と開けた気持ちよい茶畑の路を行く。右手には志太平野と駿河湾が見渡せる。

 古墳への路が右に分岐する。道標に従い樹林の中を数十メートル行くと岩穴がある。入口側の樹木が切り開かれ焼津港と市街地が見下ろせる。

右下方の笛吹段公園

  分岐まで戻り少し登るとまた林道を横切る。志太平野を挟み右に粟ヶ岳、八高山など大井川流域の山々、左に駿河湾とますます広がる大展望。

駿河湾沿いに広がる志太平野

  最後の林道を横切りしばらく登ると路端から少し離れたところに数株のキスミレが咲いている。高草山のキスミレは盗掘などで絶滅し、心ある人により秘密の場所で保護育成され群生化しつつあるが、人気コースの路端に咲いているとは嬉しい限りだ。

 Aコースからの路と合流し、鞍掛峠への分岐を過ぎると山頂は近い。山頂直前、右方に裾野を広げた富士山が望める。山頂には“高草山大権現”の祠と電波塔、たくさんのベンチとテーブルが備えられている。

山頂直前に望む富士山

三等三角点

  三角点の設置された山頂は電波塔への車道を少し下り、左の登山路を登り返したところにある。標高は“高草山大権現”辺りの方が高いように思われる。三角点の前には、りっぱな慰霊碑がある。碑誌によると、慰霊碑正面の大海原の彼方がソロモン群島で、多くの戦友の遺骨が眠っているそうだ。

  往路をA・Bコース合流点まで戻る。Bコースを右に分け、正面に焼津港を見下ろしながら丸太土留の階段で整備された路を一直線に下る。石脇への路を左に分けるとすぐに林道に出る。駿河湾の海岸線に沿った志太平野を貫く東海道新幹線と東名高速道。新幹線の車両が模型のように見下ろせる。

焼津港を正面に見下ろし一直線に下る

  前方に広がる大展望を見ながら、4・5分おきに次々と林道を横切る。3回目の林道を横断すると、右に笛吹段公園が見える。その先の茶畑の斜面上の稜線が先ほど登ったAコースだ。公園の向こうには大井川流域の山々が連なっている。

前方に広がる大展望を見ながら下る

  最後の林道を渡りしばらく下ると樹林帯、竹林帯の沢沿いの路となり、ほどなく登山口に降り立つ。墓地の簡易舗装道の終点で、その少し先に焼津市天然記念物のホルトノキの大木がある。300年前の鐘楼が現存する古刹、林叟院を過ぎると駐車場はすぐだ。

林叟院(中央に鐘楼)

更新:2013/03/14