【早池峰山】高山の花たちの宝庫

シリーズ  日本百名山       
山 名  早池峰山(1917m)
山行日   2011年6月26日(日)
参加者  4名(盛岡駅よりレンタカー)  
歩行時間   6時間(除く昼食休憩)
コース 小田越登山口→御門口→八合目→早池峰山→頭垢離→河原坊→小田越
 民俗学者 柳田国男の《遠野物語》で有名な早池峰山は、古くから山岳信仰の霊場であった。山頂には、早池峰神社奥宮の祠があり、岩石累々とした神秘的雰囲気を漂わせた山である。

 斜面を岩塊が覆い、針葉樹林を食い止め、森林限界は標高1300mと極端に低く、日本有数の高山の花園を生み出した。日本に咲く10種ほどのウスユキソウの中でいちばんエーデルワイスに近いハヤチネウスユキソウやヒメコザクラなどここにだけに咲く珍しい花のほかコケイラン、ハクサンチドリ、マイズルソウ等々書きだせば切りがない高山植物の宝庫を生み出した。

小田越登山口
 前夜、岳集落の民宿 早池峰薄雪荘に泊まった。宿の主人によると、「河原坊コースは水量が多く渡渉困難なため通行止めにしている」とのこと。岩と石ゴロの急坂や数回の渡渉など、やや危険の多い河原坊コースを登り、小田越コースを下る予定だったが、小田越コースを往復することにする。

 朝5時から午後1時まで交通規制でマイカーは使えない。規制前に小田越の駐車場まで入ることにする。小田越登山口 5:25 出発。ハヤチネウスユキソウが咲くこの時期の日曜日にしては登山者があまりに少ない。少しでも東北にお金を落とす方が良いと云われているが、やはり東日本大震災の余りの被害の大きさに遊びを自粛する人が多いのだろう。
 登山口から45分ほどで樹林帯が切れ視界が開ける。御門口とよばれる一合目だ。振り返ると、登山口近くの避難小屋 小田越山荘が小さく見え、宮沢賢治の童話の舞台である薬師岳は厚い雲に覆われている。しかし、行く手の早池峰山の山容はくっきりと望むことができる。
一合目御門口:行く手に山頂が望める

一合目より振り返り見る:薬師岳は雲の中

赤茶けた岩稜帯を行く

ナンブイヌナズナ

ミヤマオダマキ
 足元は岩間から顔をのぞかせる花、花、花。早くもここは御花畑の世界である。ナンブイヌナズナ、ホソバイワベンケイ、ミヤマオダマキなど枚挙にいとまがない。屈みこんで愛でるやらシャッターを切るなどさっぱり先に進めないが、おかげで岩塊帯の急登もあまり苦にならない。
 ハイマツの岩稜帯をしばらく行くとお目当てのハヤチネウスユキソウに出合う。付近には、ミヤマシオガマ、ミヤマアズマギクなども姿を見せる。のんびりと写真を撮るわれわれを十数人の岩手大学ワンゲル部員が追い越していく。ほどなく鉄梯子の架かる八合目、これを登り切ると登路はしだいにゆるやかになる。
ハヤチネウスユキソウ

八合目の鉄梯子

八合目

岩手大学ワンゲル部員をやり過ごす
 鉄梯子の上に出ると山頂の避難小屋が見える。木道の敷かれた御田植場という湿性花園のような平坦地を抜けると残雪帯となり、そのすぐ先が山頂である。巨岩が重なり合う山頂部の一角に早池峰神社奥宮がある。岩手山がしっかりと見て取れる。

振り返えり見る御田植場の木道

残雪帯のすぐ先が山頂

早池峰山山頂

山頂より岩手山を望む
 ワンゲル部員は、河原坊コースを下るという、聞いてみると「問題ない」との情報を得ているそうだ。われわれも河原坊コースを下ることにし、部員たちより少し先に山頂を後にする。

 岩石累々、露岩の多い急斜面、要所にはロープが張られている。下山路も絶え間なく高山植物が目に入る。コメバツガザクラ、キバナノコマノツメ、チングルマなどが下りの緊張感を和らげてくれる。

河原坊コース下山路

ロープ頼りの岩場の下り

コメガモリ沢添いに下る

右へ左へと沢を渡る
 やがてコメガモリ沢の流れに沿うように下る。シラビソやダケカンバの樹林帯となり沢を何度も右に左にと渡渉する。河原坊に着く直前、目の前をバスが通り過ぎる。小田越への次のバスは当分なし、仕方なく昼食後、車道を小田越に向かう。しかし、道端に咲くコケイラン、ハクサンチドリ、オサバグサ、オククルマムグラなどが舗装道路歩きを慰めてくれる。
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