山荘前の登山路に入るや、カタクリ、エンレイソウ、エゾエンゴサク、シラネアオイ、アラゲヒョウタンボク等々まさに百花繚乱。ひと登りすると三角点と電波塔のある霧立山(蜂ヶ峰)に着く。
新幹線、フェリー、ドンデンライナーを乗り継ぎ、午後2時前に今日の宿であるドンデン山荘に着いた。チェックイン後、ひと休みしてドンデン高原の散策に出かける。
【金北山】花花花と展望の大佐渡山脈縦走
行 程 | |||
場 所 | 着時刻 | 発時刻 | |
ドンデン山荘 | 泊 | 7:15 | |
縦走路入口 | 7:40 | − | |
アオネバ十字路 | 8:05 | − | |
マトネ | 8:50 | 9:05 | |
石花分岐 | 9:20 | − | |
真砂の峰 | 10:20 | 10:25 | |
イモリ平 | 10:45 | − | |
天狗の休場 | 11:20 | 11:50 | |
鏡池 | 12:20 | − | |
あやめ池 | 12:35 | − | |
金北山 | 13:10 | 13:50 | |
白雲台 | 15:10 | 16:30 |
金北山は、佐渡島の最高峰、佐渡の北西 大佐渡山脈の主峰である。花の種類が豊富で山頂からの展望もすばらしく《日本三百名山》や《新・花の百名山》に選定されている山である。
数年前からあこがれていた金北山、山の大ベテランである知人の日本三百名山完登に同行させてもらう予定だったが、所用で参加できなくなってしまった。予定していた日は花の最盛期、その前後の週間天気予報を見て計画することにした。初めて訪れる佐渡島、登山の翌日は佐渡観光も楽しむこととした。
ドンデン山荘
山頂を後にすると大きく展望が開ける。芝地のような高原にはアマナやエチゴキジムシロが咲き乱れている。高原の路をゆったりと下り、登り返すと尻立山山頂。風は強いが、前方に避難小屋の赤い屋根とドンデン池、振り返れば金北山も望め左右に海原も確認できる大展望。
尻立山々頂よりドンデン池を見下ろす
強風に背中を押され砂礫の斜面をドンデン池まで一気に下る。池を廻る散策路はない、池を後に山荘に向かう。残雪の路にはユキワリソウ、シラネアオイ、ショウジョウバカマ、ザゼンソウ、エンレイソウ等々まさに花花花の路だ。
佐渡縦貫道に出て左に曲がるとほどなく金北山縦走路の入口を経て山荘に戻る。
ドンデン池
数日前に計画した時点で、5/16-18の降水確率は20%程度、運よく5/16だけドンデン山荘に空きがありすぐに予約したのだが、昨日の夕方ころから、5/17の佐渡島の降水確率が70%になっている。夕食後の天気予報も70%、5/18の観光と入れ替えるつもりで就寝する。夜中、強い風雨に見舞われたが翌朝は風もない絶好の登山日和となる。この時期の予報は当てにならないのだろうか?
5月17日
ドンデン山荘前より金北山
7時過ぎに山荘を出る。ゴールの白雲台のバスは午後4時半、ゆっくり歩いても2時間ほど余裕のある行程だ。昨日、歩いた佐渡縦貫道の道端一面に咲くカタクリもキクザキイチゲも花弁を閉じて就寝中。時間はたっぷり、左に金北山に連なる大佐渡山脈を見ながらのんびりと道端に無数に生える蕗の薹を摘みながら金北山縦走路入口まで行く。
花咲く灌木帯の林道、写真を撮りながら超ゆっくりの歩みが続く。山桜咲くアオネバ十字路から本格的山路となる。目を覚ましたカタクリやキクザキイチゲなどの花々が路の両側を賑わしている。
山桜咲くアオネバ十字路
カタクリ咲く登山路
新緑と残雪の路をひと登するとマトネに着く。展望が大きく開け、草原状の彼方に金北山が大きい。
マトネより金北山
マトネからは快適な尾根歩きの縦走路となる。左に加茂湖や両津湾を見下ろしながら芝生の路をのんびりと歩む。
お花畑、灌木帯、残雪、砂礫の路と変化に富んだなだらかな縦走路、正面に金北山を見ながらの路は飽きることがない。
石花分岐
ブイガ沢のコル付近
展望の良い砂礫帯のブイガ沢のコルを経て真砂の峰、イモリのコルそしてイモリ平とゆるやかなアップダウンを繰り返す。
イモリ平付近
展望の良い砂礫帯のブイガ沢のコルを経て真砂の峰、イモリのコルそしてイモリ平とゆるやかなアップダウンを繰り返す。
イモリ平を過ぎると雑木林の雪渓地帯、路は残雪で隠れおり赤布などを探しながら慎重に進む。
残雪帯、
イラツボ沢のコル付近
残雪帯を抜けると再び砂礫の路、金北山がだいぶ近くなってきた。これでもかと現れるユキワリソウの群生地を抜け天狗の休場。
振り返ると山荘から辿ってきた路が一望でき、海も見えるここで昼食とする。
昼食中に単独行の男性が通り過ぎて行った。風もなく陽は暖か、ゆっくりと食事を済ませ出発。
天狗の休場より来し方を振り返る
路が二手に分かれる。左は役の行者と道標に書かれているが右の路は何も書かれていない。左の路は分岐してすぐに雪渓のトラバース、踏み跡は見当たらない。戻って雪のない右の路を行く。路は踏まれているようであり赤布もあるのだが、登山路は残雪に隠され倒木や小枝に悩まされる。雪面に踏み跡はほとんど見当たらず露出した登山路や赤布などを見つけながら慎重に進む。
残雪帯を行く
白いカタクリを見てしばらくすると前方に鏡池を見る。その先のあやめ池付近、天狗の休場で昼食中に通り過ぎて行った単独行の男性に出会う。「もう、山頂まで行ってきたのですか?」と声を掛けると怪訝な顔をする。「金北山に向かっているつもり」だと言う。役の行者経由でなく右の路を辿ったとのこと。「どこで迷ったのだろう?」とつぶやき一瞬、躊躇し半信半疑の顔つきで急いでバックして行った。
前方に鏡池
前方に見える金北山頂上下の急斜面の雪渓に真っ直ぐな踏み跡が確認できる。「あそこを登るのか!」ちょっとした恐怖を感じる。
急傾斜の雪渓を真っ直ぐに登る踏み跡が見える
急傾斜の雪渓を登り切り山頂まであと一息
45度以上にも感じる雪の斜面をキックステップで真っ直ぐに登る。傾斜がゆるみしばらく行くと雪のない登山路に突き当たる。雪渓を巻いて樹林の中に夏路があるのだろう。
雪渓を登りきると加茂湖と両津湾が見下ろせしばらく行くと山頂に着いた。防衛庁の施設に挟まれ金北山大権現奥宮の社殿が建っている。 新しいレーダーの建つ妙見岳の中腹にゴールの白雲台も見えその左下に真野湾が見える。
山頂より妙見岳とその左に真野湾
山頂からの展望は素晴らしいが、半分は防衛庁の施設に阻まれ展望はない。ゆっくり登ってきたつもりだがまだまだ時間はたっぷりある。しかし、あまり居心地の良い山頂とは云えず40分ほど休んで白雲台に向かう。
白雲台への防衛庁管理道路の両側に食べごろの蕗の薹が延々と続く。すでにたっぷり摘んでいるのだが、ここでも夢中になって摘んでいる。
防衛庁管理道路の道端に無数の蕗の薹
こちら側から見る金北山は山頂の施設が無粋でなんとも興ざめ、花もほとんど見当たらない砂利道をでれでれと下る。
振り返り見る金北山
白雲台からバスで両津港に戻り、湖畔の宿 吉田屋に泊まり翌日はレンタカーで尖閣湾、佐渡金山、トキの森公園などを廻り両津港16:05 発のフェリーで帰途に就いた。
白雲台