謙信平よりの展望、富士山も(画像クリック→拡大)
【大平山、晃石山、馬不入山、岩船山】眺望と歴史・伝説を秘めた里山歩き
シリーズ | 関東百名山 前 次 | |
山 名 | 大平山、晃石山、馬不入山 | |
山行日 | 2010年12月5日(日) | |
アクセス | 電車:東武日光線、JR両毛線 | |
参加者 | 10名 | |
歩行時間 | *時間**分(除く昼食休憩) | |
コース | 新大平下駅→登山口→謙信平→大平山→晃石山→桜峠→馬不入山→岩船山→岩舟駅 |
行 程 | |||
場 所 | 着時刻 | 発時刻 | |
新大平下駅 | 7:33 | 7:40 | |
登山口 | 8:15 | − | |
謙信平 | 8:50 | 9:10 | |
大平山 | 9:30 | − | |
晃石山 | 10:20 | 10:40 | |
桜峠 | 11:10 | 11:55 | |
馬不入山 | 12:45 | 12:50 | |
岩船山 | 14:00 | 14:35 | |
岩舟駅 | 14:50 | − |
栃木市の西に位置する《県立自然公園 大平山》は、太平山・晃石山・馬不入山・岩船山へと連なる丘陵地一帯を指す。大平山の謙信平は、関東平野を見渡す好展望地で「陸の松島]と讃えられている。晃石山は、関東百名山に選定されている一等三角点の山である。岩船山は、関東の高野山と呼ばれ、一大霊場として栄えた山だそうだ。
東武日光線の新大平駅で下車、東口から東武線沿いに日光方面に向かってしばらく行き、《大平山》の道標に従い踏切を渡る。北に向かい両毛線の踏切を渡るとほどなく大平山登山口の客人神社石段下に着く。駅からは、要所に道標やコース案内板があるので迷うことはのないだろう。
大中寺、清水寺への道から右に分岐する石段を上り、雑木林のゆるやかな登りの尾根路を行く。路はしっかりとついている。途中車道を横断し、登山口から30分余りで紅葉に彩られた謙信平に着く。展望台からは《陸の松島》と言われるだけあってすばらしい眺めだ。富士山もしっかりと見える。
大平山登山口
謙信平の紅葉
大平山神社
天長四年(827)に創建された由緒ある大平山神社をお参りし、何とも風情のない貯金箱のような賽銭箱の奥宮を経て富士浅間神社を祀る大平山の山頂に出る。特に展望もないので素通りして晃石山に向かう。低山ハイクのためか、歩くのと休むのが半々近いのんびり歩きだ。脚よりも口の方が軽い感じである。
貯金箱のような賽銭箱の奥宮
ぐみの木峠
大中寺からの路が合流するぐみの木峠を通過し、ゆるやかなアップダウンを繰り返す。左側の展望が開け、山裾の田園地帯、市街地の彼方に筑波山や加波山などが望める。快適な稜線の路だ。
筑波山、加波山を望む
快晴の真っ青な空の下、冠雪した白根山、男体山から女峰山など日光の山々がよく見える。
晃石神社への路を左に分け、晃石山に向かう。山頂には、小さな社が祀られていてその脇に一等三角点が埋設されている。日本でただ一つ、一辺21cmの三角点だ。普通は一辺18cmだ。一方、高さは普通21cmだが、ここのは18cmしかない。受注業者が縦横寸法を間違えたのだろう。
山頂から晃石神社へ下る。境内に清水寺や桜峠への道標がある。桜峠へ向かう。山頂からの路を合わせ植林帯の中、緩やかな登下降を数回繰り返すと、桜峠への長い急坂下りとなる。分厚く落ち葉に埋まった急坂の崩れかけた石段下りは、手摺がついていても相当に神経を使う。
山桜の古大木の下にあずまやが建つ桜峠、花の季節は《桜峠万本桜》と呼ばれ、新緑とヤマザクラのきれいな彩りが見られる。ここで昼食をとり、峠を後に雑木林の路をゆるやかに登下降しながら馬不入山へと向かう。
桜峠(画像クリック→4月の桜峠)
馬不入山山頂
三等三角点の馬不入山々頂には、ベンチが設けられている。馬不入山は、峠越えの通路に使われた昔々、馬も通りにくい難所だったことから名づけられたとか。
ひと休みして岩船山に向かう。急降下の落ち葉路が延々と続く。小さなピークに登り返して再びの急坂下り車道を横断してしばらくすると再び車道に出る。右前方に見える岩船山に向かって車道を行く。
分厚く降り積った落葉路
右に溜池を見て200mほど行き、右に分岐する車道をゆるやかに上って行く。目前に岩船山の大岩壁が迫ってくる。
岩船山北面の岩壁
高勝寺山門を通りさらに石段を上って行くと山頂下の広場に出る。さらに高みを目指し岩船山の山頂に着く。柵の外側に三角点が埋設されていてそのすぐ先は断崖絶壁。関東平野が一望できる。
岩船山山頂(正面奥)直下の展望広場
岩船山山頂の四等三角点(絶壁際)
岩船山は、足尾山地の最南端の山。江戸時代からの岩船石の採掘で山体が現在のような山容になったそうだ。
比較的新しい衣服を着た石仏
高勝寺三重塔
岩船山高勝寺は、宝亀八年(775年)開山され江戸時代になっては、歴代将軍に庇護された。特に、第4代将軍家綱にゆかりの深い寺院である。華麗な三重塔は、地上から相輪頂上まで19mあり、江戸中期の代表的な建造物として、県指定重要文化財になっている。
600段の石段を下る。
岩船山を後に600段の石段を下って岩舟駅に向かう。
岩船山高勝寺参道口
赤いエプロンを着けたお地蔵さんは、これまで何度も見ているが、普通のそれも比較的新しい衣服を着た石仏を見るのははじめてだ。霊山であり供養心からだろうとは思うが、なんとなく異様な光景にも映る。
先住民族の間に、高い岩肌の出た山に霊魂が集まり、死ぬと霊はこの山へ昇るという宗教があった。岩船山は、死者の集まる所、霊魂の集まる所として民俗学的に貴重な山だそうだ(岩船山高勝寺案内板より)。