【景鶴山】燧と至仏の間の尾瀬ヶ原を俯瞰

シリーズ  日本二 ・三百名山     前  
山 名  景鶴山
山行日  2010年5月7・8日(金・土)
参加者  5名
歩行時間  1日目:2時間55分、2日目:11時間10分
コース 鳩待峠→山の鼻→龍宮小屋(泊)→ヨッピ吊橋→笹平→与作岳→景鶴山→与作岳→ヨッピ吊橋→三叉路→山の鼻→鳩待峠
関連情報                      アクセスカウンター
地形図
▼日光/藤原/尾瀬ヶ原、至仏山
駐車
宿泊
▼鳩待峠駐車料金 1日目:\2,500  2日目:\1,000
龍宮小屋のページ
参考HP 景鶴山 の登山、地図、天気
▼2007/05/04 ヨッピ橋から景鶴山 2007
行 程
場 所 着時刻 発時刻
 鳩待峠 11:20 11:40
 山の鼻 12:50 13:10
 龍宮小屋(泊) 14:35 05:05
 ヨッピ吊橋 05:35
 笹平 06:10 06:15
 1653m峰 07:05 07:15
 与作岳 08:30 08:45
 景鶴山 09:45 10:00
 与作岳 11:10 11:20
 ヨッピ吊橋 12:50
 三叉路 13:40 13:50
 山の鼻 14:40 14:50
 鳩待峠 16:15 -

 ゴールデンウイーク明けの金曜日、閑散とした鳩待峠に11時半頃到着する。雨が降り出してきてはいたが、明日は好天との予報もあり心は晴れやかだ。

 休憩所でしっかりと雨支度をして出発。山の鼻までは下り勾配、雨の中でもさほど苦にならない。雪原にできた小さな池にミズバショウが咲きはじめているが仏炎包の周辺が茶色くなっている。あとで聞いたところによると咲きはじめた後の寒さでやられたそうだ。

池塘にはミズバショウも

  鳩待峠から1時間10分ほどで山の鼻、ここも人影はなくひっそりとしている。ビジターセンターでひと休みしていると、職員さんが出てきて宮までのコース状況などいろいろと教えてくれた。

山の鼻到着

雨に烟る尾瀬ヶ原

 山の鼻を後にして宮に向かう。一面の雪原、木道はほとんど雪に覆われているがところどころ姿を現してもいる。雨に烟る残雪の尾瀬ヶ原は、長谷川等伯の墨絵の世界を思わせ、刻一刻と変化する景色はいくら見ていても飽きることはない。

  とはいえ幽玄の世界に陶酔しての歩行は許されない。雪はすっかり腐りかけてきていて木道周辺で踏み抜くと下は空洞、足のつけ根までもぐってしまう。雪原歩きとは言え神経を使う。

木道が露出していれば歩き易い

 夕食後、雨も上がり、宮小屋の正面に聳える至仏山が夕焼け空に映えている。

夕焼けに映える至仏山

  翌日は、朝食を待たずバナナ1本を口にして5時過ぎに出発。雲ひとつない快晴。昨日、グズグズだった雪は凍りついてガチガチ、小屋前の数十センチの雪面傾斜にちょっと苦労する。正面には朝日に照らされた至仏山、右に目指す景鶴山、コースタイム4時間半にしては意外なほどに近くに見える。しっかりと凍った雪面は昨日に比べ大変に歩きやすい。

宮小屋前から望む景鶴山

 小屋から30分ほどで板を外され骨組みだけのヨッピ吊橋。手摺のワイヤーもあり難なく渡れたが、そのあとの薄ら凍った木道が怖かった。雪面に出てひと安心。前方に東電小屋が確認できる辺りで左に曲がり尾根への取り付き点にたどり着く。ここで昨日来はじめてアイゼンをつける。

ヨッピ吊橋

  ほどよく締まった雪面は、大変歩き易くひと登りで1537.9m峰の鞍部 笹平に出る。小屋から1時間あまり、ここでひと休み。ここからは傾斜もきつくなり本格的な登りとなる。右に燧ヶ岳を見ながら、ときにブッシュを越え、順調に高度を稼ぎ1653m峰に出てここで朝食とする。前夜就寝前にポットに入れたお湯で入れたコーヒーが美味しかった。

笹平付近

  与作岳に向かう。比較的ゆるやかな傾斜で順調に歩を進めるも左に見える景鶴山の頂は小さくはるか遠くに思えてしまう。左に大きくカーブを切り与作岳山頂、だいぶ景鶴山に近づいた感じだ。

与作岳を後にして

  与作岳からいったん下る、帰りの登りを思えば70〜80mとはいえうんざりする。下りきると正面にピラミダルな景鶴山が大きく迫る。傾斜も結構きつい、これを登る途中で先行の男性4人とすれ違う。30分ほど早く宮小屋を出た、山岳ガイドさんに連れられたパーティーだ。

与作岳を下って見上げる景鶴山

景鶴山山頂、右に平ヶ岳

  私にとってはかなり難度の高い頂上直下の岩場、緊張を強いられる雪のナイフリッジを越え大岩を回り込むと山頂に出た。まさに360度の大展望、見下ろす尾瀬ヶ原の彼方に日光白根、左に燧ヶ岳、右は至仏山、後には真っ白な平ヶ岳などの名峰が青空の下にくっきりと見える。まさに至福のとき、いつまでもいたいところだが、あの岩場や雪のナイフリッジ、急な雪面下りを思えばあまりゆっくりしているわけにもいかない。

景鶴山山頂からの展望(画像クリックで拡大)


至仏山

燧ヶ岳

尾瀬ヶ原(奥に白根山)

平ヶ岳

 様子が分かっているせいか、さほど心配するほどのこともなく景鶴山を下り、軽く食事をし与作岳に向かう。山頂近くまで戻ると、3パーティー計10人ほどのハイカーと次々とすれ違う。今朝、鳩待峠を出発したそうだ。わがリーダーが景鶴山までの状況を伝える。与作岳山頂まで戻るればもお不安はない。

与作岳山頂

  往路をヨッピ吊橋まで戻り中田代三叉路に向かう。雪面はグズグズ、昨日と異なり行く手に至仏山、後方には燧ヶ岳がしっかりと見えている。途中、木道が2ヶ所が上向『く』の字に折れ水没している。ふくらはぎくらいまでの水面、靴の中が一気に冷たくなる。

  中田代三叉路・山の鼻で小休止、鳩待峠に向かってすぐに、宮小屋のご主人とすれ違う。昨日は、景鶴山までの様子をいろいろ教えていただいたが、今日は、山頂付近の状況などわれわれにいろいろと質問してくる。『景鶴山も明日の日曜までかな…』とつぶやいてました。今朝、宮小屋を出てから既に10時間、登りが辛い。鳩待峠着午後4時15分、私にとっては、体力の限界の山行をようやく終えたのであった。

中田代三叉路より燧ヶ岳

正面に至仏山、雪原をヨッピ吊橋に向かって