【高下岳、大荒沢岳、羽後朝日岳】展望の和賀山塊

シリーズ  東北の山旅  前 
山名  高下岳、大荒沢岳、羽後朝日岳
山行日  2009年5月3-5日
交通  マイカー
参加者  4名
歩行時間  5/3:4h25m、5/4:9h20m(休憩含む)
コース 高畑登山口⇔高下岳(泊)⇔大荒沢岳⇔羽後朝日岳

 5月連休、テント泊での東北山行に誘われた。高下岳にテント泊して、朝日岳に登るとのこと。朝日岳は和賀山塊で和賀岳に次いで二番目に高い山、全国で三十数か所ある“朝日”や“旭”の字を用いた山や峠と区別するため、一般に羽後朝日岳と呼ばれているそうだ。

 この山は山懐が深く、簡単に登れる山ではなかったため、秋田側から登路が一切拓かれず、全く踏み荒らされていない大自然が残る奇跡的な山らしい。今回の予定コースである、大荒沢岳から朝日岳までの、北西1.2kmの区間は完全に藪に埋もれ、自然に帰ったままの状態とのこと。

 とても私のレベルで登れる山ではないが、体力気力十分で、面倒見の良い山の大ベテランがリーダー、他のメンバーも毎週のように山歩きをしている山歴数十年のベテラン。私は残雪期のテント泊はもちろん、夏の山中テント泊の経験もほとんどない、足手まといになるだろうと思いつつも多少は歩荷代わりにでもなるだろうと同行させてもらった。

高下岳・高畑登山口の駐車スペース
 前夜、さいたまを出て朝6時過ぎに高下岳の高畑登山口に着いた。標高500mの登山口周辺に残雪はまったく見当たらない。道標に「高下岳4.2km」と書かれている。樹木の間から高下岳の山頂が見えている。

 メンバーから借りたテント泊用の大きなザック(70〜80L)を背負って山麓のブナ林に分け入る。傾斜は緩やか、足元にはカタクリ・イワウチワ・キクザキイチゲなどが咲いている。登山口から2時間余り、残雪帯に入り込む。相変わらずに心地よいブナ林、傾斜は緩やか、重たく大きなザックを除けば快適なスノウハイクだ。

樹木の間に高下岳

ブナ林に分け入る

残雪帯に踏み入る
 傾斜は多少きつくなるも快適な雪面登り、やがて高下岳の稜線が正面に見え、ダケカンバの疎林を経て稜線にでると高下岳山頂はすぐだ。まだ、11時だが本日の行動はここまで、テントを張りのんびり過ごす。

快適なスノーハイク

正面に高下岳稜線

高下岳山頂

高下岳山頂に張ったテント
 一夜明け、今日も好天。目指す根菅岳、大荒沢岳が見通せる。この時期しか歩けないコースだそうだが、いかにも遠い。行く手彼方の碧空の下、秋田駒ヶ岳もくっきり見える。

左に根菅岳、その右奥に大荒沢岳、その右彼方に秋田駒ヶ岳、右端はモッコ岳、その左に沢尻岳(高下岳山頂より)
 6時、テント出発。先ずは根菅岳目指し高下岳を下る。緩やかな起伏の残雪帯は歩き易い、快調に歩を進めるがそれもつかの間、今年は雪が少ないそうで根曲り竹や這松などのブッシュに苦戦を強いられる。
テント出発、先ずは高下岳を下る(06:00)

快適な雪面歩き(06:24)

ブッシュに苦戦を強いられる(06:46)

前方に大荒沢岳(右)と朝日岳(左) 06:58
  この先の苦戦も考慮し、根菅岳は巻くことにする。ブッシュを抜け、雪面をひと登りすると前方に大荒沢岳と朝日岳が見通せる。白い嶺々の雄大で荘厳な美しさに圧倒され、しばし我を忘れ大自然に同化する。

大荒沢岳と朝日岳が迫りくる(07:22)

大荒沢岳稜線を行く(07:45)
 しばらく大荒沢岳の稜線行くと、豪雪地帯ゆえの見事な造形美、姿形の面白いダケカンバに出合う。ほどなく朝日岳が大迫力で目の前に迫ってくる。草原に雪は消え、登山路が山頂へと伸びている。大荒沢岳山頂の道標はブッシュの中、証拠写真を撮って先を急ぐ。
深々お辞儀する女性(07:52)

大迫力の朝日岳(08:10)

草原の登山路(08:13)

大荒沢岳山頂(09:05)

大荒沢岳と朝日岳の鞍部(09:41)
 大荒沢岳を大きく下ってブッシュ帯を抜けると朝日岳との鞍部。朝日岳への登り返しで、大荒沢岳の雪面下りで念のために着けたアイゼンの片方が無いのに気づく。ブッシュを抜けるとき外れてしまったのだろう。雪は腐っておりアイゼンなしでもさしたる支障はないのでそのまま登る。
 朝日岳山頂もブッシュの中だ。和賀岳が大きく見える。

 往路を戻る際、偶然にもブッシュの中に外れたアイゼンを目にする。広々したブッシュ帯、どこをどう歩くかは全くの偶然、運が良かったとしか言えないだろう。

朝日岳山頂(10:10〜10:30)

朝日岳山頂より和賀岳

大荒沢岳下りのブッシュ帯(12:03)

根菅岳(正面)目指して(13:11)
 往路で巻いた根菅岳山頂を踏んで、幕営地の高下岳山頂に向かう。往復9時間20分の山行だった。私にとって、優にベストテンに入る素晴らしい山旅だった。リーダーとメンバーに大感謝。

根菅岳山頂、背景に和賀岳(14:11)

最後の登り高下岳へ(15:02)
羽後朝日岳:マイナー12名山                                                          アクセスカウンター