【東海自然歩道 No.19】鞍掛山、岩古谷山コース

シリーズ  東海自然歩道      
山 名  鞍掛山、岩古谷山
山行日  2007年5月12日(土)
同行者  グルプ・せせらぎ 8名
歩行時間  7時間22分(休憩含む)
コース 鞍掛山登山口→かしゃげ峠→鞍掛山→びわくぼ峠→御殿岩→岩古谷山→堤石峠→池葉守護神社→福田寺
関連情報                          アクセスカウンター
1/2.5万地形図 ▼海老 [北東]   田口 [南東]
ガイドブック  東海自然歩道 31選 愛知、岐阜、三重
  名古屋歩く会編  七賢出版 2000/03
ふれあいウォーク東海自然歩道
  宇佐美イワオ著 風媒社 1999
東海自然歩道日帰りハイキング〈2〉奥三河−鈴鹿峠
  武村岳男著 山と渓谷社 1996
交通 ▼ジャンボタクシー:設楽町田口⇒鞍掛山登山口 ¥6,550
推薦HP ▼2005/04/23 山坂五郎の東海自然歩道(写真集)
▼2005/06/04 岩古谷山
行 程
場 所 着時刻 発時刻
 鞍掛山登山口 9:00 9:04
 かしゃげ峠 9:27 9:30
 鞍掛山 10:26 10:40
 びわくぼ峠 10:54
 御殿岩 11:21 11:30
 昼食 12:03 12:25
 707三角点 12:43
 岩古谷山山頂 13:12 13:21
 堤石峠 13:45
 池葉守護神社 14:48 14:58
 中熊バス停 15:30
 福田寺 16:26 16:33

  昨年3月、東海自然歩道の起点 高尾山をスタートして、各回日帰りで歩き継いで19回目となる。今回の岩古谷山コースは、裏丹沢・菰釣山コース及び日坂越コースと共に、東海自然歩道 三大難所に挙げられている。

  焼津駅集合6:10の予定だったが家を出る直前、Gさんから「寝坊した」の連絡、そのすぐ後には今回、車を予定しているHさんから「車が動かない」との連絡などトラブルはあったが、善後策がぴたりと決まり、ほとんど予定通りに本日のゴール地点である愛知県設楽町田口に着いた。

スタート地点

  前日予約したジャンボタクシーでスタート地点の四谷集落に向かう。車は、タクシー会社に停めさせて頂いた。前回ゴール地点の分岐に9時頃到着。3週間前、Mさんが置き忘れた手作りのペットボトル入りケースが目立つように置かれていたのにビックリ。集合写真を撮って出発。

  歩きはじめてすぐに左眼下に水の張られた棚田(千枚田)が見下ろせる。5分ほどで最上部から棚田を見下ろす展望所。案内板には、地すべり跡地に農民の汗と涙で作られたなど千枚田の説明が書かれている。見上げてこその棚田の景観なのだが、水の張られた棚田を見下ろすのも悪くない。

大きく抉られた登山路

左眼下に見る水が張られた棚田

展望所から見下ろす千枚田

  展望所を後にし、道標に従い民家脇の山路に入る。背丈の倍ほどに抉れた路を10分ほどでかしゃげ峠”。案内板によると天正元年(1573)野田城の合戦で病に倒れた(一説には、笛の音に聞惚れ狙撃された)武田信玄が甲斐へ引き上げた道だと伝えられている。野田城は峠から南西20kmほどのところにある。

  峠の辺りはチゴユリの群落が目立つ。淡緑色の小さな花を葉の中央に咲かせるハナイカダも咲いている。手入れの行き届いた植林帯の路を登って行くと“東京まで392km、大阪まで612km”の標柱が立っている。以後、この標柱を何度か見かける。しだいに雑木が目立ちはじめ路端に群生するチゴユリに加え、ときにナベワリが目につく。草丈20-30cmで10cmほどの葉の下に小さな花を咲かせている。山野草に詳しいSさんがいなければとても見つけることはできない。

手入れの行届いた植林帯の自然歩道

鞍掛山山頂

 馬桶岩への路を右に分けると鞍掛山山頂はすぐだ。ベンチとテーブルが設けられた山頂は樹木に囲まれ展望はない。先客の単独行の男性にシャッターをお願いして集合写真。水分補給と少々食べて山頂を後にする。

  よく整備された急斜面の路を一気に下る。途中、森林パトロール員とすれ違い、この先のコース状況を聞かせていただく。山頂から15分足らずでトイレのあるびわくぼ峠に到着。左に塩津温泉へ下る路を分け再び登りとなる。数回のアップダウンを繰り返す岩稜帯の路を30分ほど行くと御殿岩に着く。

びわくぼ峠(塩津温泉分岐)

御殿岩から鹿島山、大鈴山、平山明神山

  案内板の後から御殿岩によじ登る。左側は垂直に切り立つ断崖、足元が竦む。岩の頂に上ると、鞍掛山から歩いてきた稜線が一望できる。眼下には荒尾の集落、鳥の目で見ているような気になる。北に目を転じると、岩古谷山の向こうに鹿島山、その右に大鈴山、平山明神山などの山並みが連なっている。まさに絶景というにふさわしい展望だ。

  御殿岩を後にして、階段状に整備された自然林の路を標高差150m以上下る。少し登り返すと岩尾根に出て大きく展望が開ける。行く手は岩古谷山へと緑の稜線が続き、東にはひときわ高く聳える明神山。再び、樹林帯を下って荒尾集落への路を左に分ける頃、里でお昼を告げる鐘の音がかすかに聞こえてくる。少し行くと木陰にベンチとテーブルがあり、ここで昼食休憩とする。

岩尾根を下り樹林帯へ

  昼食後、ひと登りすると再び展望が開ける。高圧線の鉄塔下であり、木々が切り倒されているので眺めは良い。先頭を行くSさんが「カモシカだ!」と小さく叫ぶ、目の前の登山路上にいたそうだがこちらを見て逃げてしまったそうだ。ガイドブックなどには運がよければカモシカに出会えると書いてあるのでかなりの生息数なのだろう。

高圧線の下を行く

  赤いヤマツツジが咲く尾根路、高圧線をくぐって一旦下り急登ひと登りで三等三角点 707.4mピークを通過する。この後も何度か登り下りを繰り返す。「この辺りが堤石トンネルの真上だ」と、GさんがGPSを見ながら知らせてくれる。ほどなく長い鉄製の階段が現れる。11年前に来たときには、20mほどの垂直の鉄ハシゴが設けられていたところだ。階段の最上部まで上っていくとすぐ右に半ば草に埋もれたその鉄バシゴが見えるが、最上部の降り口は塞がれていた。

岩古谷山直下の鉄製階段

  階段を上りきるとそこが岩古谷山山頂だ。狭い岩塊頂からの展望は抜群、辿り来た緑に覆われた稜線の向こうに倉掛山が望める。眼下には荒尾、和市集落、その後のに本日のゴール 田口の街並みも見える。

山頂より荒尾、和市集落と田中の街並み(右上)

鞍掛山から辿ってきた緑の稜線一望

ひときわ高く聳える明神岳

  狭い山頂を後にするとすぐに立派な山頂標識とベンチのある小広場、不動滝を経て堤石トンネル口に下る路が左に分岐している。ここでも集合写真を撮って岩古谷山を後にする。岩稜帯の急斜面の路を下る。階段状に岩が穿ってある上、路の両側に手摺も設けられているので慎重に下れば問題はない。

難所が続く岩古谷山の下り

堤石峠

  下れば上る、岩に這いつくように架けられた鉄階段などが次々と待ち受けている。難所を脱出すると堤石峠、ここからは、“十三曲がり”と名づけられた九十九折りの急坂を下る。林道を横断し、ほどなく和市集落に下り立つが、再び山路を登ることになる。

 鹿島山中腹の池葉守護神社まで標高差200m以上登らなければならないようだ。鞍掛山、岩古谷山を越えてきた身には辛い登りだ。ひと登りして墓地脇を抜け、さらにひと登りすると林道横断、面白くもない植林帯の路を黙々と登る。

  未舗装の林道をかぎ型に横断しさらに登り続けると水場の休憩所に出た。顔を洗い冷たい水を飲む。火照った身体にはなによりの清涼剤だ。空のペットボトルに冷たい水を補給して出発。

水場の休憩所

和市集落に下り立つ

 水場からほんのひと登りで池葉守護神社鳥居前の林道に出る。鳥居脇に東京まで400kmの標柱が立っている。石段を登ると本殿、境内には樹齢600年の御神木の大杉や合体大木がある。

池葉守護神社鳥居(東京より400km)

池葉守護神社本殿

  神社を後にして未舗装の林道を下る。先の舗装林道と合流し、少し先からまた林道を離れ山路を小松集落に向かって下る。途中、栽培していると思われるクマガイソウの小群落を見る。

  舗装道路に出たところが中熊バス停。大通寺前を素通りし、集落の舗装車道をだらだら下って行くと草に覆われはじめた棚田、さらに下っていくと、国道257号に出たところに小松口バス停がある。車を停めてあるタクシー会社までは1kmほどの地点だが、これを少し行くとまたまた山路に入り登りとなる。みな口数も少ない。植林帯の中の路を10分ほど行くと舗装道路に出て、グランドの向こうに倉掛山から岩古谷山まで歩いてきた稜線が一望できる。

学校のグランド越に見る鞍掛山(右)

  これでもかとばかりにまた山の中に向かっての登りだが、すぐに下ってようやく本日のゴール福田寺の境内に着いた。当寺の記録などによれば、野田城攻略の時、病に冒された武田信玄は帰国の途次、当寺においてしばし療養の後、亡くなったと伝えられているそうだ。

  福田寺の石段を下り国道257号に出て左折、5分ほどで車を停めたタクシー会社に着いた。多少の寄り道ではあるが“鳳来ゆーゆーありーな”で汗を流し、このところ馴染みとなった三河大野駅前のラーメン屋で軽く腹ごしらえをして帰路につく。浜松西ICで東名高速に乗り、牧の原SAで解散し、2台の車それぞれの解散地に向かう。

本日のゴール福田寺境内

更新日:2013/08/26