【滝子山】急峻な岩尾根を登り、花と新緑と渓谷の路を下る

シリーズ  山梨百名山     前  
山 名  滝子山(たきこやま)
山行日  2007年5月8日(火)
同行者  グループ・せせらぎ 5名
歩行時間  5時間28分(昼食休憩除く)
コース 桜公園→寂しょう苑→寂しょう尾根→滝子山→鎮西ヶ池→すみ沢コース→道証地蔵→桜公園
関連情報             アクセスカウンター
1/2.5万地形図 笹子 [南東]   笹子 [北東]
ガイドブック  新・分県登山ガイド 山梨県の山
  長沢洋 著  山と渓谷社 2006/02
立ち寄り湯 芭蕉 月待ちの湯
  tel:0554-46-1126 10:00-21:00 ¥700
地名註 ▼寂しょう尾根の “しょう”→立心偏に “尚”
  寂しょう尾根(じゃくしょうおね)=南稜
推薦HP ▼2006/10/28 滝子山
▼2004/05/06 滝子山南稜 by 荒川輝信
▼2002/05/04 滝子山・南稜
行 程
場 所 着時刻 発時刻
 桜公園 8:40 8:50
 寂しょう苑 8:57 8:58
 林道横断 9:13
 滝子山山頂 11:58 12:52
 鎮西ヶ池 13:03 13:06
 曲沢峠分岐 13:48
 迂回路合流 14:11
 道証地蔵 14:48
 桜公園 15:12 15:16

  JR中央沿線には、駅から駅へと直接歩けるので首都圏のハイカーに人気の高い山が多い。滝子山もそのひとつで、初狩駅と笹子駅が最寄の駅だが、静岡からでは、車を利用しなければならない。滝子山は、登山口付近に駐車スペースがあるのが幸いだ。

 桜公園前の車道を少し行き大鹿川を渡るとすぐに、右に未舗装の林道が分岐する。角に“寂しょう苑 寂しょう尾根入口”と書かれた古びた案内板が立っている。数分で寂しょう苑が建つ林道終点、ルート図が描かれた“滝子山 コースタイム”の案内板が立っている。笹子駅 30分、寂しょう尾根コース 3.5H と書かれている。ここが寂しょう尾根(南稜)コースの登山口だ。

 興津駅集合6:20、富士宮からR139、河口湖ICで中央自動車道に乗り大月ICで下りる。R20を甲府方面に9kmほど行き大鹿川を渡ってすぐ右折し、中央自動車道を渡ったところにある桜公園に車を停める。身支度を整え8:50出発。

寂しょう苑

  林道を横断すると、瑞々しい緑の広葉樹林の路が続く。傾斜はゆるやか、実に気持ちの良い路だ。登るに従い若葉は徐々に小さくなり1時間もするとツツジの花が目立ちだす。

  右は植林帯、左は雑木林の登山路端にはチゴユリやイカリソウが咲いている。10分余り登り、送電線鉄塔の辺りからは、フデリンドウが目立ちだす。登山口から25分ほどで林道を横断する。

広葉樹林帯の登山路

巨木も見られる自然林の登山路

  寂しょう尾根コースは“山と高原地図 大菩薩嶺 2003”に「岩場あり道不明瞭、上級者向き」とあり、コースは破線で描かれているがこの辺りまでは、一般ハイキングコースとなんら変わらない。2.5万図にまったく路が記されていないのが信じられないくらいだ。

  やがて急峻な岩尾根の険しい路となるが、手掛かり足掛かりがしっかりしているし、所々に固定ロープも設けられていて危険はほとんど感じない。要所には岩などにペンキの矢印もあり、路迷いの不安もない。

しだいに険しい岩尾根の路となる

  花は咲いていないが地面が見えないほどのイワカガミの群落に覆われた岩稜帯をぐいぐいと一気に登り、滝子山と浜立山を結ぶ尾根と合流するピークに立つ。振り返えると三ツ峠山を前景にした富士山が美しい。眼下には笹子の集落と辿ってきた寂しょう尾根が見下ろせる。

三ツ垰山の後に富士山、左下は登ってきた南稜

  ピークのところで、北上してきた道を右に折れ、2つのピークを越して滝子山山頂に至る。富士山の反対側には黒岳、雁ヶ腹摺山など大展望に囲まれた山頂で昼食とする。

  しばらくすると、桜公園で見かけた単独行の男性がやってきた。下山予定のルートである沢沿いの路を登ってきたとのこと。何度も来ているそうで「やはり、寂しょう尾根コースの方が速いですね」と、言っていた。

滝子山山頂

  山頂を後にして東に向かう路を数分下り鞍部のところで左に曲がる。直進するとすぐ先に三角点があり、そのまま進むのは初狩駅への路だ。分岐から三角点まで往復して鎮西ヶ池に向かう。

鎮西ヶ池がある白縫神社

  風情があるとはいえ、えらく大仰な名前の割りに小さな祠と貧弱な水溜りがあるだけの白縫神社と鎮西ヶ池の前を通り抜ける。すぐに大谷ヶ丸への路を右に分けると広々した防火帯となる。

  春の光をいっぱいに浴びた防火帯の路端にはフデリンドウ、ミツバツチグリ、ヒゲネワチガイソウなどの花々がいたるところに咲いている。先の単独行の男性が「とても素晴らしかったので来た路を下ります」と、言っていたのがよく分かる。

フデリンドウなどが咲く防火帯の路

山頂東のピークの三角点

  防火帯を抜け、再び大谷ヶ丸への路を右に分けしばらくするとすみ沢の源流部に出る。左に沢を見ながら芽吹きはじめの雑木林の路を行く。暗紅紫色で鐘形のハシリドコロの群落に続き、黄色い筒形の花を多数咲かせるキケマンの群落が続く。

 やがて曲沢峠への路を右に分ける。引き続き沢沿いを行く左の路は、足場の悪い難所であり、大雨のあとなどは、これを高巻く曲沢峠への路に迂回すべきだそうだ。

こんな崩壊地が数ヶ所

  山腹を下る沢沿いの路は、確かに崩落地も数箇所あり少々緊張させられるが、渓谷と芽吹きの森林を楽しめる路だ。迂回路が右から合流し、さらに沢沿いの路をどんどん下る。ヤマブキが今を盛りと咲き乱れる路、左には連続する小さな滝を流れ落ちる沢、新緑と小鳥の囀りが疲れをすっかり忘れさせてくれる。

すみ沢右岸を下る

防火帯からすみ沢源流部に向かう

  沢を2度渡り返すとほどなく道証地蔵に出て林道となる。これを20分ほど下ると寂しょう尾根コース分岐、往路を桜公園まで戻る。途中、都留ICで下りて“芭蕉 月待の湯”で汗を流し帰路につく。

右岸から左岸へ

桜公園前の駐車スペース

左:大谷ヶ丸、中:黒岳、右:雁ヶ腹摺山