【東海自然歩道 No.18】鳳来寺山、宇連山コース

シリーズ  新・日本百名山      前  
シリーズ  東海自然歩道      
山 名  鳳来寺山  宇連山
山行日  2007年4月21日(土)
同行者  グループ・せせらぎ 11名
歩行時間  9時間7分(休憩含む)
コース (三河大野駅→)大野中心街→湯谷峠→鳳来寺→鳳来寺山→玖老勢峠→棚山高原→宇連山→海老峠→仏坂峠→岩古谷山コース分岐
関連情報                          アクセスカウンター
1/2.5万地形図 ▼三河大野 [南東]   三河大野 [北東]
  海老 [南東]    海老 [北東]
ガイドブック  東海自然歩道 31選 愛知、岐阜、三重
  名古屋歩く会編  七賢出版 2000/03
ふれあいウォーク東海自然歩道
  宇佐美イワオ著 風媒社 1999
東海自然歩道日帰りハイキング〈2〉奥三河−鈴鹿峠
  武村岳男著 山と渓谷社 1996
よみがな ▼玖老勢峠:くろぜとうげ   川売:かおれ
  宇連山:うれさん    仏坂峠:ほとけざかとうげ
推薦HP ▼2006/11/21 四谷〜宇連山〜鳳来寺〜三河大野駅
▼1997/11/01 東海自然歩道{三河大野ー四谷}
行 程
場 所 着時刻 発時刻
 三河大野駅 8:50 8:55
 大野中心街継歩地点 9:02 9:05
 湯谷峠 10:02 10:07
 東照宮 10:55 11:04
 奥の院 11:32 11:37
 鳳来寺山頂 11:45 12:08
 玖老勢峠 12:57
 棚山高原休憩舎 14:00 14:05
 大島の滝展望所 14:36 14:38
 宇連山山頂 15:43 15:51
 海老峠 16:52 16:53
 仏坂峠 17:40 17:42
 県道出合い 17:52
 岩古谷山コース分岐 18:12 18:17

  前回、静岡県境を越え愛知県に入り、阿寺の七滝を経て飯田線 三河大野駅まで歩いた東海自然歩道。三河大野駅から継歩する今回は、適当な継歩地点がないため、鳳来寺山と宇連山を越え仏坂トンネルまで、アップダウンの連続する23Kmほどの長丁場となる。鳳来寺山周辺一帯は、景観にすぐれ、天竜奥三河国定公園に指定されていている。

  数日前に下山口のタクシー予約を数社にお願いしたが、いずれも色よい返事を得られず、やむなく歩きはじめが1時間近く遅くなるが、下山口に車1台をデポする計画とした。

 焼津駅集合 6:10、焼津ICから豊川ICまで東名高速を使い、国道151号線で三河大野駅に向かう。途中、車1台をゴールの四谷集落にデポして、三河大野駅出発は9時少し前。祭り(大野神社祭礼)の準備をしている大野中心街の東海自然歩道の継歩地点まで戻り、集合写真を撮って9:05出発。

大野中心街を継歩地点に向かう

  大野の街中を抜け宇連川を吊り橋で渡るとアケビの花が咲く引地の集落。鉤型に飯田線の踏み切りを横断してしばらくすると民家が途切れ、未舗装の道となる。東海自然歩道の大きな案内板に“御油の宿から秋葉山に通じた旧街道”とある。信仰と物見遊山を兼ねた旅人が行き来したであろう道端には、丁目石が点々と目に付く。

吊り橋で宇連川を渡る

  檜林の中のゆるやかな林道状の街道が傾斜を増し、登山路風になるとほどなく湯谷温泉への路が分岐する湯谷峠に着く。ひと休みして、鳳来寺山パークウェイを歩道橋で2度またぐと、行者越となる。昔は岩をよじ登るなど修験者も苦闘したという難所も今は、巻き路ができていて、難なく通過できる。

歩道橋を2度渡ると行者越

  岩場の上に出ると展望もよく、風も心地よい。新緑にわずかに混じるミツバツツジのピンク、岩や木の根が剥き出たちょっと歩きにくい路がしばらく続く。湿って滑りやすい石段を慎重に下ると、山頂駐車場からの路と合流する。

行者越を行く

  新緑のトンネルを行くと東照宮の石段下に出る。見上げると東海自然歩道の道標が立っている。天空に突き上げる老杉脇の石段を上ると、絢爛豪華な東照宮に出る。日光、久能山とともに三代東照宮に挙げられている。徳川家光が建立したもので国の重要文化財だそうだ。

東照宮への石段

  社務所で、東海自然歩道の記念スタンプを押す。愛知県内の全204.1kmのコースでスタンプ場は9ヶ所ある。全部押すつもりだ。社務所の脇を通り、鷹打場経由で鳳来寺山に至るコースはサブルートとのこと。石段を下り本線に戻り、新緑に彩られた路を鳳来寺に向かう。

新緑に彩られた路を鳳来寺に向かう

  鳳来寺本堂前を通り、石段の表参道を左に分け、本堂を回りこむように石段を上る。鏡岩への急峻な登りは、木橋や鉄製の階段、手摺など遊歩道的に整備されていて危険はない。巨岩に守られたお地蔵さんなど点在する石仏が見守る路を行く。

鳳来寺本堂を回りこむように石段を上る

  水が滴り落ちる巨岩帯を抜け、樹齢千年以上という六本杉(どれが?)案内板を過ぎるとほどなく奥の院に着く。裏手の巨大な岩塊上からは、眼下に三河の山々などの大展望が広がっている。標高621m、ここは昔、多くの修験者の修行の場であったという。いかにも修験者が座禅し瞑想にふけるにふさわしい岩塊上の展望台だ。

奥の院脇の岩塊上の展望台

  奥の院展望台を後にすると、鳳来寺山山頂まではひと登り。さほど広くない山頂に、東海自然歩道と自然観察路の道標や案内板がいくつも立っている。ベンチ傍らの三角点は、1m近くもむき出しになっている。展望はあまりすぐれないがここで昼食とする。

鳳来寺山山頂

  昼食後、最年長のY.M.さんは、ご自身の当初の予定通りここから表参道を下山する。われわれは、Y.M.さんと別れ棚山高原に向かう。鳳来寺山は双耳峰で、三角点のある頂に山頂表示があるが、150mほど北の瑠璃山の方が標高で10m余り高い。いったん小さく下って登り返えし、馬の背のような岩尾根を越えて行く。前方に宇連山に連なる山並みが見渡せる。

瑠璃山の馬の背

  登り下りを繰り返しながら難所の岩稜帯を下る。犬戻りの大難所も鉄階段や頑丈な手摺などが設けられていて、まったくといっていいほど危険は感じない。

犬戻りの大難所

  萌え出でる淡い緑に包まれた岩尾根に、アカヤシオが彩を添える路は、癒しの空間でありながら適度な緊張も強いられる快適な登山路だ。ベンチとテーブルの置かれた玖老勢峠を通過する。

玖勢峠を挟み新緑に吸い込まれて行く先行者

アカヤシオ咲く岩尾根を行く

  峠から標高差300mの棚山高原まで急登が続く。先行者の姿が、萌黄色に染まる山肌に吸い込まれていく。細かいジグザグを切って急坂を登り振り返ると、鳳来寺山山頂から辿ってきた尾根が一望できる。

  相変わらず岩がちの路端に白いイワカガミ、目の高さにはピンクのアカヤシオが咲いている。心楽しい路が続くのだが、右脚膝上の内側にこれまで経験したことのない違和感があるのが少々不安だ。

振り返り見る鳳来寺山

 急登を登り切ると宇連山への尾根コースが右に分岐する。入口に“ここから先は東海自然歩道ではありません”との表示板が立っている。ガイドブックによると“展望のよい尾根コースは、東海自然歩道よりも路がしっかりしていて歩きやすい”とある。自然歩道歩きでなければ尾根コースを歩きたいところが、棚山高原経由の左の本線を行く。

宇連山への尾根コース分岐

  瀬戸岩への分岐を左に分けると棚山高原キャンプ場、数年前に閉鎖したのだろう、道の両側に廃墟みたいなバンガローが何棟も建っている。川売集落への道を左に分け、棚山高原を貫く林道を行く。

  林道から再び山路に入る。10分ほどで左前方、樹木越しに大島の滝が見える。落差70m、3段に分れ岩肌に白い帯をたらしている。しばらくすると沢筋の路となりまた林道に出る。よく手入れされた植林帯の道はしばらくするとまた山路に入る。林道のせいで、山路はずたずたにされたようだが、道標がしっかりしているので迷う心配はない。

林道でずたずたにされた登山路

樹木越に見る大島の滝

  宇連山頂西側の尾根を越え、少し下ると山頂北側の宇連山への分岐に出る。数組のベンチとテーブルが設置されていて格好の休憩所となっている。希望者のみと思ったが、みなでザックを置いて山頂を往復することにする。自分は、既にこの頂を2度踏んでいる。脚の様子がおかしいので待っていようと思ったが、山頂まではわずか10分程度、みなと一緒に往復することにする。

宇連山分岐、正面が山頂への路

  山頂は小広く、古びているが大きな休憩舎がある。数年前、雨の中を登りこの休憩舎で昼食をとったことを思い出す。山頂からは、目の前の明神山はじめ奥三河の山々、その手前に鳳来湖も見下ろせる。

休憩舎のある宇連山山頂

  分岐まで戻り2.3km先の海老峠に向かう。下り勾配とはいえ、上り下りの厳しいピークが連続する。脚の調子が思わしくないので、パーティーを2組に分ける。健脚者中心に5人が先行、デポした車を回収してスタート地点の車を回収して迎えにきてもらうことにする。

登り下りが繰り返される海老峠への路

海老峠

  アップダウンを何回か繰り返しようやく海老峠、三河大野駅を出発して既に8時間歩き通している。仲間からもらった湿布薬と借りたストックのおかげか、故障気味の脚の割には順調にここまで来た。県道のトンネル上の仏坂峠まで1.4km、あとひと頑張りだ。再び、上り下りを何回か繰り返えした後、どんどん下って仏坂峠到着。

  県道32号線の仏坂トンネルの真上にある仏坂峠は、江戸時代、三河と信州を結ぶ中馬街道のひとつで、馬頭観音や石仏がたくさん置かれているので仏坂峠と呼ばれた。三河の商人は、商品を運ぶ馬を家族同様に大切にしたので馬頭観音が多いのだそうだ。

多くの石仏が置かれた仏坂峠

  峠からトンネルの出入り口に向かって下り県道にで下り立つ。県道を四谷集落に向うとすぐに四谷トンネル、これを抜けて振り返ると、今歩いて来たアップダウンの繰り返される尾根が連なって見える。

県道(右上)に下り立つ

  カーブの繰り返される舗装道路をどんどん下り、本日のゴールである東海自然歩道の岩古谷山コース分岐(鞍掛山登山口)に着いた。先行者に電話すると、「10分ほど前に出た」とのこと。それではしばらくかかるだろうと、千枚田(棚田)まで行くことにする。

トンネルを抜け振り返り見る辿り来し尾根

  千枚田に着いたところで再度、電話すると先ほどの「10分前に出た」とは、車のデポ地を出たとのことで「これから迎えに行く」とのこと。ベンチに座り込んで大休止の後、千枚田に沿って県道を下る。途中、千枚田の中を下る遊歩道があるが、迎えの車を待つ身では県道を下るしかない。ちょうど千枚田遊歩道の下の入口で迎えの車に乗れた。大野まで戻り夕食後、手筒花火を見物して帰路につく。

大野の手筒花火

更新日:2013/08/26