【東海自然歩道 No.9】田代峠コース

シリーズ  東海自然歩道    前  
山行日  2006年10月29日(日)
同行者  グルプ・せせらぎ 10名
歩行時間  9時間30分(休憩含む)
コース 井出駅→富栄橋→鯨野→徳間→奥山温泉→田代峠→大平

  前回、朝霧高原から田貫湖と静岡県を歩いた東海自然歩道は、長者ヶ岳の山頂から県境尾根を歩き鞍部から再び山梨県に入った。今回は、前回ゴールの身延線 井出駅から県境の田代峠を越え再び静岡県に入り、大平バス停まで約30kmのロングコースである。


  静岡駅発7時03分のJR東海道線で富士駅まで行く。ここで、秦野市から参加のK.S.さんと落ち合い、今日のメンバー10名が揃う。身延線に乗り換え無人駅の井出駅着8時32分、身支度を整えて出発。午前中は雨を覚悟していたのだが、幸いにも雨の心配はまったくなさそうだ。

  富士川と身延線の間の舗装道路をしばらく歩き、富栄橋で日本三大急流の一つである富士川を渡る。すぐに国道52号線を横断、真篠に向かう。井出駅から30分余りで山路に入る。舗装道を離れたのは良いが、杉林の薄暗い路だ。昨夜の雨で湿ってもいるし、あまり楽しくない路だ。今日のコースに山越えはないのだが、けっこう急な傾斜で汗が吹き出る。

井出駅から富栄橋に向かう

  山路に入り30分ほどで林道に出合う。ひと休みして舗装された林道を行く。歩きながら、先に見た篠井山のヤマヒルが話題となる。沢口山でのヤマヒル被害の話をしながら、その時喰われた小指と薬指の股を見て驚いた。同じところにヤマヒルが喰らいついている。あわてて掃い落とした傷口から、わほんのわずかだが血が出ている。ティッシュで傷口を押さえ続けたが、2時間ほどは出血が止まらない。10月末になってもヒルがでるとは想定外だ。

ヤマヒルにやられた登山路

  林道に出て10分ほどで鯨野・徳間への路が右に分岐する。すぐに、草ぼうぼうの幅広の路が大きく右カーブする辺りに直進するしっかりした踏跡があり赤テープがぶら下がっている。この路をしばらく行くが、しだいに踏み跡が怪しくなる。右下方に集落も見えているので、強引にそのまま進もうとしたが草深い上、かなりの急斜面でもあり分岐まで戻ることにする。

林道より分岐する草ぼうぼうの鯨野への路

集落のとば口でヒル確認

  分岐まで戻り、幅広の路を行くとすぐに道標がありホッとする。幅広の路をしばらく下ると林道となり、ほどなく集落のとば口に出た。大急ぎで靴を脱ぎヒル確認、あちこちで「ワッー!」「キャー!」と、悲鳴があがる。

  集落内は道が入り組んでいる割には道標がない。方向を定めて適当に歩いていると「どこへ行くのかね?」と村人が声かけくれ、「それなら、そっちだ」と指差し教えてくれる。ませど温泉の民宿を過ぎると集落は終わり、しばらくいくと“徳間3km”の道標があり薄暗い山路となる。集落の入り口から2kmほど歩いたことになる。

徳間まで3km、山越えの路に入る

  山路の入り口に立派な造りのトイレがあるが、真昼間だというのに薄暗くじめじめした感じでとても使う気にはなれない。沢沿いに遡る、びっしりと苔の生えた木橋や枯葉の積もる路はいかにもヤマヒルの棲家に思えてしまう。10分ほどで未舗装林道に出るが、すぐに同じような山路が分岐する。

苔むす東海自然歩道

時おりヤマヒルが鎌首をもたげる路

  ヤマヒルにはじめて出遭う人が多いのだろう、ときおり「ウヮッー!」と声があがる。注意して足元を見ていると、ヤマヒルが1センチほど鎌首をもたげ、針金のような体をくねらせながら獲物を探している。立ち止まるのも憚られるような路で山越えをし、林道に出たところで2回目のヒル退治。

ススキに覆われた林道

  林道はまったく使われていないようで、全面的にススキに覆われているところもある。しばらく行き、舗装道に変わる辺りでお茶畑の手入れをしているご夫婦に声をかけられる。「ヒルにやられなかったかね?」口々に被害を伝えると奥さんが「私らは、お酢をかけながら作業をしている」と言う。

  3回目のヒル確認をした後、緑を避け舗装道路に座り込んで昼食とする。ヒル騒動のせいか、この先の行程の長さを思ってか少々気が重そうだ。「場合によっては、奥山温泉で打ち切り、タクシーを待つ間、温泉で汗を流し、次回は奥山温泉からにしましょう」と伝えると、少しは気が楽になったようだ。

舗道で昼食、バックは貫ヶ岳

奥山温泉道沿いにトイレのある徳間バス停

  慌しく食事を済ませ、舗装道路をどんどん下り15分ほどでトイレのある徳間バス停に着く。自然歩道ではめったに見られない自動販売機も近くにある。トイレを済ませるなど、気を入れ直して6km先の奥山温泉に向かう。福士川渓谷沿いに、登り勾配が延々と続く舗装道路、先頭のH.K.さんは、遅れを取り戻そうというのかバカに飛ばす。数人がそれについて行くので、やむなくみな相当の早足になる。

  車で数回は通った道だが記憶はほとんどない。間近に落ちる滝や色づきはじめた対岸の山肌、あるいは道端のお地蔵さんを愛でることもできずひたすら歩き続ける。七つ釜滝への路を右に分け、椹橋で福士川の左岸に移りしばらく行くと、篠井山への登山路が分岐する。登山口に塩入りのタッパーが置かれている。蓋に“山ヒル対策用。ご自由にお使いください。南部町”と書かれている。

滝の傍らを奥山温泉に向かう

  篠井山登山口を過ぎるとほどなく奥山温泉に着く。徳間バス停から6km、標高差400mほどの道のりを1時間10分ほどで歩いたことになる。既に午後2時半を過ぎているが、誰もここで止めるとは言わない。駐車場整理の係員に「懐中電灯は持ってるね」と念を押される。もちろん、ゴールに着く頃は真っ暗と覚悟の上、たっぷり休憩をとって田代峠に向かう。

奥山温泉

  未舗装だが幅広のしっかりした林道を行く。先ほどの競歩のような歩き方には付き合わず、ゆっくりと歩くことにする。林道から左に分岐する道に入り、しばらく進むとベンチの置かれた広場に着く。ここで一休みして田代峠への最後の登りに備える。

田代峠への本格的山路の前でひと休み

  ここからは本格的な山路。薄暗くなりまた、クマなどの心配もあるので一人旅にならないよう、足並みごとに3,4人づつのグループに分け、それぞれ一緒に行動することにする。30分ほどでお地蔵さんが見守る田代峠に着いた。標高は1000mを超え、登山路がクロスしている。右は青笹山、左は徳間峠から高ドッキョウへ続く登山路だ。ここは山梨県と静岡県の県境。再び、わが静岡県に入る。

ガスも出はじめ、夕闇迫る田代峠

  すでに午後4時を回っている。暗くなるまでには林道に出たい。記念の集合写真を撮ってすぐに田代峠を後にする。静岡県に入ると道標がしかりしていて助かる。しばらく下ると興津川の源流が現れる。疲れた脚には歩きにくい路だ。続いて右に林道が見えたが、そのまま山路を下る。峠から30分ほど下ったところで東海自然歩道は林道を横断する。自然歩道はすっかり草に覆われ歩く人はほとんどいないようだ。夕闇が迫ると共にガスも出はじめ、相当に見通しが悪い。左に折れて林道を下ることにする。

自然歩道は林道横断だが林道を下る

  林道を右カーブしながら2分ほど下ると、右から山路が合流する。この先も自然歩道は林道を縫うように下っているようだ。“大平キャンプ場3.7km”道標のところが自然歩道の登山口のようだ。ここから大平バス停までは1時間ちょっと、最終バスの発車時刻までには1時間20分ある。なんとか間に合いそうだ。

  道標から5分ほど下ると林道ゲート。十分間に合うとは思うのだが、なんとなく気持ちは忙しい。「間に合わなければ、タクシーを使うので心配ない」と伝え、焦らないよう促す。しばらくして懐中電灯での下りとなる。林道とはいえ懐中電灯では、やはり歩き難い。ひたすら林道を下り、最終バス発車の10分ほど前に大平バス停に着いた。

本日のゴール、大平バス停

関連情報               アクセスカウンター
1/2.5万地形図 ▼篠井山 [北東]  篠井山 [北西]  篠井山 [南西]
ガイドブック  東海自然歩道 30選 東京、神奈川、山梨、静岡
  塚本義次編  七賢出版 2000/05
東海自然歩道 日帰りハイキング〈1〉高尾山‐奥三河
  武村岳男著 山と渓谷社 1994
交通 ▼バス料金:大平⇒但沼車庫⇒JR興津駅 ¥590+¥350
  問合せ先 しずてつジャストライン:tel 0120-012-990
推薦HP 1997/04/26-東海自然歩道{井出駅−大平}
立ち寄り湯 奥山温泉  tel:0556-66-3366 10:00-17:00  ¥800
行 程
場 所 着時刻 発時刻
 身延線 井出駅 8:32 8:38
 R52横断 8:54
 集落とば口 10:20 10:25
 徳間まで3km地点 10:51
 昼食 12:26 12:40
 徳間バス停 13:01 13:12
 奥山温泉 14:23 14:33
 田代峠 16:00 16:09
 林道出合 16:36 16:38
 林道ゲート 17:00
 大平バス停 18:08 18:17

更新日:2013/09/02