【天狗岳】八ヶ岳の中央、苔むす原生林と展望広がる岩峰の山

シリーズ  日本二百名山     前  
山 名  天狗岳
山行日  2006年9月21日(木)
同行者  Mさん、 Nさん 
歩行時間  6時間57分(休憩含む)
コース 唐沢鉱泉→展望台→西天狗岳→東天狗岳→黒百合ヒュッテ→唐沢鉱泉

  南北21qにわたる八ヶ岳連峰のほぼ中央に位置する天狗岳は、東西二峰をひっくるめて天狗岳と呼ばれるが、厳密には東より6mほど高い西天狗岳が頂上とされている。


  かつて、編笠山から蓼科山に向け八ヶ岳を縦走した際、縦走路からわずかに離れた西天狗岳に寄らなかったことが悔やまれ、いつかはその頂を踏みたいと思っていた。

  台風や秋雨前線の影響でぐずついた天気の日が続いたが、台風13号が日本海を抜けた後、久しぶりに2日ほど好天になるとの予報に急遽、念願の天狗岳に登ることにした。急な計画にも関わらず幸いにも2人が同行してくれた。
  自宅出発5時15分、途中で同行者2人を乗せR52号を北上、南アルプスICから中央自動車道に乗り、諏訪ICで下りR152経由でフォレストカントリークラブ三井の森を目指す。そこからは未舗装だが、乗用車でもまったく問題ない道を5kmほど行き唐沢鉱泉に9時頃着いた。駐車場にはトイレもあり、ゆっくり身支度を整えて出発する。

唐沢鉱泉50mほど手前の無料駐車場

  唐沢鉱泉前を流れる唐沢に架かるしゃくなげ橋が天狗岳の西尾根コースの登山口だ。橋を渡るとすぐに北八ヶ岳らしい苔むした樹林帯の路となる。いきなりの急登、いつものように歩き出しは超ゆっくりペースで20分ほど登り一休み。再び、同じようなペースで登りだしたがNさんは調子がでないようだ。10分もしないうちに「ちょっと、休ませて」という。少々食べて飴をなめしばらくすると身体が楽になったようだ。

天狗岳西尾根登山口

  再び登りだすと、「嘘のように身体が軽くなった」という。朝が早かったのでシャリバテかもしれない。西尾根のT字路、枯尾の峰よりの路を合わせても相変わらず樹林をぬい、苔を踏んでの急登が続く。そんな辛い登りもMさんのお喋りに気を紛らわせながら順調に高度を稼ぐ。

樹林帯の苔むす登山路

  第一展望台から少し下り樹林帯を抜け登り返すと第二展望台。目の前の西天狗岳が大きい。展望台を後にしてしばらく下ると、Mさんが前方に見えるハイマツの中の岩稜帯を指差し「あんな急なとこ人が登ってる。ほら、動いてる動いてる」と、感心しながら人事のように言う。「これからあそこを登るんだよ」と言うと、「ほんと、ウワッー!」とうれしそうな声を上げる。

  樹林帯を抜けると突然、展望が開けた露岩帯の第一展望台へ出る。単独行の男性が休んでいる。挨拶を交わすと、目の前に聳える山を指し「あれが第二展望台、西天狗はその向こうでここからは見えないが一時間ほどで行くでしょう」と教えてくれる。

第二展望台より西天狗岳を望む

  大きな岩が無造作に入り組んだ急斜面を両手も使いながら、先ほどMさんが「動いてる、動いてる」と言った当事者になって登る。展望が大きく広がる岩稜帯の急登に一気にアルペンムードが盛り上がり、真剣ななかにも嬉々とした様子が伺える。

西天狗山頂より南八ヶ岳主峰、中央が赤岳

西天狗岳登り、後方は第二展望台

  西天狗岳の山頂は広々している。誰もいない静かな頂だ。編笠山の左に阿弥陀岳、赤岳、横岳の荒々しい南八ヶ岳の主峰が連なり目の前には爆裂火口を露にした硫黄岳の広がりが圧巻だ。反対の北側を見ると一転、ゆったりとした起伏の緑の山並みが蓼科山まで続いている。

西天狗岳山頂より東天狗岳を望む

  すでに昼は過ぎていたが昼食は東天狗岳でとることにする。気持ちの良い稜線の路、左右に様相のまったく異なる北八、南八を眺めながらルンルン気分で東天狗岳に向かう。山頂には5人ほどのハイカーが休んでいた。食事しながら、Mさんが目の前に切り立つ硫黄岳の火口壁を見ながら「武甲山みたい」とつぶやくと、近くにいた若い単独行の男性が話しかけてきた。武甲山の麓に住んでいるとのこと。しばらく秩父の話で盛り上がる。

東天狗岳山頂、後方に蓼科山

  山頂で記念写真を撮ってから、眼下に見える黒百合ヒュッテに向かう。大きな石がごろごろした露岩帯の路は、神経が疲れる。岩のあちこちに白ペンキで○や×が印されている。こまめに印されているので、ガスに巻かれても迷う不安はないだろう。中山峠への路を右に分け直接、黒百合ヒュッテに向かう。

中山峠分岐付近、正面に北八ヶ岳の山並み

  嫌になるほど続くゴーロ路を行く。振り返ると累々とした岩塊の向こうに双耳峰の天狗岳が一望できる。カメラに収めようと構えたが、なんと電池切れ。ザックの一眼レフを取り出したが花撮影の100mmマクロレンズだけで、他の交換レンズは見当たらない。やむなくコンパクトカメラの電池を外し、身体で暖めながらしばらく下り、なんとか一枚だけ撮れた。

左 東天狗岳、右 西天狗岳

  黒百合ヒュッテで一休みして、唐沢鉱泉に向かう。ヒュッテからの路は少しは歩き易くなるかと期待したが、樹林帯の中の苔むした岩の頭を踏みながらの下りは、これまで以上に神経を使う。そんな路でもさほど苦もなく下っていたMさんが足を滑らせ横転する。起き上がろうとするが身動きがままならない。ちょっと手を貸し、起き上がって確認したが幸い何の問題もなさそうでホッとする。

唐沢鉱泉

行 程
場 所 着時刻 発時刻
 唐沢鉱泉 9:00 9:13
 枯尾の峰路合流 10:09
 第一展望台 10:55 11:00
 第二展望台 11:25 11:30
 西天狗岳 12:03 12:18
 東天狗岳 12:33 13:00
 中山峠分岐 13:13
 黒百合ヒュッテ 14:24 14:35
 渋の湯分岐 15:11
 唐沢鉱泉 16:10 17:15

  それまで快調に下っていたMさん「一度滑ると怖くなる」との言に、われわれもいっそう慎重になる。しばらくして、渋の湯への路を右に分け左の唐沢鉱泉へ向かう。相変わらず沢筋の石ゴロ路で、ほとんどの木橋は朽ちかけ少しも楽をさせてくれない。ようやく、色づきはじめた木々に目をやりながら歩けるほどの路になるとほどなく唐沢。橋を渡ると林道となり5分ほどで唐沢鉱泉に戻った。鉱泉でゆっくり汗を流し帰路につく。

関連情報                          アクセスカウンター
1/2.5万地形図 蓼科 [南東]
立ち寄り湯 唐沢鉱泉   tel:0266-76-2525  ¥700
地名(かな) ▼箕冠山:みかぶりやま
推薦HP 八ヶ岳名湯 唐沢鉱泉 八ヶ岳天狗岳登山案内