ガス覆われた火口淵、左下にシェルター2基
車坂峠無料駐車場
【浅間山】火口2Km内は立入禁止なのだが
シリーズ | 日本百名山 前 次 | |
山 名 | 浅間山(黒斑山、前掛山) | |
山行日 | 2006年9月2、3日 | |
同行者 | 単独行 | |
コース | 2日:車坂峠→表コース→トミーの頭→黒斑山→トミーの頭→中コース→車坂峠 3日:浅間山荘⇔火山館⇔賽の河原⇔前掛山 |
日本百名山の山旅は、98座目の劔岳に登って以来、丸2年が過ぎた。残りは浅間山と立山だが、剱岳に登った前々日(2004/09/01)に浅間山が大噴火し、黒斑山を含め全面的に登山禁止となってしまった。現在は、火山活動が "レベル2" に引き下げられ黒斑山を含め火口から2キロ外区域の規制は緩和されている。
9月最初の土日は全国的に好天になるとの予報に、浅間山に向かうことにする。自宅出発朝6時、R52、中央自動車道の須玉ICからR141、R18を経由し登山口の車坂峠に10時半頃着いた。
景色の良い表コースを登ることにする。多くのハイカーが列を成して登っている。潅木帯のゆったりした登りの路をしばらく行くと展望が開け、20分ほどで車坂山につく。登った以上と思えるほどいったん下って登り返すと、開けたガレ場の路となり傾斜も増す。いっきに高度を稼ぐ感じだ。
多くのハイカーで賑わう表コース
稜線の上に浅間山が見え出すとほどなく鉄製でかまぼこ形のシェルターが建つ槍ヶ鞘に出る。第一外輪山の南端にあたる赤ゾレの頭を越え、少し行くと小さな鞍部に出る。右側がスパッと切れ落ちた火口壁の稜線だ。見下ろす針葉樹林に覆われた火口原の先に浅間山が聳えている。
赤ゾレの頭から浅間山を望む
前方に雄大な浅間山、周辺は荒々しい火山帯の様相を見せる火口淵を行く。中コースからの路が左から合流し、岩ゴロの路をしばらく登るとトミーの頭、20人ほどのハイカーが休んでいる。前方に黒斑山から蛇骨岳へと連なる外輪山が一望できる。稜線の左は樹林帯、右側はスパッと切れ落ちた断崖だ。
シラビソ樹林帯を抜け、再び岩混じりの路を登りつめると、数十人のハイカーで大賑わいの黒斑山山頂に達する。黒斑山は浅間山外輪山の最高峰で、浅間山を正面から眺められる絶好の展望台なのだが、山頂は狭く人は余りにも多い。仕方なく、樹林帯の中を蛇骨岳方向へ少し下り、大きく展望が開けた辺りで昼食とする。間近に迫る浅間山の雄姿を見ながら、山頂の喧騒が嘘のように静かな時間を過ごす。
トミーの頭から黒斑山・蛇骨岳へ連なる外輪山
黒斑山山頂
往路をトミーの頭の少し先の中コース分岐まで戻り、表コースを左に分けてシラビソの樹林帯を下る。中コースの傾斜は緩めで起伏がないので楽なのだが樹林帯で展望はあまり望めない。ひたすら下って車坂峠に戻る。
中コース登山口
9月3日 前掛山
前日、登山規制区域外の黒斑山に登り、とりあえず日本百名山99座目の浅間山山頂を踏んだことにしたが、時間の関係で蛇骨岳、湯の平、草すべりの周回を諦めたこともあり、なにか物足りなさを感じ翌日も一度、浅間山荘側から周回コースを歩くつもりで麓のビジネスホテルに泊まった。
浅間山荘前駐車場(有料)
登山口
現在、火口から2Km以は内立ち入り禁止、火口から500mの前掛山ももちろん登山禁止だ。前掛山は、2001年7月に規制緩和されるまで28年間も登山規制されていた。それが、2004年9月の大噴火以来、火口から4km以内が登山規制され黒斑山さえ登れなくなってしまった。昨年6月ようやく2Km以内立ち入り禁止と規制緩和され黒斑山、仙人岳、湯の口、火山館などに立ち入ることができるようになった。最近は規制を無視し、本山や前掛山を目指す人がいるとのうわさを耳にしていた。
朝6時前に浅間山荘前の駐車場に着いた。身支度を整えていると、地元の男性単独行の方がやって来た。浅間山本山に登る予定だという。すでに浅間山には4回登っているとのこと。今回、チャンスがあれば自分も浅間山本山に登るつもりで、自己判断で行動できる単独行としただけに大いに心がざわつく。
身支度を整えて6時出発。浅間山登山口の鳥居をくぐると、登山届箱の置かれた登山指導所の脇に“火山活動レベル2:火口から2Km以内は立ち入り禁止”、規制外区域も“登山は自己責任で”との警告板が立っている。
自己責任での登山を強調した案内板
車両進入禁止の林道を沢沿いに行く。ゆったりした傾斜の歩き易い道だ。第一の鳥居で不動滝経由の路を右に分ける。相変わらずゆったりした傾斜だが岩ゴロ路でやや歩き難くなる。分岐から20分ほどで滝コースと合流する地点が第二鳥居、“浅間山荘へ2.3km、火山館へ1.8km”の道標が立っている。
第二鳥居
“火山館へ1.0km”の表示板辺りから前方に牙山やトミーの頭などの荒々しい岩峰や酸化鉄で赤く染められた沢が現れ硫黄臭も漂いはじめる。荒々しい火山帯らしい景観になるとほどなく火山館につく。登山口から1時間半ほどだ。
火山館前よりトミーの頭を望む
2階建ての火山館は資料館というより火山シェルターを備えた山小屋の佇まいだ。水場もある。係りの方がおられたので、「山小屋みたいですが、泊まれるんですか?」と聞いてみた。「宿泊はできません」とのこと。「前掛山は立ち入り禁止ですよね」と聞くと即座に「禁止です……」やや間をおいて「でも、登ってる人もけっこういますが・・・」とのこと。
火山館
火山館を後にすると直ぐに湯の平口。左に草すべりを経て黒斑山への路が分岐する。左に外輪山を眺めながら雰囲気の良い火口平原をしばらく行くとJバンドへの路が左に分岐する賽の河原に出る。直進する前掛山への路にはロープが張られ、“立入禁止”の表示板が置かれている。しかし、傍らにその表示板とは比べ物にならないほど立派な案内板に“火山は前触れなく噴火するので、火口付近は立ち入り禁止。登山は前掛山までです”と書かれている。
湯の平口より黒斑山を望む
立入禁止のロープが張られた賽の河原
“一応通行止めですよ”とばかりに、顔ほどの高さに張られたロープを、意を決してくぐる。昨日の黒斑山登山路とは違い、人の気配はまったくないが路はしっかりしている。しばらく行くと樹林帯を抜け視界が開け、前掛山や外輪山の黒斑山、蛇骨岳、仙人岳など間近に望めるようになる。
鋸岳を左に見ながら砂礫の路を登る
前掛山の斜面を斜上するように溶岩小石混じりの砂礫の路が延々と続く。傾斜がきつくなるに従い、ズルッ・ズルッと靴底が滑る感じで歩き難くなる。まだかまだかと見上げる先に先行者2人の姿が目に入り、ホッとする。
先行者に追いつきしばらくするとロープの張られた浅間山と前掛山の分岐にたどり着く。“これより先は立ち入り禁止”の看板が噴石の中に倒れている。少しはなれたところに半壊した2棟のシェルターが見える。浅間山山頂付近はガスに覆われはっきりしないが、第二外輪山の先に前掛山山頂ははっきりと望める。
前掛山山頂(標柱は浅間山)
浅間山分岐より前掛山(左奥)
先行者に「浅間山に登りますか」と聞くと、ためらうことなく「前掛山に登ります」とのこと。自分もとりあえず前掛山に向かう。立入禁止の分岐を右に曲がり、岩礫の火口壁の稜を行き20分ほどで前掛山頂上に着く。山頂に立つ標柱は浅間山と表示されている。浅間本山はガスに覆われ姿は見えない。山頂とはいえ単に崖の上に立っている感じ、とても長居をする気になれない。
早々に往路を戻る。分岐に近づく辺りで浅間山を見上げると火口淵付近は火山ガスに覆われているが、途中に2つの人影が見える。われわれも人影を追い分岐から本山を目指すことにする。しばらく登ると、ひとり下りて来て「刺激臭がしたので止めた」と言う。立ち止まってその方と話し込んでいると、もうひとりも登頂を諦め下りて来た。登山口でお会いした方だ。
私も本山への登頂を諦め往路を下る。右前方に黒斑山から鋸岳へと連なる第一外輪山を全貌しながら一気に下る。立入禁止の分岐まで戻る間に10人近いハイカーとすれ違った。不動滝経由で登山口に戻り、浅間山荘 天狗の湯で汗を流し帰路についた。
第一外輪山を俯瞰しながら前掛山斜面を下る
黒斑山(9/2) 行 程 | |||
場 所 | 着時刻 | 発時刻 | |
車坂峠 | 10:30 | 10:40 | |
トミーの頭 | 11:45 | 11:50 | |
黒斑山 | 12:05 | 12:40 | |
中コース分岐 | 13:00 | − | |
車坂峠 | 13:35 | − |
関連情報 | |
1/2.5万地形図 | ▼黒斑山:車坂峠 [北東] ▼前掛山:浅間山 [北西] |
地名(かな) | ▼黒斑山:くろふやま ▼牙山:ぎっぱやま |
立ち寄り湯 | ▼高峰高原ホテル (車坂峠) tel:0267-25-3000 ¥800 |
▼天狗温泉 浅間山荘 tel:0267-22-0959 11:00-16:00 ¥500 | |
推薦HP | ▼2001/10/12 浅間山(解説テキスト) |
前掛山(9/3) 行 程 | |||
場 所 | 着時刻 | 発時刻 | |
浅間山荘 | 5:50 | 6:03 | |
第一鳥居 | 6:26 | − | |
第二鳥居 | 6:47 | 6:52 | |
火山館 | 7:33 | 7:41 | |
賽の河原 | 8:03 | 8:06 | |
浅間山分岐 | 9:00 | 9:04 | |
前掛山 | 9:23 | 9:30 | |
浅間山分岐上 | 9:40 | 9:52 | |
火山館 | 10:45 | 11:00 | |
不動滝 | 11:30 | − | |
浅間山荘 | 12:00 | 12:50 |