疲れた脚に石敷路は堪える(賽ノ河原付近)

御田ヶ原付近の花畑より新山を振り返り見る

登山口(駐車場脇)

ニッコウキスゲ咲き乱れる御浜小屋付近

【鳥海山】千蛇谷から山頂、外輪山を下る

シリーズ  日本百名山     前  
山 名  鳥海山
山行日  2006年08月05日(土)
同行者  グループ・せせらぎ 6名
歩行時間  10時間06分(休憩時間含む)
コース 鉾立→御浜小屋→七五三掛→千蛇谷→大物忌神社→新山→大物忌神社→七高山→伏拝岳→外輪山尾根→七五三掛→御浜小屋→鉾立

 鳥海山は10年前の6月 吹浦コースを登り、湯ノ台コースに下って以来2度目になる。今年と同様、例年にない大雪と濃霧のため下りで路を失い、雪中彷徨の挙句、緊急ビバークした想い出深い山であり、再訪の願いがようやく叶った。

  前夜7時頃、清水駅を発ち、東名・東北・山形道をひた走り、鳥海ブルーラインから明け方4時半頃、登山口の鉾立に着く。駐車場を探すに苦労するほどの深い霧の中、ヘッドランプの灯りがちらほらと見え、すでに登山準備をしているハイカーも目立つ。長引いた梅雨がようやく明けた最初の土曜日、広い駐車場も満車に近いほど車が停まっている。

  車の中でそそくさと朝食を済ませ、身支度を整え濃い霧の薄明かりの中、5時前に出発する。登山口からコンクリートの階段道をしばらく行くと、展望台脇に出るが深い霧で何も見えないのでそのまま通過する。がやがて潅木帯となり左下方から水音が聞こえてくる。白糸ノ滝の標柱がたっているが、音はすれども姿は見えない。

  相変わらずよく整備された石敷きのゆるやかな傾斜の登りが続く。登山口から1時間余り、六合目の賽の河原に出る。道端にはイワイチョウ、ヨツバシオガマ、ウサギギクなどの花が咲き乱れている。

賽ノ河原

  賽の河原から30分、七合目の御浜小屋に到着する。多くのハイカーが休んでおり、辺りにはニッコウキスゲが一面に咲いている。視界数十メートルだった霧も薄れだし、多少遠望も利くようになったが、右下方に見えるはずの鳥海湖はまったく姿を見せない。

  一休みして出発。ニッコウキスゲの群落にハクサンシャジンやマルバダケブキ、ハクサンイチゲなどの花々も負けじと咲き誇る天上の花園を行く。ゆったりした起伏の路が続き、扇子森を下った鞍部が御田ヶ原で鳥海湖からの路が合流する。ここから八丁坂の登りとなる。モミジカラマツやタカネトウウチソウが咲く路だ。ほどなくして七五三掛、外輪山を行く尾根コースを右に分け、左の千蛇谷コースを行く。

七五三掛目指して八丁坂を行く

千蛇谷の雪渓を渡る。

  谷底に向かってしばらく下る。崖面にイワブクロやチョウカイフスマ、ダイモンジソウなどが目立ちだす。下りはじめて15分ほどで谷筋の雪渓に出た。傾斜はゆるやか、でアイゼンは不要だ。再び霧に覆われ視界は落ちる。

  雪渓を抜け対岸に渡りしばらく登ると霧が晴れ視界が開ける。振り返ると緑に覆われた外輪山北斜面に残雪模様がアルペンムードたっぷりに映えわたる。列を成して登る幾組ものハイカーと抜きつ抜かれつ軽口を交わしながら登る。

振り返り見る千蛇谷と火口壁残雪

大物忌神社脇から新山を望む

  山歩き2ヶ月振りの N.M.さんの調子がいまひとつのようだ。わがパーティー中、図抜けて健脚のS.T.さんのサポートを得て大物忌神社に着いたが、新山往復のため、ザックを置こうとして変な姿勢になったのか左ふくらはぎを攣る。幸い、大事には至らず少し休んでから最高峰の新山に向かう。

渋滞待ちの間に山頂バックに

  広がりだした青空の下、巨大な溶岩塊が累積する急斜面に多くの人が取り付いている。白ペンキで岩に描かれた印に従って登り、切通しを抜けてたどり着いた狭い山頂は、、人ひとヒトで身の置き所もない。後からどんどん登ってくるし、とても落ち着いて360度の展望を楽しむ雰囲気ではない。記念写真を撮ってさっさと下り、大物忌神社まで戻り昼食とする。付近の岩間にはチョウカイフスマやイワブクロが群生している。

外輪山稜線出合、左に七高山

  大物忌神社から千蛇谷の雪渓を横断し、火口壁のガレた急坂を登り外輪山の稜線に出る。これを左に折れ、緩やかに登っていくと一等三角点の七高山に着く。ここも新山以上に多くのハイカーが休んでいる。目の前には先ほど登った新山が岩塊を積み重ねた異様な姿に残雪をたっぷり身につけ対峙している。

  七高山を後にし、稜線を戻り先きほど登ってきた神社への下降路を右に分け、そのまま外輪山の尾根路を行く。素晴らしい展望に加え、花々が咲き乱れるまさに稜線漫歩。行者岳を越え、伏拝岳で河原宿への路を左に分ける。

七高山より新山、左に大物忌神社

千蛇谷を挟み左に新山への路、右に外輪山稜線

右前方に稲倉山を見下ろしながら快調に下る

  右眼下に千蛇谷、前方にたおやかな山容の稲倉山を見ながら外輪山の稜線を下る。千蛇谷を覆う霧が一瞬にして消え、朝登った登山路が紐のように大物忌神社への延びているのが見下ろせる。カメラを構えしばらくすると再び、真っ白な世界に戻ってしまう。しばらくするとまた霧が晴れる。ハイカーのカーテンコールに何度も応えてくれているようだ。

  文殊岳を越え快調に下る。右前方の稲倉山のやさしい起伏を包む緑が麓へと大きく広がる風景が薄霧に透ける様はえも言われぬ風情を醸し出し、最高の気分にさせてくれる。


  新山辺りから盛んに靴底を気にしていたF.M.さんの靴底が両方とも爪先から大きく剥がれてしまった。靴紐、針金、テーピングテープで応急措置をする。しばらく様子を見たがまったく問題ないようであり、無事登山口まで戻ることができた。

  千蛇谷コースとの合流点からは往路を戻る。朝と違って視界はそこそこ良好。足元に咲き競う花々と、薄霧を抱いた山並みが時々刻々移り変わる風景に大満足する。扇子森辺りから左眼下に鳥海湖が一望できたが、しばらくすると霧のカーテンが引かれ姿を消す。前方に見える御浜小屋も霧に見え隠れしている。

  御浜小屋で一休みする。小屋を出てしばらくすると右前方に鉾立の駐車場が見える。しかし、先はまだ遠い。疲れた脚に石敷きの路は堪える。あとはひたすら駐車場目指して下るだけだ。

関連情報            アクセスカウンター
1/2.5万図 ▼鳥海山 [南西]
地名(かな) ▼象潟:きさがた    吹浦:ふくら   七五三掛:しめかけ 
 大物忌神社:おおものいみじんじゃ
 伏拝岳:ふしおがみだけ 
遭難騒動 1996/06/21 中高年27名、残雪の鳥海山で遭難騒動
行 程
場 所 着時刻 発時刻
 鉾立 4:20 4:57
 賽ノ河原 6:03
 御浜小屋 6:34 6:40
 七五三掛 7:35
 大物忌神社 9:10 9:23
 新山山頂 9:48 9:55
 大物忌神社 10:25 10:45
 七高山 11:11 11:25
 伏拝岳(河原宿分岐) 11:50
 七五三掛 12:38
 御浜小屋 13:35 13:45
 鉾立 14:53 15:00
:高山植物)  花画像クリック→拡大
群生地多 多見 少見

チョウカイフスマ

モミジカラマツ

イワブクロ

チョウカイアザミ

タカネアオヤギソウ