山伏峠分岐、9時間歩いてもみな余裕の表情

【東海自然歩道 No.4】畦ヶ丸、菰釣山、高指山コース

シリーズ  東海自然歩道 No.4    
山 名  畦ヶ丸、菰釣山、高指山
山行日  2006年5月21日(日)
同行者  グループ・せせらぎ 8名
歩行時間  11時間56分(休憩含む)
コース 大滝橋→畦ヶ丸→大界木山→城ヶ尾峠→菰釣山→西ノ丸→高指山→平野
関連情報                  アクセスカウンター
1/2.5万地形図 ▼中川 [北西]      御正体山 [北東]
  御正体山 [南東]   御正体山 [南西]
ガイドブック  東海自然歩道 30選 東京、神奈川、山梨、静岡
  塚本義次編  七賢出版 2000/05
交通 ▼ジャンボタクシー:御殿場駅⇒大滝橋 ¥11,720
            平野⇒御殿場駅 ¥9,660 
  御殿場市営駅南駐車場:¥1,500/台(約13時間) 
地名(かな) ▼畦ヶ丸:あぜがまる    菰釣山:こもつるしやま
  高指山:たかざすやま
行 程
場 所 着時刻 発時刻
 大滝橋 6:08 6:21
 一軒家避難小屋 7:27 7:33
 畦ヶ丸山頂・避難小屋 9:04 9:20
 大界木山 10:15 10:25
 城ヶ尾山 10:44 11:00
 中ノ丸 11:33 11:41
 菰釣避難小屋 12:15 12:20
 菰釣山 12:43 13:08
 油沢ノ頭 13:44 13:46
 西ノ丸 14:46 14:54
 山伏峠分岐 15:18 15:20
 高指山 16:14 16:22
 平野 17:17

  今回の東海自然歩道も、前回に引き続いての難所越えである。それぞれ単独の日帰りの山としても人気の高い畦ヶ丸、菰釣山、高指山を一日で歩くという意欲的な計画だ。というよりも、途中で区切りたくてもあまりにも効率が悪く、多少無理してでも歩き通したいところだ。

  難コースとはいえ、前回よりも気が楽なのは、途中5ヶ所ほどエスケープルートがあり、また避難小屋も3ヶ所に建っているので、万が一への対応がとりやすいことだ。


  今回も前回同様、私の自宅出発は夜明け前の3:40。前日と当日になって2名が参加できなくなり、メンバー8名が2台の車に分乗し、東名高速 愛鷹PA 5:10集結。御殿場ICで降り、御殿場駅前の市営駐車場に車を停める。そこから前回終了地点の大滝橋まで、予約したジャンボタクシーに乗り、6時10分ころ着いた。

スタート前:大滝橋道標を囲んで

  継歩地点の道標を囲み集合写真を撮って出発。道標地点から林道に入り100mほど舗装道路を行くと未舗装の林道が左に分岐する。入り口に東海自然歩道の大きな案内板が立っている。少し先の林道ゲートを抜け1kmも歩かないうちに山路に変わる。

大滝沢沿いにしばらく林道を行く

  大滝沢沿いの登山路はよく整備されている。流れ込む沢やガレ場には木橋が架けられ、少し行き過ぎと思えるほどに道標も立っている。朝の光の中に、萌え出でた若葉の緑と岩に生える苔の濃い緑がえも言われぬ彩りを放ち、渓流の音と小鳥のさえずりは、みごとなハーモニーを奏でている。これこそ、早起きして遠くまで出てきたご褒美だろう。

若葉の緑と苔の緑と

一軒家避難小屋

  長丁場を意識して、決して息が切れぬようゆっくり歩く。変化に富むコースを歩いて1時間余り、鬼石沢を渡ると一軒家避難小屋が建っている。太平洋戦争の頃まで、この場所に修養道場の一軒家があったので、今もこの名で呼ばれているとのこと。

  避難小屋からは、ステタロー沢沿いに登る。小さな渡渉を繰り返したり、路端に咲くシロガネソウを写真に撮ったりの楽しい渓流ウオークが続く。小尾根を登るようになるとほどなくベンチが置かれた大滝峠上に着く。平成4年まで東海自然歩道は、ここから左に曲がり大滝峠まで下り直接、城ヶ尾峠に向かっていたが、横切る沢が多く出水のたびに荒廃し通行止めとなった。新ルートは、右に折れて畦ヶ丸まで登り大界木山を経て城ヶ尾峠に向かう尾根路となった。

渓流ウオーク

  大滝峠上を後にするとブナが目立ちはじめる。新緑にツツジのピンクが映える。急登をしばらくこなすと“避難小屋まで200m”の道標にほっとしのだが、歩幅のあわない丸太階段の急登に喘ぐ。道標から10分余りで畦ヶ丸避難小屋に着いた。

新緑にツツジのピンクが映える

  畦ヶ丸山頂は自然歩道のコースから100mほど離れているが、もちろん山頂まで往復する。畦ヶ丸山頂はけっこう広々しているが樹林に囲まれ展望はない。中央に大きなケルン、周囲に三角点、山頂標柱、ベンチなどがある。

畦ヶ丸山頂

  避難小屋まで戻り、城ヶ尾峠を目指す。クサリの張られた白砂のザレ路を経て15分ほどでモロクボ沢ノ頭、城ヶ尾峠まで2.0kmと表示されている。この辺りはシロヤシオが満開だ。階段路を下り、コブを越え一気の急登で大界木山山頂。

モロクボ沢ノ頭に向かう

  ブナの大木が点在する路を下り、なだらかになるとほどなく城ヶ尾峠。5,6人のパーティーが休んでいる。キャンプ場を経て“道の駅 道志”へ下れる路が分岐する。ひと登りで城ヶ尾山。山といっても単なる通過点、登山路に三角点が埋まってる。軽く食事をして先に進む。辺りにはクワガタソウが咲いていた。

城ヶ尾峠

 城ヶ尾山を後にすると、路が笹に覆われこれまでに比べ細くなるが、歩き難いことはない。むしろ、ブナ林の中なだらかなアップダウンの快適な路が続く。路端に咲くシロガネソウやクワガタソウを楽しみながらのんびり歩く。


 前方、道の真ん中に大きなベンチがあり、先行した3人が休んでいる。中ノ丸のピークだ。これでいくつピークを越えたのだろう。コブを除いても5座だ。この先も菰釣山、高指山の他に“丸”だ“頭”だのいくつもピークがある。

路の真ん中にベンチがある中ノ丸

  中ノ丸からはいきなりの急降下、そして急坂を登り返す途中で不機嫌な顔をした女性4人を先頭にしたパーティーとすれ違う。喘ぎながら登るわれわれを無視して狭い路をどんどん下ってくる。あまりの傍若無人振りに、ちょっと大人気なかったがこちらもかまわず登り続ける。肩が触れてもそのまま勢いよく下ろうとするので思わず「普通は登り優先で、下る人が路を譲るんですヨ」と、言わずもがなのことを口にしてしまい、黙って路を譲ればよかったと後悔。しかし、少し間をおき同じパーティーと思われる年配の男性たち数人は、にこやかに路を譲ってくれたので救われた。

ブナ沢ノ頭に向かって

  ブナ沢ノ頭を越え、再び下ってブナ沢乗越。ブナ沢沿いに下る路が分岐する。そのすぐ先に避難小屋が建っている。一呼吸入れて、小屋からブナ林の急坂を一直線に登って本日の最高峰、菰釣山山頂へ。狭い山頂には、びっくりするほど多くのハイカーが休んでいる。50人くらいはいるだろうか。大賑わいである。聞いてみるとみな、城ヶ尾峠か山伏峠から登ってきた人たちばかりのようだ。

菰釣避難小屋

菰釣山山頂

  富士山は見えないが山中湖とこれから向かう高指山方面の山々はよく見える。食事を済ませ、記念の集合写真を撮って山頂を後にする。ブナなど緑萌える雑木林の尾根路がどこまでも続く。ブナノ丸、油沢ノ頭、樅ノ木ノ頭、西沢ノ頭とすべてアップダウンの繰り返し。各ピークには山頂名の左右に菰釣山と高指山と書かれた同形式の道標が立っている。いずれも樹林に囲まれ展望は望めない。

緑のトンネルはどこまでも

  「ガイドブックに展望良好と書いてあった」とのG.M.さんの言を楽しみに登った西ノ丸(石保土山)も、やはり樹林に囲まれ展望はない。これを20分ほど下ると送電線の鉄塔下、展望が大きく開けるとほどなく山伏峠の分岐に出た。大棚ノ頭の下で山伏峠まで0.5kmの道標が立っている。

  当初、この大棚ノ頭下で東海自然歩道歩きを区切り、山伏峠に下る予定であったが、全員まだ余力があるとのことで高指山を越え平野まで足を延ばすことにする。

  起伏は緩やか、これまで以上に快適な尾根路が続く。1ヶ所クサリ場があるが、クサリに頼らずとも登降できる程度の所だ。辺りにはチゴユリやホウチャクソウが見られる。

高指山山頂、背景に山中湖

  再びゆるやかに下り登り返すと高指山山頂。大滝橋から10時間近く歩き続け、優に10指を超えるピークを越え辿りついた最後の山頂だ。三国山から籠坂峠にいたる稜線が美しい。

  道標に従い、ひと下りすると切通峠に続く路から東海自然歩道は右に分岐する。大きな案内板に辿ってきた菰釣山からの路に続き、次回歩く予定の大平山・忍野八海コースが描かれている。

三国山の稜線を見ながら高指山を下る

大平山・忍野八海コース案内

  やがて路は別荘地の中を行くようになる。ゆるやかな丸太の階段を下っていくと大きなテニスコートの脇に出て舗装車道にぶつかる。要所に立つ道標に従い車道を歩く。近くの人に平野バス停までの所要時間を聞きそこにジャンボタクシーを呼ぶ。バス停に向かう途中に“大平山コース”の道標があり、ここが次回のスタート地点となることを確認する。

林道に出るとゴールは近い

  平野バス停でタクシーに乗り御殿場駅に向かう。途中、前回の裏丹沢コース歩きの拠点となった旭日丘駐車場で11時間に及ぶ今回の山行を無事歩き通せた喜びの記念写真を撮る。満開の八重桜の木の下で夕日に染まりながら満足の万歳姿を写す。

全員完歩でバンザイ

  雑木林が切れ右側が開け、石割山から大平山方面が望める。前方にこんもりとした山が見え、これをゆるやかに登ってピークに着くと眼前に山中湖が大きく見える。しかし、高指山はもひとつ先のピークだ。

更新日:2013/09/02