【守門岳】雪の壁を越え、山頂の大展望に感動

シリーズ  日本二百名山     前  
山 名  守門岳(すもんだけ)
山行日  2006年5月7日(日)
同行者  OAA 6名
歩行時間  5時間22分(休憩含む)
コース 下段リフト乗場←上段リフト降り場⇔藤平尾根出合⇔小烏帽子岳⇔守門岳
関連情報                  アクセスカウンター
1/2.5万地形図 守門岳 [北西]
推薦HP 大雲沢ヒュッテ登山ガイド  積雪期コースガイド
▼2005/05/27山行記      守門岳
地名(かな) 破間川:あぶるまがわ
行 程
場 所 着時刻 発時刻
 上段リフト下り場 10:19
 藤平尾根出合 12:37
 守門岳山頂 13:32 13:53
 上段リフト下り場 15:22
 駐車場 15:41 16:06 
 静岡駅 21:16

  守門岳は、破間川を挟んで浅草岳と対峙する烏帽子岳、袴岳、青雲岳、大岳の総称である。主峰を成すのは、最高峰の袴岳で、一般にはこれを守門岳という。大岳から袴岳、烏帽子岳には爆裂火口と思われる断層が連なっている。


  宿泊先の日本秘湯を守る会の宿“栃尾又温泉 自在館”で目を覚ますと、予報通り雨の音。早朝の露天風呂で、早々に登山は諦め帰宅の身支度を整える。ゆっくりと朝食をとり、9時前に宿を出ると小降りになっている。とりあえず登山口の関越国際大原スキー場に向かうことにする。登山口に近づくに従い空が明るくなる。「登れる!」の気運が盛り上がる中、私も車の中で登山服に着替えることにする。

  10時前、スキー場の駐車場に着く。雨はほとんど気にならない程度で、天気も回復の兆しが見える。雨具をつけてリフトに乗り、高度差260mほどを稼ぐ。2機のリフトを乗り継いだ降り口の標高は655m、山頂まで880mの標高差だ。

スキーリフトに最上部まで乗る

  ブナ林の中をしばらく行く。目の前には藤平山から守門岳に連なる主稜線の藤平尾根が見える。夏道は右手のエデシ尾根だが、地形図に放牧場と書かれた広々した雪原まで下り取り付くようだ。夏路への適当なトラバースルートが見当たらず左に見える支尾根からアタックすることになる。これが冬路のようであり、赤テープもその方向へ導くように付けられている。

前方に藤平尾根に連なる支尾根を望む

  遠望が利くのでルート取りはしやすい。比較的なだらかな登りでもあり、さほど苦労せずに支尾根にたどり着く。ここからは傾斜もきつくなり、ときおり雪のないブッショの中に逃げ込みながら登る。傾斜はますますきつくなり、アイゼンを着ける。バランスをとるため初めてスノウストックも使う。帰りのことは考えたくもない。ひたすら前の人の足元を見て一歩一歩懸命に高度を稼ぐ。先頭を行くリーダーから「帰りは夏路を下るほうがよいかもしれないナ」と、だれに言うでもないつぶやきが聞こえる。

壁とさえ思える急斜面を登る

  アイゼン装着後も、ときおりブッシュに逃れるなどリーダーは慎重にコースを選びながら登る。後方には地図読みの第一人者H.K.さんと最新のハンディーGPSを手にしたG.M.さんがいるので心強い。情けないことに、私はみなに遅れぬようひたすらついていくだけだ。

主稜線の藤平尾根に出る

  尾根はますます広くなり、やがて行く手に守門岳山頂が見えてくる。近くに見えるがなかなか近づかない。山頂から手前に延びる尾根の右方には崩れかけの雪庇が見える。

  主稜線にでると守門岳に向かって広々としてなだらかな傾斜となる。踏み跡はまったく見当たらない。今登ってきたあの急斜面は下りたくないとの願いも空しく、小烏帽子辺りでエデシ尾根へ分岐する夏路も定かではない。

守門岳からの稜線に崩れかけの雪庇

山頂より越後駒ヶ岳、八海山を望む

  雪庇に乗らぬよう、雪の割れ目に落ち込まぬよう注意深くコースを選んで山頂に近づく。最後は、雪融けで少々ぬかるんだ路の急登をひと登りで山頂に着いた。二等三角点の山頂からは、一昨日登った粟ヶ岳が間近に見え、反対の南側は越後駒ヶ岳から八海山の山並みが連なっている。西に黒っぽく見える山は米山だ。山頂方位盤に描かれた山がすべて同定できるかと思えるほどだ。

  雨は上がったものの風が強く寒い。風を避けての昼食後、記念写真を撮って早々に往路を下る。山頂からしばらく下れば広々してなだらかな雪の稜線下り。目の前に幾重にも連なる越後の山々を見ながらのゆったり下りは楽しい。

  夏路のエデシ尾根の分岐は帰りも分からず、そのまま往路を行く。主尾根から支尾根へ進路を変え、いよいよ急斜面の下りだ。しかし、登りのときよりブッシュをうまく使い、無事難所を切り抜ける。登りでアイゼンをつけた場所でアイゼンを外す。振り返ればあの壁のような急斜面をよく下りてきたものだと感心する。

守門岳山頂

目の前に越後の山々を見ながら下る

  危険地帯を過ぎれば、雪融けのブッシュ際に咲いているイワウチワを見る余裕も生まれる。芽吹きはじめたばかりのブナ林も美しい。

芽吹きはじめのブナ林

  スキー場上部のリフト降り場に着いたが、下りにリフトは使用できないとのことでゲレンデ脇を下る。スキー客はほとんど見当たらず、肩身の狭い思いもせずにすむ。待機の2人が待つ車目指してまっすぐ下る。

  大原スキー場を16:06に出て 小出ICから関越道、圏央道で八王子から中央道へ、富士ICから清水ICまでは東名高速、スキー場から5時間余りで静岡駅に着いた。