【東海自然歩道 No.3】裏丹沢コース焼山、黍殻山、袖平山

シリーズ  東海自然歩道 No.3    
山 名  焼山、黍殻山、袖平山
山行日  2006年4月30日(日)
同行者  グループ・せせらぎ 9名
歩行時間  10時間54分(含む休憩)
コース 西野々→焼山→黍殻山→姫次→袖平山→風巻ノ頭→日陰沢橋→犬越路→用木沢出合→西丹沢→大滝橋
関連情報                アクセスカウンター
1/2.5万地形図 ▼青野原 [北西]、 青野原 [南西、 大室山 [南東]、
  中川 [北東]
ガイドブック  東海自然歩道 日帰りハイキング〈1〉高尾山‐奥三河
  武村岳男著 山と渓谷社 1994
交通 ▼ジャンボタクシー:山中湖⇒西野々 ¥14,860
            大滝橋⇒山中湖 ¥14,490 
地名:かな 黍殻山:きびがらやま   神ノ川:かんのがわ 
犬越路:いぬこえじ
行 程
場 所 着時刻 発時刻
 西野々 6:52 6:56
 焼山山頂 8:47 8:58
 黍殻山山頂 9:43 9:54
 姫次 10:54 11:06
 袖平山山頂 11:20 11:28
 風巻ノ頭 12:28 12:48
 神ノ川公園橋 13:48
 日陰沢橋 14:00 14:23
 犬越路 15:44 15:52
 用木沢出合 16:46 16:52
 西丹沢自然教室 17:15 17:25
 大滝橋 17:50 17:58

  今年3月25日、東海自然歩道歩きをスタートした。基点である高尾山登山口から歩きはじめて今回で3回目、前2回は観光もかねての楽な山歩きであったが今回は、東海自然歩道中、最難関の裏丹沢コースである。西野々から西丹沢まで累積標高差約2100m、歩行距離約20Km、適当なエスケープルートもない難コースだ。

  登山口 西野々と下山口 西丹沢の交通の便と、日陰沢橋から青根へエスケープすることも考慮し、山中湖を基点にマイカーとタクシー利用の計画を立てた。


  登山口の西野々を遅くとも7時にはスタートしなければならない。ということで、私の自宅出発は夜明け前の3:40、メンバー9名が2台の車に分乗し、愛鷹PA 5:10集結。山中湖着5:50、そこからジャンボタクシーに乗り西野々着6:50、前回終了地点で集合写真を撮ってほぼ予定通りに歩きはじめる。

前回終了地点 西野々バス停前からスタート

  最初の目標、焼山までの標高差は720m、今日の長丁場を意識して超スローペースで歩き出す。よく踏まれ緩やかな傾斜の歩きやすい路でもあり、すべり出しは順調だ。10分ほど歩くと焼山登山口からの路と合流する。ゆったりした傾斜は変わらず、いっそう踏み込まれ幅広になった路は長丁場の不安をやわらげてくれる。

よく整備された東海自然歩道

  杉の植林帯からだんだん雑木に変わり明るい尾根路となる。空気はすがすがしく、やわらかな朝の光が新緑を照らす。丹沢主脈の縦走路でもありよく整備された路で高度を順調に稼ぐ。しばらく急登をこなすと焼山への分岐に出る。東海自然歩道は焼山を左に巻いているが、われわれはできるだけ山頂を踏むことにしているので右に折れ頂を目指す。

朝日に映える新緑の路

  丹沢では珍しいシラカバ林のゆったりした尾根路を5分ほど登ると焼山山頂に着く。鉄製の展望台に上ると、東に宮ヶ瀬湖と背後の仏果山、南に丹沢主脈の山々など四囲の展望が楽しめる。

  焼山を後に下りだすとすぐに先に分かれた自然歩道に合流する。黍殻山までの標高差200mほどが穏やかな尾根で結ばれ快適な稜線歩きとなる。左前方に見える大きな山は蛭ヶ岳だろう。30分ほどで黍殻山分岐に出る。ここも自然歩道は山頂を東に巻いている。分岐から十数分でロボット雨量計の建物が占拠する黍殻山山頂だが、樹木に囲まれ展望はない。

黍殻山山頂への路

焼山山頂へのシラカバ林の路

  山頂で軽く腹ごしらえをするが、最年長のY.M.さんはあまり食欲がないようでチョッと心配になるが、ここまでの足取りはしっかりしているので大丈夫だろう。


  山頂を後にし、しばらく行くと左すぐ下に避難小屋が見える。いつの間にか路があやしくなるが、左下にベンチとテーブルが見えたので、斜面を適当に下り自然歩道に戻った。

黍殻山避難小屋

  姫次に向かって緩やかに登って行くと八丁坂ノ頭を経てブナの大木とベンチがある所へ、傍らの解説板に“東海自然歩道全コース1343kmのうちでも最高地点(標高1433m)の場所”と書かれている。そこから5分ほどで姫次に着く。

東海自然歩道中、最高標高地点

  丹沢主脈の要衝“姫次”は笹原に覆われた明るい所で、丹沢山塊最高峰の蛭ヶ岳や檜洞丸、大室山などが一望でき、遠望が利けば富士山も見える展望台だ。付近一帯はカラマツ林が広がり“かながわの美林50選”に入っている。

姫次より檜洞丸を望む

  姫次を後に袖平山に向かう。蛭ヶ岳、檜洞丸などを見ながらの稜線歩きは楽しい。自然歩道上の道標に袖平山と表示されているが実際の山頂は、自然歩道から外れている。この道標から右に分岐した路を2分ほど登ると山頂に着く。ここが東海自然歩道中の最高標高と書いてるガイドブックもある。西側の展望のみ開かれ、檜洞丸、大室山がいっそう大きく見える。

袖平山山頂

  袖平山から自然歩道に戻り風巻ノ頭に向かう。標高差355mの下りだ。ピンク色のツツジが目に付き楽しませてくれる一方、これまでの路から一転した険路となる。荒れた急降下の路に最高齢のY.M.さんの脚にやや陰りが見られはしたものの、コースタイム通りちょうど1時間で休憩舎のある風巻ノ頭に着いた。ここで昼食休憩としたが、相変わらずY.M.さんは食欲がないようだ。

風巻ノ頭に向うツツジ咲く険路の急降下

  風巻ノ頭からも急降下の険路が続く。丹沢有数の標高差を持つ尾根で、神ノ川まで一気に500m下る。樹間越しに眼下に見える神ノ川に向かっての悪戦苦闘が続く。Y.M.さんのペースがだんだん落ちてきた。もの凄い急降下、立ち止まって休む場所もないほどだ。それでも1時間ほどで神ノ川公園橋を渡ることができた。石段を登ると立派な舗装林道に出る。のんびり10分ほど歩いて日陰沢橋に到着。

神ノ川公園橋

 日陰沢橋で待つ、先行したH.K.さんによると、「犬越路直前で通行止めで戻ってきた人がいる」とのこと。念のため、H.K.さんと2人で神ノ川ヒュッテまで確認に行く。小屋の主人はいなかったが、そこにいた人によると「3日前は犬越路まで行けたし、通行止めなんて聞いていない」と言う。ここで中断するのは余りに残念。もし通行止めだったら戻ることにし、皆には「行ける」とだけ伝えて先に進むことにする。


 Y.M.さんは「ここで止める」と言う。ここは携帯も通じないのでタクシーも呼べない。マイカーで来ている方に、国道413号(道志みち)まで乗せていただき、そこからタクシーで山中湖に戻ってもらうことにする。Y.M.さんを見送った後、犬越路に向かう。

風巻ノ頭

 峠越えとはいえ標高差500m、疲れた身体に鞭打って神ノ川ヒュッテの前から日陰沢に沿って登っていく。通行止めの一抹の不安から、すれ違う数人に犬越路までの様子を聞くがみな「問題ないですよ」とのこと。


 しばらくは緩やかな登りが続くが、日陰沢の右岸から左岸へ橋を渡ると急登となる。犬越路まで1kmの道標辺りで再び右岸に移る。さらなる急登、あと500mの所で沢にぶつかる。完全なガレ場、傾斜もきつい。正面に“通行止め”の看板が目に入る。しかし、これは直進する路のことであり、左に回りこんでようやく山腹に取り付く。H.K.さんが先に得たのは、この警告を見て戻ってしまった人からの情報だったのだろう。

日陰沢に沿ってガレ場を登る

  とても自然歩道とは思えないガレ場の難所を過ぎれば、あとは簡単。雑木林の路をひと登りで明るい草地の犬越路に着く。立派な避難小屋や犬越路の由来が書かれた解説板、ベンチなどがある。この峠は神奈川の景勝50選に入っていて、南側の展望が大きく開け、東には檜洞丸に続く稜線が美しい。

犬越路

  西丹沢への下山路は用木沢沿いに進んでいく。笹原の路からガレた涸れ沢を右へ左への急降下となるが、路ははっきりしていて問題はない。やがて用木沢の流れを見るようになると急坂も終わり、新緑に覆われた広い河原を歩いたり、渡渉したりの沢沿いのプロムナードがはじまる。アップダウンも危険もない路を歩きながら、東海自然歩道の中でも最難関のコースを歩き通せた喜びをかみ締める。

用木沢沿いのプロムナード

  用木沢出合から舗装された車道を25分ほど歩き西丹沢自然教室に着く。相変わらず携帯が通じないので、ここの公衆電話でY.M.さんの携帯に電話し無事、山中湖の駐車場に着いたことを確認する。また、次回の畦ヶ丸コースを考慮し大滝橋まで歩くことにして、そこまでジャンボタクシーに来てもらうことにした。


  大滝橋に着くとすでにジャンボタクシーが待機していた。全員そろったところでゴールの集合写真を撮り、国道246から三国峠を越えて山中湖の駐車場に戻った。

用木沢出合で万歳