東仙波山頂より唐松尾岳とその右に国師ヶ岳

【白石山(和名倉山)】奥秩父主脈から外れた孤高の山

シリーズ  日本二百名山       前  
山 名  白石山(和名倉山)
山行日  2006年4月9日(日) 前夜発
同行者  OAA 10名
歩行時間  10時間37分(休憩含む)
コース 三ノ瀬駐車場所⇔七ツ石尾根⇔牛王院平⇔山ノ神土⇔仙波ノタル⇔東仙波⇔八百平⇔白石山
関連情報                    アクセスカウンター
1/2.5万地形図 雁坂峠 [北東]
交通 ▼R411 オイラン渕西500m辺りから一ノ瀬集落へ北上
立ち寄り湯 大菩薩の湯  tel:0553-32-4126  ¥600
行 程
場 所 着時刻 発時刻
 三ノ瀬駐車場所 4:30 5:30
 林道分岐 5:35
 林道ゲート 5:41
 七ツ石尾根分岐 6:08
 牛王院平 7:13 7:19
 山ノ神土 7:25 7:30
 仙波ノタル 8:35 8:45
 東仙波 9:20 9:30
 川又分岐 10:36 10:44
 白石山山頂 11:15 11:29
 山頂下の広場 11:31 11:48
 東仙波 13:16 13:27
 山ノ神土 14:35 15:00
 林道出合 15:40 15:45
 車道出合 16:05
 三ノ瀬駐車場所 16:07 16:25

 白石山は奥秩父主脈縦走路から北に外れ、訪れる人の少ない静かな山だが、日本二百名山に選定されている。地形図には白石山と標記されているが、山が位置する埼玉県では和名倉山と呼ばれ、一般にはこちらの山名の方が知られているようである。

 前夜10時半、静岡市役所前出発、柳沢峠で3時間ほど車中で仮眠し登山口の三ノ瀬へ向かう。登山口近くの廃屋脇の空地に車を停めて夜明けを待つ。朝食を済ませ、5時半出発。

三ノ瀬の廃屋の空地

  車道を数分行くと林道が右に分岐する。角の民家の石垣に古びた道標が立っている。林道をしばらく行くとクサリのゲート、脇を通り抜けゆったりと登っていく。右の谷底には残雪が見える。ゲートから15分ほどすると、左から沢が流れ林道を横切っている。さらに10分ほど林道を行くと左に山路が分岐する。

林道ゲート

 将監峠へ向かう林道から左の山路に入り、七ツ石尾根を行く。背丈よりも高い笹の路だが、幅広く刈り込まれていて歩き易い。適度な傾斜でカラマツなどの落葉の降り積もった路は足底にやさしく快調に高度を稼ぐ。登るに従い、路に雪が目立ちはじめる。一部凍っているところもあるがアイゼンをつけるほどではない。振り返ると富士山がくっきりと見えその左に大菩薩嶺が大きい。

七ツ石尾根

  傾斜が緩みほとんど平らになるとほどなく牛王院平、奥秩父主脈縦走路に登りつく。付近一帯は真っ白な雪に覆われ、静まり返っている。古びた道標に“白石山へのコースは未整備、遭難多発”といった主旨の秩父警察署の警告板が取り付けてある。一息入れて先に進むと5分ほどで縦走路から白石山への分岐、山ノ神土へつく。

牛王院平付近

  白石山へは、雪のついた笹薮の中の細い路を行く。スパッツを付けて笹薮に分け入る。笹路はさほど続かなかったが、路面が凍っていて極端に歩きにくくなる。リーダーからアイゼン装着の指示がでる。私は4本爪の軽アイゼンだが十分機能し歩き易くなる。

  左斜面の明るい笹原のトラバース路を行く。行く手は、東仙波の南面を覆う笹に朝の光が当たり輝いている。右手には飛竜、雲取が大きく見え、振り返ると大菩薩嶺の右に中腹下まで真っ白に化粧した富士山が美しい。

笹薮は切れるが路面凍結

明るい笹原の斜面を行く

  リンノ峰の西側を行くが深雪に気を抜くと膝上まで踏み抜いてしまう。仙波のタルを過ぎると西仙波の岩場のコブ越え、南面で雪はなく岩がむき出しになっている。この辺りはシャクナゲの群生地のようだ。登山路をシャクナゲがトンネルのように覆っている。ときおり鹿の鳴き声も聞こえる。

大菩薩嶺の右に富士山が美しい

  西仙波付近から西の方向には、間近の唐松尾山の右に国師ヶ岳、甲武信岳など奥秩父の主峰が望める。北方には、ゆったりとした起伏の右端辺りが目指す白石山だろうが先はまだ遠い。


  西仙波を越え登り返すと三角点のある東仙波。富士山を正面に真っ青な空の下、暖かな日差しを浴びながらのひと休みはまさに至福の時だ。

  東仙波を後に北面の急下り、踏み跡のない膝までの雪も下りではさほど苦にならない。焼小屋の頭辺り一帯は木々が少なく、相変わらず良い眺めの稜線漫歩だ。左前方に、一見雲かと思う山は、雪に覆われた浅間山だ。樹林帯を抜け進むに従い左方には、農鳥岳が徐々に姿を現しやがて真っ白な白峰三山の全貌が望める。

白峰三山

白石山南斜面の草原を行く

  伐採木の搬送用と思われるワイヤーの残骸が延々と続き、ところどころで雪面から姿を現している。八百平と思われる潅木帯の明るい平坦地を抜け、しばらく樹林帯を行くと川又分岐。ここでひと休みして最後の登りに備える。


  川又分岐を右に折れ、ゆるやかな路を15分ほど登ると二瀬の分岐、迷いやすいところらしくいたるところに目印テープが目に付く。ここも右に進路をとり少し行くと、白石山の南面の広々した草原が目の前に広がる。単独行の若い男性が軽やかな足取りでわれわれを追い越して行った。

  気持のよい草原を横切り、少し登り返すと原生林の中に誘い込まれる。踏み跡を外せばとても歩けないような密林だがそれもわずか、樹林帯の中に小広く切り開かれた山頂に着いた。展望はおろか井戸の中から空を見上げる感じ、真上に青空が覗けるだけだ。先の若者が休んでいる。川又から登り、秩父湖へ下るとのこと。

白石山(和名倉山)山頂

樹林帯を抜け出したところで昼食

  やや遅れ気味のAさんを待ちながら雪に埋もれた三角点を探したが見つからなかった。Aさんが揃ったところで集合写真を撮る。長居をする山頂ではないので樹林帯を抜けたところまで戻って昼食にする。

  往路を戻りはじめて早々、路なき斜面をショートカットして下る際、太い枯れ枝に足をとられ前のめりに倒れる。運悪く枯れ葉に埋もれた岩に右ひざを打ち付ける。かなり痛むが、ここは奥秩父の最深部、ぼやいたところで仕方がない。


  東仙波までアップダウンが繰り返されるので往路も復路もしんどさは変わらない。幸い痛みはするが歩くにはさほど支障はなさそうだ。往路では景色を楽しみ写真を撮りながらの歩みだったが、帰りはひたすら先行者の足元だけを見ての登り下り。東仙波まで戻ると、まだ先は長いもののホッとする。

東仙波山頂

  山ノ神土でアイゼンを外す。あとは広々した歩き易い路だ。後続を待って出発。ここからは、できるだけ右ひざをかばって下ることにする。計画では将監峠から下る予定だったが、時間も遅く往路を戻ることにする。30分以上の短縮になるはず、ありがたい。


  車に戻った時は午後4時を過ぎていた。久しぶりに10時間半を超える長丁場をこなし大満足の山行だった。帰路、塩山 慈雲寺のイトザクラと鰍沢 大法師公園の夜桜見物をして静岡に向かった。