【雲取山、飛竜山】展望も、紅葉も、温泉も

シリーズ  日本百名山     前  
シリーズ  山梨百名山     前  
山 名  雲取山(2017m)、飛竜山(2069m)
山行日  2005年11月2日(水)
同行者  単独行
歩行時間  8時間(雲取、飛竜各山頂休憩除く)
コース 後山林道終点→三条の湯(泊)→三条ダルミ→雲取山→三条ダルミ→北天のタル→分岐→飛竜山→飛竜権現→北天のタル→三条の湯→後山林道終点
一浴温泉情報
三条の湯 tel:0428-88-0616  12:00-15:00(要確認)  ¥500
林道終点から登山路を30分ほど登った標高1103mに建つ山小屋。鉱泉(単純硫黄泉)の温度は低く沸かす必要がある。浄化槽がないので水源保護のため石けんシャンプー類は使えない。
 丹波山温泉のめこい湯 tel:0428-0026  10:00-19:00  ¥600
奥多摩湖の上流、丹波川沿いにある丹波山村の方言で「のめこい」とは、つるつる・すべすべの意。泉質は単純アルカリ硫黄泉、源泉の温度は44.3度、PHは9.6。露天風呂は周囲が塀で囲まれてい展望はない。
行 程      アクセスカウンター
場 所 着時刻 発時刻
 三条の湯 泊  6:20
 三条ダルミ 8:12 8:21
 雲取山 8:50 9:33
 三条ダルミ 9:52 9:58
 北天のタル 11:51 11:56
 飛竜山 12:26 13:08
 飛竜権現 13:20 13:24
 北天のタル 13:56 − 
 三条の湯 15:12 15:16
 林道終点(駐車場) 15:43 − 

  先週、2度目の勤めを辞め、再び気ままな時間を過ごせるようになった。日本全国、3日ほど晴天が続くという。さっそく泊りがけの山行を計画した。

 前日、後山林道の終点から30分ほど登り、午後4時前に標高1103m、三条谷中腹に建つ温泉付き山小屋、三条の湯に着いた。同宿者は20数名、ゆったりスペースを確保しても十分余裕がある大部屋だ。夕食後、薪ストーブを囲み同宿者としばしの団欒、9時前に就寝した。

三条の湯大部屋

  6時からの朝食を早々に頂き、6時20分出発。いったん三条沢まで下り、小さな木橋を渡って登り返す。路はしっかりしているものの右は崖、トラバース用の鎖場まである。しばらくすると朝日に照らされた三条の湯小屋の屋根が見下ろせる。10分足らずでずいぶん登ったものだとうれしくなる。


  通行止めの青岩鍾乳洞への路を右に分け、ほど良く色づいた樹林帯の路をゆったりと登る。朝日が紅葉を照らし、その木漏れ日が登山路にふりそそぐ。右手のヨモギ尾根に太陽が頭を出し始めている。朝の空気はひんやりとし美味しく身体に心地よい。

紅葉の登山路

  樹林帯の路はほとんど展望はないのだが、小屋から1時間足らずの辺りに樹木が伐採され展望が開けた格好の休憩ポイントがあり、10人ほどの人が休んでいた。目の前に飛竜山から三ツ山の稜線、朝日を受けた紅葉の山肌が青空に映える。


  再び樹林帯、登ったり下ったりなかなか高度が稼げない路が延々と続く。ときおり木々の間から雲取山方面が覗える。展望地から1時間余り、樹林帯を抜け明るくなったところが三条ダルミ、南面が大きく開け、富士山の展望がすばらしい。ここにも10人ほどの人が休んでいる。

  一休みして、雲取山荘への巻き道を左に分け山頂に向かう。これまでの緩斜面と異なり、アキレス腱が伸びきるほどの急斜面、ゆっくりと登る。山梨百名山の標柱が立つ広々とした山頂の一角に登りつき、避難小屋の前を抜けて山頂に着いた。東京都の最高峰、山頂の一等三角点は明治16年に埋設された“原三角測點”で測量の歴史上貴重なものだそうだ。

山頂への急斜面

雲取山山頂より飛竜山(中央)、後ろに南アルプスの山々

三条ダルミからの富士山

  雲ひとつない青空、雁ヶ腹摺山と小金沢連山の間に頭を白くした富士山はじめ、飛竜山の右彼方に北岳、甲斐駒、左に赤石、聖など南アルプスの山々がはっきりとみてとれる。浅間山の噴煙が長く長く右に棚引いている。


  10人ほどいたハイカーがいつのまにか皆いなくなり15分ほどの間、この素晴らしい展望の山頂を独り占めした。単独行の男性が来たのを機に、この僥倖を譲って下山することにする。避難小屋付近から見る七ツ石山への稜線は色づいたカラマツの斜面が美しい。

避難小屋付近から七ツ石山方面への稜線

 三条ダルミまで一気に下る途中、大きなザックを背負った70過ぎの高齢ハイカーがゆっくり下っている。なんとも足元がおぼつかない、しばらく歩をゆるめ見ていると腰砕けのように沈み込む。「大丈夫ですか?」と近寄って声をかけると、[大丈夫!」と、元気な応え。「大きな荷物ですね?」と、問いかけると「テント泊なもので・・・」とのこと、なんとも気丈な方だ。


  三条ダルミで一休みして飛竜山に向かう。稜線の南直下、明るくゆったりした起伏の気持ちよい路が続く。青空の下、左に富士山、行く手に飛竜と、紅葉の路をのんびり歩く。30分ほどで広々した狼平、ここでも一休み。歩きだしてしばらくすると、ゆったりした長い一直線の上り路を塞ぐ太い倒木、越えるに「よいしょ!」と声を出したとたん、直ぐ近くで「キッー!」と短く大きな叫び声、2頭のシカが勢いよく右の斜面に駆け上って行った。

登山路右に広々した狼平

  三条ダルミから小1時間、はじめてハイカーとすれ違う。それまでとは大違の静かな山歩きとなる。路は相変わらずゆったりしたアップダウン。前方に見える色づきの小さなピークを左に巻きだすとガレ場となるが、いくつもの木橋が架けられしっかりと登山路が確保されている。多少、木の根や岩角に掴まっての登りもあるがその後も、ゆったりした起伏の歩きやすい路が続く。

ガレ場に架けられた桟橋

  三条ダルミから約2時間、北天のタルに着く。休憩を終えた女性2人が飛竜に向かって出発するところだった。振り返ると雲取山から辿って来た稜線の路が一望できる。一休みして飛竜に向かう。

飛竜山山頂

  木の根がニョキニョキと張り出した原生林の路だがよく踏まれている。小さな登り下りを20分、飛竜山への直登分岐にでる。直進の飛竜権現へのしっかりした路に比べ、笹の中の獣路みたいなたよりない路(地図になし)だ。古びた赤布と小さな道標が倒木に括りつけてある。樹林帯の中、腰ほどの笹薮にしっかりと路がついている。急登10分、傾斜が緩むと三等三角点の飛竜山山頂は直ぐだ。先の女性が記念写真を撮るところで、シャッターを頼まれる。私もシャッターをお願いした。

雲取山から来し方稜線を望む(分岐手前より)

  南側だけ少々枝打ちされていて、かなり霞んではいるが富士山を望むことができる。日溜りに腰を下ろし、先の女性と雑談しながら食事をする。おひとりは、すでに日本百名山を完登、他の方も北穂高岳・南岳間の飛騨泣き、大キレットみたいなとこが大好きというベテラン。いろいろ山の話を聞かせて頂くなど楽しい時間を過ごす。


  二人と一緒に山頂を発ち、飛竜権現に向かう。延々と続くシャクナゲの群生地を抜け飛ぶように下る二人になんとかついて行く。十数分で小さな石祠のある飛竜権現。右へ行くと将監峠から笠取山への奥秩父縦走路、まっすぐはサオラ峠を経て丹波山。左に曲がり直登分岐を経て北天のタルに戻る。

  三条の湯へ向かって落葉の積もった路を下る。下るに従い紅葉が鮮やかになる。日の光が当たるといっそう映える。カンバ谷源流のガレ場など少し緊張するところもあるが概してしっかりした登山路を順調に下り、樹木に緑が目立ちはじめると三条の湯は近い。


  三条沢左岸山腹の整備の行き届いた路、深まり行く秋の渓谷美を楽しみながらゆっくりと林道終点まで下る。

三条の湯への下り

三条の湯から林道へ向かうよく整備された路

林道終点の駐車スペース