一浴温泉情報                  アクセスカウンター
まつかわ温泉
清流苑
tel:0265-36-2000 10:00-20:00 
南アルプスの山並みが眺望できる伊那谷屈指の庭園風大露天風呂をはじめ、各種の温泉が楽しめる天然ラドン温泉。
小渋温泉
赤石荘
tel:0265-39-2528 11:30-19:00 要確認
小渋川上流の1軒宿の温泉。絶景の露天風呂がすばらしい。赤石荘の名前は、ここから望める南アルプスの名峰赤石岳からきている。
行  程
場 所 着時刻 発時刻
鳥倉林道駐車場 1:15 5:35
登山口 6:12 6:15
三伏峠 8:53 9:08
本谷山 10:28 10:40
塩見小屋 12:15 12:55
塩見岳(西峰・東峰) 13:52 14:05
塩見小屋(泊) 14:50 5:02
本谷山 6:26 6:59
三伏山 7:48 8:03
三伏峠 8:36 8:46
登山口 10:25
鳥倉林道駐車場 10:57 11:10

【塩見岳】鳥倉林道から南ア中央に聳える花の山往復

山 名 塩見岳(しおみだけ)
山行日 2004年7月31日〜8月1日
同行者 山の友と 4人
歩行時間
(除大休憩)
1日目:約8時間20分
2日目:約5時間10分
コース 鳥倉林道駐車場⇔三伏峠⇔本谷山⇔塩見小屋(泊)⇔塩見岳

 前夜8時、清水駅に4人のメンバーが揃う。国道52号から南アルプスICで中央高速道に乗る。松川ICで降り、ここからはナビを頼りに走るのだが、ナビとドライバーGさんとの信頼関係が確立しておらず、要所要所で道標を確認しながらの運転だ。結果としては、ナビ通りに進み深夜1時過ぎに鳥倉林道終点の駐車場に着いた。2・30台停まれるスペースの半分ほどに車が停まっていた。小雨が降っていることもありテントは張らず、そのまま車の中で仮眠する。

鳥倉林道ゲート前の駐車場

  例によりほとんど眠れないまま夜が明ける。小雨模様なのでズボンのみカッパをはき傘を差して歩くことにする。車止めゲート前のポストに登山届けを出して出発。谷を回り込みながら延びる林道を行く。30分ほど歩くと鳥倉山中腹の駐車場が良く見える。舗装が切れると数分で登山口に着く。先の駐車場より広いと思われるスペースがある。いずれここまで車が入れるようになるだろう。

登山口

  ここにも登山届けのポストが有る。登山口の大きな道標に“南アルプス大鹿登山口 豊口ルート”と書かれている。ガイドブックなどには鳥倉(林道)登山口または、豊口山登山口と書いてあるのだが・・・・。さらに、このルートの概説が記されている“日本で最も高い峠 三伏峠まで約4km、徒歩約3時間”

 一呼吸入れて直ぐに登りはじめる。両側をシダが覆う樹林帯の路にはマルバダケブキ、バイケイソウの花が目に付く。林道にもツリフネソウ、オトコエシ、ソバナなどの花が咲いていた。

林床をシダが覆う樹林帯の路

  花に詳しいSさんが次々と見つては名前を教えてくれる。いつものことながら、寝不足が堪える身にはひたすら下を見て歩くだけ、花を見つける余裕などとてもない。Sさんは花にも強いが、山にもめっぽう強い。余裕しゃくしゃくで「セリバシオガマ」「タケシマラン(赤い実)」「カニコウモリ」「フタバラン・・・・」と、切がない。聞いてもすぐ「何だっけ?」となる自分にとっての強い味方はデジタルカメラとボイスレコーダー。とりあえず初めての花は片っ端から記録する。さすが“花の塩見”とも云われるだけあって、こんな調子が山歩きの間中ずーと続く。メンバーに花博士がいることを感謝する。

 “三伏峠まで1/10”と書かれた札が木に掛けてある。登山口から峠までを10等分し、2/10、3/10・・・と等間隔に付けてくれたようだ。ときに、かなり離れて再び同じ札を見ることがありガッカリすることもある。7/10付近からは伊那の街並が見下ろせる。ところどころ歩き難い桟道や滑り易そうな木のハシゴあるいはガレ場などもあるが、総じてとても歩き易い路だ。

7/10 付近のハシゴ(帰路撮影)

 左から塩川からの路を合わせるとすぐに9/10、5分ほど歩くとまたも9/10の札が現れる。そこから15分ほどで三伏峠に着いた。標高2615m、雁坂峠、針ノ木峠と共に日本三大峠のひとつだそうだ。

 一休みして出発。南アルプスでは2600mを超えても相変わらず樹林の中だ。ほどなくして周囲が開けた三伏山、この辺りでようやく森林限界なのか? となると、傘というわけにもいかずゴアテックの上着も着ることにする。行く手に本谷山は見えているが塩見岳はまったく姿を現さない。エゾシオガマ、マツムシソウ、ウサギギク、ミヤマコウリンカなどが咲き乱れている。

三伏峠小屋(帰路撮影)

  一旦下って、三伏小屋からの路を合わせ標高差160m の本谷山の登りとなる。今が盛りと咲き誇るマルバダケブキのお花畑が広がり、周囲の山も多少は見えはじめ気分は軽やかなのだが身体は重い。自分ひとりブレーキになっているようだ。幸いメンバーはみな気の置けない人ばかり、自分のペースに合わせてもらう。

  三角点のある小広い本谷山の山頂に着いたが、霧に包まれ展望はまったくない。しばらく下ると15人のパーティーとすれ違った。三伏峠小屋から塩見岳の往復だそうだ。

本谷山目指してマルバダケブキのお花畑を行く

本谷山山頂

  どんどん下り権右衛門沢源頭の沢を横断する。ここから塩見小屋までは標高差約350m 気力の登りだ。常道に従い、バテバテの自分が2番手を歩いていたのだが、樹林帯を抜け岩がちとなった辺りでギブアップ。先に行ってもらったが塩見小屋は目と鼻の先だった。

  宿泊手続きの後、トイレ・システムの説明を受ける。吸収剤を組み込んだサニタリー袋の中に用便をし、口をしっかり縛る。所定の箱に捨て、後日まとめてヘリコプターで運び出すそうだ。宿泊者にはサニタリー袋が1袋だけ配られるが、あとは有料となる。男子の小用のみは専用トイレがあり、こちらはフリーである。環境保護のためばかりでなく、先週泊まった蝶ヶ岳ヒュッテなど極悪臭が当たり前となっている山小屋が少なくないので、なかなか優れたシステムだと思う。

権右衛門沢源頭(最低鞍部)

塩見小屋

  寝所を確認し一休みした後、展望はまったく期待できないのだが雨もほとんど気にならない程度なので空身で塩見岳に行くことにする。

  小屋からの標高差は約300m、ちょっと下って天狗岩の登りとなる。その先はガレ場の急登、落石しないよう慎重に登る。1時間ほどで三角点のある西峰に到着。次いで数十メートル先で、5mほど高い東峰へ行く。

塩見岳山頂(西峰)

  下りは高山植物を楽しみながらのんびり下る。タカネヒゴダイ、ツメクサ、タカネシオガマ、イワオウギ、イワベンケイ雌株、イワギキョウ、トウヤクリンドウ等など、Sさんのおかげで名前がたくさん挙げられる。いつもは「赤白黄色の花がいっぱい」としか書けない。イワヒバリに続き雷鳥の親子も目の当たりにした。展望に代わってのサービスだろう。

塩見岳(東峰)を後にする

  塩見小屋は完全予約制、当日のキャンセル料は2000円。夕食は揚げたてのコロッケとサラダ、温かい味噌汁など大いに満足する。夕食後、小屋前のベンチで、Gさんが担ぎ上げてくれたガスコンロでお湯を沸かし、コーヒーを入れた。夕日も展望もなかったが、地上ではなかなか味わえないゆったりとした時間を過ごす。十分なスペースにゆったりした寝袋と毛布、ぐっすり眠った。

  朝食は4時半から、食事を終えても小雨は止まない。塩見岳はチラリとも姿を見せない。もちろん、展望が利けば再度、塩見岳に行くつもりだったが、諦めることにする。

  下りはじめてしばらくすると、周囲の山々が見えはじめる。小1時間もすると、塩見岳の頭も見えてきた。本谷山山頂からは色々な山が見渡せる。地図を広げながらベテランハイカー風の人に聞くと、左から仙丈、甲斐駒、間ノ岳だと言う。予想外に近くに見える。メンバーのUさんは半月前に仙丈岳、甲斐駒ヶ岳に登ったばかりなので、人一倍感動した風だった。その半月前の山行で、Uさんが同行者から教えてもらったという、“グレープフルーツの房剥きシャーベット”を今回、休憩のたびにご馳走になった。この本谷山で頂いたのが最後だったが、まだほのかに冷たさが感じられ、ことの他美味しかった。

左から仙丈岳、甲斐駒ヶ岳、間ノ岳(本谷山山頂より)

烏帽子岳に向かう途中のお花畑より塩見岳を望む

  本谷山で大パノラマを堪能すること30分以上、三伏山では15分ほどの展望休憩。三伏山から見下ろした烏帽子岳への路に広がるお花畑にも寄り道と、いたってのんびりの山下り。それでも8時半過ぎには三伏峠に着いた。

  道標7/10付近で毎日登山ツアー20人とすれ違った。中高年ハイカーの中でラストは夜行の疲れもまったく見せない若い女性だ。付き添いさんだろう。5/10付近では小学校低学年の女の子とお母さんの2人連れとすれ違う。2人のあまりにしっかりした足取りに一同、ただただ感心する。11時前に駐車場に戻った。

  松川インター近くの、まつかわ温泉 清流苑で汗を流した。露天風呂から南アルプスを一望できるが、塩見岳周辺は雲がかかり確認できなかった。帰路は南信濃村から兵越峠、水窪、天竜、掛川と一般道を使ったが時間は中央高速道を使った往路とたいして違わなかった。

三伏山山頂より本谷山を振り返る。左は仙丈岳