行  程
場 所 着時刻 発時刻
 三股(駐車場) 9:00 9:18
 登山口 9:31 9:37
 まめうち平 11:15 11:25
 大滝山分岐 13:58 − 
 蝶ヶ岳ヒュッテ(泊) 14:13 4:46
 2592ピーク 6:35 7:00
 常念岳 8:55 9:18
 前常念岳 10:18 10:20
 蝶よりの路と合流 13:59 − 
 三股(駐車場) 14:20 − 

【常念岳】穂高連峰、槍ヶ岳の展望コース

山 名  常念岳
山行日  2004年7月26−27日
同行者  山の友と 4人
歩行時間
(含休憩)
 1日目:4時間55分
 2日目:9時間34分
コース 三股→まめうち平→蝶ヶ岳ヒュッテ(泊)→常念岳→前常念岳→三股
一浴温泉情報                  アクセスカウンター
ほりでーゆ 四季の郷
tel:0263-73-8500  10:00-21:30  ¥500

  早朝5時半、東名 清水ICで4人のメンバーが揃う。富士ICから精進湖を通り甲府南ICで中央高速に乗る。豊科ICで下りて三股の駐車場に9時頃到着した。駐車場まですべて舗装されていて乗用車でもまったく問題ない。平日にもかかわらず、約80台停まれる駐車場に50台ほどの車が駐車していた。

  身支度を整えて出発。車止めゲートを抜け未舗装の林道を10分ほど行くと林道終点。登山指導小屋とトイレがある。登山届けを出すと指導員が、「このコースは常念の登りがきついのと、前常念からの岩ゴロ路の下りが疲れ切った脚に辛いですよ。怪我をする人も多いので注意して下さい」と告げられる。

三股の駐車場(約80台可)

  指導小屋を後にし、橋を渡ると直ぐに常念岳への路を右に分ける。沢筋の樹林帯の路を行くと最後の水場、力水に出る。冷たくて美味い水だ。カラマツやシラビソなどの樹林帯の比較的ゆるやかな路を行く。アキノキリンソウ、カニコウモリ、ゴゼンタチバナなどが咲いている。駐車場を出て約2時間、標高1900mのまめうち平に着いた。軽く食事をして出発。紫色の実をつけたエンレイソウが目に付きだす。

 要所にヒュッテまでの距離と標高を記した道標が立っている。蝶沢(ヒュッテまで2.4km)を過ぎると岩場の急登が続く。標高2350m の旧ベンチを過ぎるとポツリポツリと雨が降り出す。すれ違った8人パーティーがしっかり雨仕度をしているのを見て、われわれも雨具をつける。私は樹林帯でもあり、いつものように傘のみで済ませる。

 雨具を付けて40分ほどで樹林帯を抜け、大滝山への路を左に分ける。付近は一面のお花畑、蝶ヶ岳ヒュッテまでは15分ほどだ。

樹林帯の路を行く

大滝山分岐

 ヒュッテで受付を済ませ、雨具を指定場所に干した後、寝所に案内される。平日だというのにけっこう人が多い、聞くところによると高校生の団体も含め180人以上が泊まったそうだ。

 一休みして小屋前の広場に出て穂高連峰を眺める。雲間に出ては消える穂高岳、梓川から頂上までの標高差1500m、直線で6.6km、まさに大迫力の山岳展望である。

間近に聳え立つ前穂、奥穂

  夕食に鰻の蒲焼が出たのにはみな驚いた。他のおかずもけっこういける、私としては珍しくも全てきれいに平らげた。蝶ヶ岳ヒュッテの夕食には満足したのだが、乾燥室に火の気はまったくなくなかなか乾かない。宿泊者にも水は全て有料。女性たちはトイレの余りの臭いの酷さに辟易していた。

  夕食後も再度、広場に出て夕日と雲が彩なす穂高連峰の雄姿を飽きずに眺めていると反対側の安曇野方向を見ていた人が、「ブロッケンだ!」と叫ぶ、雲のスクリーンに映し出される虹の輪の中に両手を上げたその人のシルエットがはっきりと見える。自分も手を上げ、左右にゆっくりと振って確認した。

夕日に照らされる蝶ヶ岳ヒュッテ

  翌日は好天気。明けやらぬ空に穂高連峰から槍ヶ岳まではっきりと見える。4時45分、ワクワクした気分で小屋を立つ。右手から空を赤く染めながら日が昇りだす。左手には穂高連峰などの山々が目いっぱいに広がっている。朝日が頂上から麓へと徐々に山肌を明るく映し出す。路はほとんど平坦、まさにルンルン気分の稜線漫歩だ。

穂高連峰、槍ヶ岳(横尾分岐付近より)

 蝶槍を過ぎ少し下ると樹林帯の路となりどんどん下る。聳え立つ常念岳を前に約200mも下るのは余り気分の良いものではない。上り返すと2592mピーク。小広場になっていて多くの人が休んでいる。蝶ヶ岳ヒュッテまで2.7km、常念岳まで2.3kmの道標が立っている。

 一旦下っていよいよ常念岳の登りである。頂き付近に少々雲がかかりだした。すれ違った人たちの情報によると昨日、展望が利いたのは9時前までとのことだった。今日も同じような様子であるが、槍・穂高の展望は十分堪能したし、ゆっくり登ることにする。というより、ゆっくりしか登れないのだ。

行く手に聳える常念岳

 常念岳の登りは標高差400m、砂礫と岩稜帯の路である。鞍部より1時間半、小さな祠が建つ狭い常念岳山頂に着いた。360度の大展望は申し分ない。主役が穂高連峰から槍ヶ岳に変わった感じがする。みな大満足である。

 感激に浸ってばかりはいられない、前常念岳を経由して三股に戻る路は巨岩帯の急坂が待ち構える標高差1500mの下りだ。

常念岳山頂

  しばらく下ると常念小屋への道を左に分ける。見下ろす常念小屋の向こうに横通岳から大天井岳へと続く稜線が美しい。右手に先ほど登った常念岳への稜線が見える。その向こうに雲に覆われつつある穂高連峰を見ながらゴーロ帯の路をさらに30分ほど下ると常念小屋からの巻き路と合流する。振り返えると、ハイマツノの緑の中に白い岩がちりばめられた稜線が薄っすらとガスに覆われた常念岳へと続いている。

  尾根の末端に前常念岳の一等三角点がある。その直ぐ下に岩塊に囲まれた避難小屋もある。前常念岳から岩稜帯の急峻な路となり、岩に記されたペンキの目印を追いながら慎重に下る。

眼下の常念小屋より大天井岳へ続く稜線

振り返り見る常念岳への稜線

  常念岳山頂から2時間近い岩稜帯の下りが砂礫の下りになるとほどなく樹林帯に入る。傾斜は緩やかになるが剥き出しになった木の根が滑りやすく疲れきった脚には辛い。

  突然のガサガサという音に緊張する。目の前の木から木に大きな猿が飛び移った。注意してみると何頭もの猿が目に付く。長々とした辛い下りにうんざりしていただけによい気晴らしだ。

  常念岳から4時間以上下り続けてようやく沢の音が聞こえ出す。私の思い違いから、この先にこれまでよりも厄介な下りがあると、みなに言ってきたのだが実際には沢に出合った後すぐに蝶ヶ岳からの路と合流しホッとする。

巨岩帯の急下り

  車に乗りほりでーゆに向かう途中、またも猿の集団に出会う。目の前をゆっくり横切ったり、道端からこちらをじっと睨んでいる猿など、我々に少しも動じていない。意外と猿の多い山のようだ。

 “ほりでーゆ 四季の郷”で汗を流した。露天風呂から端整な常念岳が大きく見える。満足の山旅を思い返えしながらゆっくりと湯に浸かった。