行 程(着時刻 *発時刻)     アクセスカウンター
場 所 往 路 復 路
 寸又峡温泉 駐車場 * 7:26 14:54
 登山口 8:09  14:08
 湯山林道  8:55 13:28
 栗の木の段  9:20  13:09
 白ガレの頭  10:15 12:25
 前黒法師岳  11:05 * 11:41

【前黒法師岳】寸又三山で最も登り応えのある山

山 名  前黒法師岳
山行日  2003年11月22日(土)
天 候  晴れ
同行者  単独行
歩時間  7時間28分(休憩含む)
コース 寸又峡温泉駐場⇔登山口⇔林道横断⇔栗の木の段⇔白ガレの頭⇔前黒法師岳

  朝7時半頃、寸又峡温泉街を通り抜ける。朝の散歩から戻る観光客と次々とすれ違う。飛竜橋を渡ると直ぐ、前黒法師岳登山道の大きな案内板が立っていて、傍らに登山届けポストがある。メモ用紙に日時、予定コース、住所、氏名、連絡先などを書いてポストに入れる。8時ちょうどである。

  林道を700m歩いて登山口。ここにもりっぱな道標が立っている。登山路に入ると稲妻状にグイグイと高度を稼ぐ。しばらく登ると石垣。こんな所にどうしてと、思ったら“湯山集落跡”の標識があり、その先にも数箇所の石垣と整地跡があった。

飛竜橋直後の登山道案内板

  集落跡を過ぎると傾斜は緩やかになり大きなジグザグ登りとなる。突然、目の前に朝日岳の威容が現れると、ほどなく林道に出た。

林道手前で、突然姿を現した朝日岳

栗の木の段を過ぎた辺りの原生林

  林道を横断すると明るく気持ちの良い尾根路となるが、冷たく強い風が吹き荒れている。この尾根を登り詰めると杉木立の中に三等三角点のある栗の木の段に着く。ここまではいつになく調子がよく、ガイドブック(分県登山ガイド 静岡県の山)の参考コースタイムより30分ほど早い。いつもはガイドブックのコースタイムはほとんど気にしないのだが、前黒法師はロングコース、念のためコピーをしてきた。ガイドブックによると栗の木の段から山頂までは1時間15分、寸又三山で最もグレードが高いと聞いていたが、予想外に楽な感じだ。これが甘かったことを後になって思い知らされる。

  栗の木の段からは傾斜は緩やか、路迷いしそうな広い尾根だが赤テープやら赤ペンキがこまめに目に付きその心配もない。3人パーティーの先行者も見え、すっかり緊張感から解放される。 先行者はゆっくりしたペースだが、追い越す気もなく少し距離を置いてついていたが、気になるらしく立ち止まって「お先にどうぞ」と、言われてしまった。

  しばらくすると、これまでにない急登となり、ほどなく左に直角に曲がる。ガイドブックに“下山時は尾根通しの踏み跡へ入りやすいので注意”と書かれているところだが、新しく立派な道標が立っておりその心配はない。

林道を横断し再び山路へ

 急傾斜はさらに続き、見上げると上方に2人パーティーの先行者が見える。あまりの急登に悪戦苦闘。とても追いつけないと思ったが、先行者も難儀しているらしく、姿を見てから20分ほどして追いついた。それから5分ほどで白ガレの頭、一気に展望が開け駿河湾や御前崎が見て取れた。

 栗の木の段から白ガレの頭まで約1時間、先行者2パーティーも追い越したので、ペースもそこそこのはず。ガイドブックを信じ、頂上は近いと思い込んでいた。

  白ガレの頭を後にして、小さな上り下りを何回か繰り返し20分ほど歩いてもさっぱり頂上らしい雰囲気にならない。栗の木の段からのコースタイムは既に越えている。何かおかしいと感じ始め、展望所の案内板があったが寄る気にもなれない。

  ひたすら頂上を目指し先に進むと、梯子上りのような急登になる。木の根を頼りにまさによじ上りだ。人気の山だと、こんな急傾斜にはハシゴやクサリが設けられているがここではロープ一本ない。しかし、赤テープや赤布がべた張りでコース取りの不安がないのが何よりもありがたい。今日は赤テープをたくさん持ってきたが必要ないようだ。とんでもない急登が終わり、苔むした原生林の中の平坦な路になると頂上は直ぐだった。

白ガレの頭手前の先行者2人

山頂直前の苔むした原生林

  先客は3人パーティー1組と単独行の計4人、冷たく強い北風を避け、南面の陽だまりで食事中だ。私も直ぐにヤッケを着て食事の準備をする。20分ほどして、白ガレの頭付近で追い抜いた2人が頂上に着いた。

  山頂は南面のみ切り開かれていてキラキラ輝く駿河湾へ大井川がうねりながら延びている。南西方向は遠州灘の海岸線がはっきりと見える。3人パーティーの一人が「アクトタワーが見える」と、仲間に伝える。確かに、指差す方にポツリと黒く目立っている。この方は、数日前に前黒法師山へ登ったと言う。黒法師岳も丸盆岳も登っていて、ここにも何回か来ているそうだ。南ア深南部の山々に詳しい方のようなので、ガイドブックに書かれている栗の木の段から山頂までのコースタイム1時間15分について聞いてみた。即座に「それは無理です」と言う。分県登山ガイドのコピーを見せると「間違いです」と自信たっぷり。いつになっても頂上に辿り着けなかったもやもやした気持ちが少しは晴れた。

 頂上を後にして往路を戻る。数分して最初に追い抜いた3人パーティーの2人とすれ違う。お一人はリタイアしたようだ。展望台に寄ると、光岳、聖岳、赤石岳など南アルプス南部の山が真正面に見える。その右には樹木の隙間から枝葉を額縁にして真っ白な富士山が覗ける。

 白ガレの頭を下った辺りで、山頂を先に出発した単独行者に追いつく。名古屋の方で、深夜1時に出てきたそうだ。しばらくおしゃべりしながら一緒に下る。学生時代、清水市に住んでいたので安倍奥の山によく行ったと言う。下山後、テント泊し明日は、沢口山に登るそうだ。

展望台より聖、赤石の南アの山並み

前黒法師岳山頂

 左に朝日岳を見ながら下るのだが、目がかすんで仕方がない。頂上での休憩以外、ほとんど休まず歩いたので疲労が溜まっているのだろう。明らかにオーバーペースでもある。単独行のときは不安のためどうしても先へ先へと急いでしまう。いつまでたっても余裕の山歩ができないのが情けない。そんな反省しながら、しばらく腰を下ろしてぼんやりと朝日岳を眺めていた。

 登山口に着きすっかり緊張感から解放されたせいか、今が盛りの紅葉を心行くまで楽しむことができる。青空をバックに山肌を覆う紅葉が午後の強い光に照らされ、明るく輝いているのが印象深い。飛竜橋からは観光客の世界。老若男女、たくさんの人が歩いている。なんとなく場違いの感じで足早に駐車場に向かった。

登山口〜飛竜橋 林道の紅葉

  ガイドブック(分県登山ガイド 静岡県の山 1996.8 初版)のコースタイムは明らかに間違っている。初版から7年、人気の本なので増刷されているはずだ。訂正されているかどうか確かめてみたくなり帰路、本屋に立ち寄った。書棚から同書を抜き取ると“2000.7 第五刷”の参考コースタイムでは“栗の木の段(2時間15分)前黒法師岳”と訂正され、同区間だけで1時間も増えていた。

一浴温泉情報
寸又峡温泉
翠紅苑
tel:0547-59-3100 12:00-20:00 \500(タオル持参:\400)
温泉街の入り口付近に位置する一流の観光ホテル。建物は土蔵造りをイメージしたレトロ建築で、館内も大正ロマンに溢れた落ち着いた宿。お風呂は内湯と露天が男女各1。温泉は無色透明で、入ると皮膚がつるつるになるのが分かる。
寸又峡温泉
町営露天風呂
美女づくりの湯
tel:0547-59-3985 8:00-19:30 \400
寸又峡温泉の町営露天風呂。ログハウス風で情緒たっぷり。5人くらいが入れるやや深めの岩風呂。単純硫黄泉の湯はヌメリがあり、湯上がり後の手肌は、すべすべしっとり。美肌効果高かそう。