行  程
場 所 着時刻 発時刻
猿倉荘前駐車場   −  10/10  6:25
白馬尻 7:33 7:48
白馬山荘(泊) 12:00 10/11  6:30
杓子岳 7:40 7:43
白馬鑓ヶ岳 8:42 8:48
天狗の大下り始め 10:24 − 
唐松岳 13:29 13:34
唐松岳頂上山荘 13:43 14:01
五竜山荘(泊) 15:55 10/12  5:20
五竜岳 6:19 6:26
キレット小屋 9:40 10:01
鹿島槍ヶ岳北峰 11:40 11:44
鹿島槍ヶ岳南峰 12:19 12:33
冷池山荘 13:43 14:25
爺ヶ岳南峰 15:57 15:59
種池山荘(泊) 16:25 10/13  6:30
扇沢 9:00 アクセスカウンター

【後立山縦走】白馬岳、鑓ヶ岳、唐松岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳

山行日  2003年10月10日(金)
山 名  白馬岳
同行者  OAA 山の仲間(以下同じ)
コース 猿倉→白馬尻→村営頂上宿舎→→白馬山荘(泊)⇔白馬岳
山行日 2003年10月11日(土)
山 名 杓子岳、鑓ヶ岳、唐松岳
コース 白馬山荘(泊)→杓子岳→鑓ヶ岳→天狗山荘→不帰嶮→唐松岳→唐松山荘→五竜山荘(泊)

  夜行バスに揺られ、夜明け前に猿倉に着いた。大人気の山とはいえ連休前の平日、広々した駐車場に数台の車が停まっているだけだ。静かな山歩きが楽しめそうである。明るくなってバスを降りると朝食を摂る間もなくバスは戻ってしまい、バナナの皮など朝食の残骸を担ぎ歩く羽目になってしまった。

  猿倉荘左の樹林の中に入り、ひと登りすると林道に出る。鑓温泉への路を左に分けしばらくすると、右前方に朝日に照らされた小蓮華尾根の岩峰が見える。ようやく寝不足の身体に高揚感が湧いてきた。

  林道終点からそのまま登山路となり白馬尻で休憩。夏道はここから直ぐに雪渓となるのだがこの時期は、雪渓の左(右岸)秋山ルートをたどることになる。登路右手の白馬大雪渓はいたるところクレバスやスノーブリッジが見られ、とても歩ける状態ではない。老残の雪渓を見るようで、身につまされる。

  1時間ほどルート不鮮明なガレ場の歩き難い秋路を行くと、ようやく待望の雪渓歩きとなったがそれもわずか30分足らず。今度は左岸のザレ場登りとなる。

クレバス、シュルンドだらけの大雪渓

  避難小屋を通過しまもなく行く手に頂上宿舎が見え始めたがなかなか近づかない。15分ほどの昼食休憩を挟み1時間近くもかかってしまった。頂上宿舎でひと休みしたあと、よれよれとなって白馬山荘に着いた。宿泊手続きを済ませ、ザックを外に置いたまま白馬岳山頂に向かう。15分ほどで山頂。まさに360度の展望。

期待の大雪渓もわずか30分ほどでお終い

  山頂から南を見ると、後立山連峰が目前の杓子岳、鑓ヶ岳から、はるか彼方の五竜岳、鹿島槍ヶ岳へと連なっている。稜線のすぐ右に穂高連峰、槍ヶ岳もくっきりと見える。さらに鷲羽岳、黒部五郎岳、立山、劔岳と連なり、黒部川が富山湾へとつながりその向こうに能登半島も見渡せる。

 北東方向には雨飾山、その右に火打、妙高、高妻とその名を挙げれば切がない。もちろん富士山もはっきりと見て取れる。頂上標識を囲んでの集合写真を撮り終えると多くのメンバーは山荘に戻っていったがまだ午後1時、貸切状態の山頂で飽かずに四囲の景色を眺めていた。

白馬岳山頂より後立山連峰の山並み

山行日 2003年10月12日(日)、13日(月)
山 名 五竜岳、鹿島槍ヶ岳、布引岳、爺ヶ岳
コース 五竜山荘(泊)→五竜岳→キレット小屋→八峰キレット→鹿島槍ヶ岳→布引岳→冷池山荘→爺ヶ岳→種池山荘(泊)→扇沢

  収容人員日本一(1500人)の白馬山荘も、3連休初日の今朝はわがパーティー16名を含め、40人ほどだけだ。200人位は座れる大きな食堂もガランとしている。

  今日の行程はコースタイムで9時間半、朝食を済ませ直ぐに出発。今日も天気は上々、行く手前方に後立山連峰、穂高・槍、右前方に立山連峰、劔岳、左前方には富士山もしっかりと見える。

  頂上宿舎脇を通り、杓子岳の巻き道分岐に出る。長丁場でもあり頂上はパスしたいのだが、頂を目指す先頭集団のあとにしぶしぶ続く。分岐から15分ほどで風の強い山頂に着いた。

  鞍部に下りひと休み。鑓ヶ岳は薄っすらと雪に覆われ、登山路にもそこそこ積もっているが、もちろんアイゼンを使うほどではない。山頂から行く手の彼方に五竜岳、振り返れば杓子岳、白馬岳はまだすぐそこだ。

  鑓温泉への路を左に分け、私にとってここからが初めての路。天狗山荘を過ぎ、砂礫状のゆるやかな起伏の天狗尾根をのんびり歩きながらから、大難所の不帰嶮へと向かう。

  いよいよ不帰嶮越えである。いやがうえにも緊張を強いられる。先ずは標高差300mの天狗ノ大下り、岩場は上りより下りが怖い。急下りの上、ザラ場も多く3点確保の気持ちも新たに慎重にゆっくり下る。

杓子岳中腹より鑓ヶ岳を望む

天狗の大下り

  降り立った不帰キレットから稜線伝いの路は思ったほど危険を感じるほどのこともなくT峰の頂へ出た。T峰の下りからコルを経てU峰北峰の頂までがクサリ場、鉄ハシゴが連続する不帰ノ嶮の最難所だそうだ。ちょっとした気の緩みも許されない。次から次へと現れる岩場、岩棚、神経は使うものの、こまめにクサリが設けてあり、あまり不安は感じない。

  岩場に慣れてきたこともあり、U峰下りからV峰を経て唐松岳山頂まではさしたる苦労は感じなかった。唐松岳山頂から見る五竜岳は、背後に槍・穂高を従え、ひときわ雄々しく豪放だ。眼下に唐松岳頂上山荘が見える。

不帰嶮を正面にした天狗の頭付近

不帰嶮T峰、U峰(北峰・南峰)、V峰

 連休初日でもあり、八方尾根から登ってきた人が多いのだろう、これまでよりがぜん人の姿が目に付くようになった。清涼飲料水の自動販売機まである唐松岳頂上山荘前で大休止、振り返り見る唐松岳の右に不帰嶮V峰の頭が見える。今日、一日中姿を見せている立山、劔岳はベンチ正面に鎮座している。

  唐松岳頂上山荘を後にしピークを巻いて大黒岳を越えると、五竜岳へ続く稜線の路がはっきりと見える。白岳に隠れて五竜山荘は見えないのだが、嫌になるくらい下っての登り直しはよく分かる。白馬山荘を出てから既に8時間、疲れた身体に再度、鞭を入れる。

唐松岳山頂より山荘を見下ろす

山荘より振り返り見る唐松岳、右に不帰嶮V峰

  最低鞍部の辺りで多くの仲間が休んでいた。休むと歩き出すのが嫌になりそうでそのまま通過してゆっくりと登り始める。疲れ切りまさにカタツムリの歩みなのだが、それでもけっこう前が支える。八方尾根からの学生風の10人近いパーティー、声をそろえて歌いながら登るのだが少し登っては立ち止まる。路を譲ってもらうと今度は天狗山荘にテント泊した若者2人に直ぐに追いつくなど、五竜山荘を前にしてみな喘いでいるようだ。

  白岳の斜面を抜けるとようやく眼下に五竜山荘が見えた。そこからはほんの数分で山荘に着く。先着した仲間が部屋の窓からエールをおくってくれた。

大黒岳中腹より五竜岳の威容

  昨夜の五竜山荘は定員を超えての宿泊者だったそうだ。通路にまで寝ている人たちがいた。夕食は到着順、午後4時前に到着したわがパーティーは3回目 6時20分からだ。疲れて食欲はなかったがカレーライスを何とか平らげた。

  朝食は5時から先着順とのこと。長丁場を思い、われわれは全員4時半から並び始める。もちろん一番乗りだ。朝食を弁当にしてもらい、早々に出発するパーティーも多い。

  身支度を整え山荘を出ると、白馬村や大町市街の灯りが見える。日の出前の5時20分、懐中電灯で足元を照らしながら歩き始める。1時間ほどで五竜岳山頂。前日までとは大違い、展望ゼロの真っ白け。早々に下山開始。

 五竜岳からどんどん下る。ザレ場のジグザグ下り、もちろんクサリ場も多い。下り始めて約30分、心配していた雨が降り出した。まだ小雨程度だが、上下とも雨具を着けた。

  次々と現れる小さな岩峰群、きりがないと思えるほどの登り下りの連続。右眼下、東谷の山肌を覆う紅葉がわずかな慰めだ。なかなか小屋が見えずいいかげん嫌になった頃、岩峰をトラバースすると突然、直ぐそこにキレット小屋が見えた。

  キレット小屋は凄い所に建っている。切妻屋根の両端間近に岩峰が迫り、小屋の前後は鋭く谷に切れ込んだ鞍部ギリギリのスペースに建っている。そんな小屋前に一列に座り食事休憩とする。幸いに雨も心配なさそうだ。

東谷の山肌を染める紅葉

五竜岳下り、G4付近か?

ようやく見えたキレット小屋

連続する岩稜帯の上り下り

  キレット小屋を後にし、崖に無理やり道をつけたような道を登るといよいよ本日の最難所。“八峰キレット慎重に”と書かれた看板傍らのハシゴを下りると、両側が鋭い岩峰で囲まれ深く切れこんだ千尋の谷底が覗ける。ものすごい高度感だ。 

  キレットからはひたすら登り返して鹿島槍ヶ岳の吊尾根、北峰・南峰の分岐に出る。空荷で北峰往復、わずか5,6分の登りだが参加者は少ない。南峰と北峰の標高差は50m足らずだが、疲れているせいか30分近くもかかってしまった。

ハシゴを下りて八峰キレットへ

鉈で裂いたような八峰キレット

  鹿島槍ヶ岳(南峰)も濃いガスの中、展望はまったくない。メンバー中最長老(73歳)のMさん、いつもの山行では先頭集団で山頂を踏むのだが今日はちょっと遅れ気味。Mさんの到着を待って記念の集合写真を撮り山頂を後にする。これまでの急峻な路とは打って変わって緩やかな下り、のんびり楽に歩けるのがうれしい。

  何組か鹿島槍を目指すパーティーとすれ違う。みな軽装、冷池テント場からのピストンだそうだ。布引山山頂を越えてしばらくすると右前方の彼方に今日の宿、種池山荘が見える。稜線をぐるりと回っての路のりはうんざりするほど長く思える。テント場を過ぎ、5分ほどで冷池山荘に着いた。本来ならここで泊まるのだが、建替え中ということで種池山荘まであと2時間少々頑張らねばならない。

テント場付近より冷池山荘

鹿島槍ヶ岳山頂

  冷池山荘で40分以上待ったが、最長老ベテランのMさんが到着しない。ラストを務めてくれているSさんによると「大丈夫だから先に行って欲しい」と先輩に言われ、逆らうのも失礼と思い先に来たとのこと。危険のない一本道なのでさしたる心配はないがちょっと遅いのが不安だ。秋の日暮れは早い、場合によってはMさんだけなら売店のみ営業中の冷池山荘に泊めてもらえるかもしれない。リーダーを残し、他のメンバーは種池山荘目指して出発する。

  疲れた切った身体に、冷乗越から爺ヶ岳の登りは辛いが、ゆっくりゆっくり登ってくれるので助かる。振り返ると稜線上に冷池山荘とその上部にテント数張りまでは見通せるのだが、鹿島槍は雲に覆われ姿を現さない。

 冷池山荘を振り返って

  爺ヶ岳中峰は躊躇なくパス、南峰分岐も巻き路を行くつもりだったが、Kさんから「登っておいでよ!」と声を掛けられる。標高差は20m足らず、意を決して疲れた身体に気合を入れてあえぎながら登り始める。

  南峰山頂から見下ろす登山路の先に種池山荘が見えるが、歩けども歩けども近づかない感じ、よたよたと30分近くもかかってしまった。

爺ヶ岳南峰山頂より種池山荘目指して

  種池山荘に着いて1時間後、拍手で無事到着のMさんをみなで迎える。予想外の元気さ、宿泊者全員にサービスしてくれる生ビール(or アイスクリーム)を美味そうに飲み、いつもの軽口も快調だ。山荘のロビーにみなの笑い声が響き渡る。

  最終日は朝から雨。山荘で完全な雨仕度をして下り始める。少し膝を痛めたらしい最長老のMさんを先頭にゆっくり、ゆっくりと手入れの良く行き届いた歩き易い路を下る。カラフルな雨具とサイケデリックな紅葉との奇妙な色合いが印象的だ。扇沢について20分、ようやく迎えのバスが来た。

雨の中、柏原新道を下る