【雁ヶ腹摺山】秀麗富士を求めて

山 名  雁ヶ腹摺山、黒岳、岩殿山
山行日  2002年11月19日(火)
天 候  晴れ
歩行時間  大峠⇔雁ヶ腹摺山 85分(含休憩)
大峠⇔黒岳 120分(含休憩)
登山口⇔岩殿山 67分(含休憩)
一浴温泉情報
 真木温泉 tel:0554-22-0146 10:00-20:00 \1000  山と渓谷に囲まれ寺院を思わせる立派な構えの一軒宿。日帰り入浴を躊躇するが、門前の看板に「ご入浴のお客様は、お気軽にお立ち寄りください」とある。源泉は霊峰富士の連なる古代の地層、地下500mの岩盤から湧出する名湯で、「飲める温泉」としても知られている。タイル貼りの内湯に湯の注ぎ口は2箇所。源泉チョボチョボと、循環した湯がドバドバと浴槽に注がれている。岩を組んだ露天風呂。貸切り露天風呂もあり、日帰りでも利用可。
 金山鉱泉 山口館 tel:0554-22-3398 10:00-16:00 \500  
武田家の隠し金山で、金鉱採掘に従事した人を療養させたそうだ。明治35年、初代館主山口昇司が湯治場として開業し、現在に至っている。ヒバ造りの湯船は数人程度と小さい。無色透明の湯は鉱泉なので沸かしている。

 それでも、東名清水ICを過ぎた辺りから順調に流れ出し、富士、精進湖を通り自宅から2時間ほどで中央高速の甲府南ICに乗れた。大月ICで降り、雁ヶ腹摺山の登山口である大峠までトータル3時間少々だった。
 駐車場に6台の車が停まっていたがまだスペースは十分にある。大人気の山であるが、平日登山の特権だ。

 まだ、真っ暗な早朝5時少し過ぎに国1藤枝バイパスに乗る。こんな時間帯でもトラックがけっこう走っている。安部川を渡った辺りからノロノロ運転、とても日の出前の道路とは思えない。毎度ながら、腹の立つ静清バイパスだ。第二東名などいらないから、この道をもう少しましにして欲しいものだ。

 自然林の中のよく整備され歩き易い路をゆっくりと登り始める。葉がすっかり落ち明るくなった心地よい登山路。サクッサクッと霜柱を踏む音、清々しくひんやりした空気、絶好のハイキング日和だ。
 登りだして間もなく、カメラと三脚だけを持った中年男性が下りてきた。「富士山が良く見えましたよ」と言う。登山口から10分ほどで右前方に富士山が見えた。噂に違わずすばらしい眺めである。しばらくして次は、優に70歳を超えたと思われる単独行の男性とすれ違う。このコースならいくつになっても歩けるだろう。

 木立が低くなり、ちょっとした急登をこなすと、三脚を構えて富士山を狙っている男性がいた。「ここは前方が崖地で、絶好のカメラポイントだ」と教えてくれた。そこからカヤトの平坦地を通り山頂までは5分足らず、男性単独行者がちょうど下山するところだった。
 山頂は木立に囲まれているが、富士山側の南面は切り開かれ、かの有名な500円札富士山の撮影地との案内板が立っている。ちょうど60年(S17.11.3)前に撮られたそうだ。

雁ヶ腹摺山山頂より富士山

 往路を戻ると、前方が崖地の先述のビューポイントで4人がカメラを構えていた。確かに、頂上よりここからの方が良い眺めだ。しかし、富士山の優美な姿とは対照的に大峠までの林道に傷つけられた山腹の痛々しさを目の当たりにもする。立派に舗装されたこの林道がなければ、こうもたやすくここには来られないので忸怩たる思いだ。楽々山歩きを望む自分の心とは裏腹に、どこであれ新たな林道造りは止めて欲しいとあらためて思った。

撮影ポイントから富士山、右下に林道がうねる

 これまでは単独行者がほとんどだったが、山頂に向かうパーティーは数人連れが多い。大月駅からタクシーで大峠まで来たと言う。6730円だったそうだ。タクシーで来ればいろいろなコースがとれるが、単独行の身ではそのタクシー代に躊躇する。

 往路を下る目の前に黒岳が大きく聳えている。山頂から30分ほどで大峠に戻った。ゆっくりと食事をして、今度は反対側の黒岳に登ることにする。

  黒岳登山口には「熊出没注意」の看板が立っている。雁ヶ腹摺山とは違い、あまり登る人がいないからだろう。路はよく踏まれている。ほんのわずかだが道端に雪が残っていた。雑木林の路を30分ほど登り1792mピークを越え下りとなる。この辺りからやや暗いイメージの針葉樹林帯(コメツガ・シラビソ)となる。風もなく、鳥の囀りも聞こえない。静かだ。異様にさえ感じる静けさだ。すれ違う人もまったくない。自分の息遣いが聞こえるだけだ。
 1時間ちょっとで稜線に出る。右は牛奥ノ雁ヶ腹摺山、左に数分で黒岳山頂に着いた。一等三角点の山だが、樹林に囲まれ展望はない。往路を下り、12時半前、大峠に戻った。

下山路正面に黒岳を望む

一等三角点の黒岳山頂

 帰路につくには中途半端な時間、持参のガイドブックを見ると大月ICの近くに山梨百名山の岩殿山がある。山頂まで遊歩道があるようだ。

 岩殿山登山口付近の山肌の工事中で、駐車場は関係の車で満杯状態。仕方なく、駅周辺に車を停め運転用の靴で岩殿山に向かう。紅葉に彩られた兜岩は予想外の見事さだった。何回もシャッターを切りながらゆっくり登ってもR139脇の登山口から山頂までは30分とかからない。残念ながら富士山は見えなかった。天神山経由の周回コースにしたいが、普通の革靴でもあり今回は断念、次回この方面に来た時、周回コースを歩くつもりだ。

頂上まで遊歩道の岩殿山

renew:2013/09/03

すっかり葉の落ちた登山路

大峠登山口駐車場

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