行 程                  アクセスカウンター
場 所 着時刻 発時刻
 駐車スペース 8:40 8:43
 中の段(農道終点) 9:14 -
 山腹/尾根コース分岐 9:35 -
 一の沢 9:46 -
 二の沢 10:25 10:33
 三の沢 10:40
 十枚峠 11:03 11:06
 下十枚山  11:27 11:37
 十枚峠 12:01 -
 十枚山 12:26 13:12
 中の段(農道終点) 14:08 -
  駐車スペース 14:32 14:40

【十枚山】富士と南アの好展望台

山 名  十枚山、天津山(下十枚山)
山行日  2001年11月24日(土)
天 候  快晴
歩行時間  5時間3分(昼食休憩除く)
コース  駐車スペース→中の段→沢コース→十枚峠→天津山→十枚峠→十枚山→尾根コース→中の段→駐車スペース

十枚山頂よりの富士山

 中の段から十枚峠、十枚山そして尾根を下る周回コースは中高年者の単独行でも安心して歩けるコースだ。真っ青な空に頭を白くした富士山が映える。南アルプスの峰々もみんな見える。麓では晩秋の紅葉も楽しめた大満足の山歩きであった。

 96年3月10日、雪の降る中を登って以来3度目の十枚山である。まだ、山頂からの展望は楽しんでいない。晴天を約束された3連休の中日、「今度こそ」と、絶景を期待しての山行だ。
 静岡駅から梅ヶ島に向かう六郎木バス停前の大駐車場で身支度を整える。ここには分かりやすいハイキングコース案内の大看板や売店、トイレもある。

 再び車に乗り、駐車場から50mほど行ったところで梅ヶ島方向と分かれ、関の沢集落に入る。登山口である中の段への道は狭いが普通車でもあまり心配はない。六朗木バス停から2.5km ほど行った地点で男性単独行の人に車を止められる。駐車可能な大きなスペースのある所だ。そこに車を停めて歩き出すところだったようだ。「この先も行けるのですか?」と訊ねられる。「中の段まで行けると思いますよ」と応えると、しばらく迷った様子だったが、「ここから歩くことにします」と言って歩き出してしまった。

 中の段までは間違いなく車で行けるはずであり私もしばし迷ったが、十分な駐車スペースのあるこの場所から歩くことにした。時間もあるし準備運動代わりにもなる。登山靴に履き替えていると、個人タクシーの運転手さんに「この先も行けるのですか?」と聞かれる。「行けるはずですよ。今も普通車が一台上って行きました」と応えた。

 車を停め舗装農道を歩きはじめてしばらくすると,登山届けポストのある登山道分岐に出た。しかし、5分足らずでまた農道に戻ってしまった。足慣らしの農道歩きも悪いものではない。紅葉に彩られた阿部奥の山々に朝日があたって輝いている。写真を撮りながらゆっくりと登る。お客を降ろした、先ほどのタクシー運転手さんも感動の様子で景色を眺めていた。「素晴らしいですね!」と声を掛けられた。

中の段付近から振り返って

 農道の舗装が切れる地点から車は通行禁止であり、その手前に数台の車が駐車していた。そこから2・3分で「熊出没注意」の看板が立っている登山道が分岐している。手入れの行き届いた杉林の中の道を20分ほど登ると、十枚山直登の尾根コースと十枚峠への山腹コースの分岐に出る。ガイドブックに従い、山腹コースを登ることにする。杉林の中の暗い道だが、なだらかな上りである。分岐から10分ほどで最初の沢を渡ると一転、ガレた急斜面のギザギザ登りとなり少し緊張させられるが、すぐに杉林の道となりホッとする。

車止め付近の駐車スペース

一の沢

 水量豊富な2番目の沢で休憩していると、単独行の中年男性が「こんにちわ」と言い、追い越していった。山道になってから初めて出会った人だ。3番目の沢を過ぎた辺りから、Tシャツ1枚の身体に空気がひんやりと感じられ気持ちがよい。男性1人、女性2人のパーティーを追い越す。先に私を追い越した男性もTシャツ1枚であったからだろう「早い人はTシャツ1枚なのね」と長袖に防寒着まで着た3人がつぶやいていた。

駐車スペース

地面に霜の白が目立ち始める。青空が広がり一気に明るい雰囲気の笹原になるると十枚峠は直ぐだ。突然、目の前に頭に雪をかぶった富士山が飛び込んでくる。感動の一瞬だ。先の中年男性も身体から湯気を出して休んでいた。
一呼吸入れて、下十枚山へ向かう。少し行くと道の両脇に雪が目立ち始め、やがて凍った道となる。アイゼンを持ってこなかったので帰りの下りが少し心配だ。日当たりの良い笹原に出てホッとする間もなく山頂に着く。下十枚山頂には連れション中の男性2人だけだった。「悪いとこ見られちゃったな」と、テレ笑いをしながら「お先に」と十枚峠に下って行った。

下十枚山頂より富士山

下十枚山頂下の笹原から十枚山と南アの山々(光、上河内、聖、赤石、荒川、笊等)

山頂独占もつかの間、青笹方面から次々と人がくる。富士山の写真を撮ってさっさと通り過ぎて行く。10分ほどで山頂を後にする。笹原まで戻ると素晴らしいい展望だ。山頂を通り過ぎた先の1組が腰を下ろして、展望を楽しんでいる。

「十枚山頂より、ここからの方が南アルプスの眺めはいいですよ」と言う。昨年8月に登った光岳から今年7月登頂の笊ヶ岳まで、南アの山々がみんな見える。あまりの素晴らしさに何枚も写真を撮った。

今年5月、ちょっとした滑落で骨折して以来、極端に臆病になった。予想通り、凍った道の下りが怖い。腰が引ければますます滑りやすくなるのは分かっているが、へっぴり腰でこわごわ下る自分が嫌になる。十枚峠からの道は一転、ルンルン気分に浸る。右手は枯れ枝越の富士山、左前方は南アの山々、後方にはキラキラ輝く安部川、空は真っ青、さわやかな風が笹の葉をカサカサと揺らす。明るくゆったりとした道をのんびりと歩く。
 十枚山頂には10人以上の人たちが休んでいた。富士山と南アルプス、そして来し方を振り返れば下十枚から青笹方面へと安部奥の山々が連なっている。先ほどの立ちションの2人連れが話しかけてきた。「大井川を越えての山登りは初めてだ」と言う。岡崎から来たそうだ。遠州や三河の山の話がはずむ。

十枚峠から十枚山への縦走路

十枚山頂より富士山、篠井山、下十枚山と青笹山へ連なる安部奥の山々

 十枚山頂から、急斜面の直登コースを真っ直ぐに下る。ロープが張られているので安心だ。10分少々で杉の植林帯に入る。幹にピンク色の○印や黄色テープでの鉢巻きがしてあり、迷う心配はない。峠からの道と合流すると10分余りで農道に出る。
 景色を見ながら歩いてもつまづく心配のない舗装農道をのんびりと下る。午後の陽に照らされた山の斜面の紅葉が美しい。
 車を停めたスペースに7,8台の車が駐車していた。梅ヶ島の「黄金の湯」に立ち寄って汗を流し、大満足の晩秋の一日を締めくくった。

中の段付近より

宿 露天風呂の大野木荘
tel:054-269-2224
安倍川の奥座敷、温泉と野趣に富む料理、心ぬくもる山里の宿。山伏、八紘嶺、十枚山、大光山など安倍奥の山に登るに最適の宿。
更新:2013/08/22