【志太山塊】茶畑の中、富士山と駿河湾展望のハイキングコース


 今回歩いたコースは4回目になる。終日、富士山をはじめ駿河と遠州に連なる山々、そして静岡・焼津の街並みから広がる駿河湾、晴れていれば伊豆半島から御前崎、さらには南アルプスと欲しいままの展望を楽しみながら、茶畑の中をのんびり歩けるすばらしいハイキングコースを紹介します。
 山に入ってからは道が良く整備され、標識も随所にあるなど中高年の単独行でも、全く不安を感じさせないお奨めのコースです。
 里山は登山口までが分かりにくいので少し詳しく書くことにします。

 安倍川駅を8時に出発する。駅の階段を降り、静岡方面に向かいホームの外れあたりを左折。西方向に見える山を目指してまっすぐに進むと、すぐに新幹線のガードをくぐる。住宅街のゆるやかに蛇行した舗装道を道なりに歩く。県道366号線を横断し、駅から10分足らずで丸子川に架かる寺田大橋に着く。橋を渡らず右折し丸子川に沿って土手道を数分進むと井尻橋だ。左折し橋を渡る。左に若杉幼稚園を見てしばらくすると、向かいの左角に大きなビニールハウスがある十字路に着く。そこを左折し、住宅街の細い道を進むとすぐに「最古の東海道(万葉の道)」の標識ある。その近くの神社を過ぎた辺りから急登となる。すぐに『南無地蔵菩薩』の赤い幟のたった小さな祠の所で右カーブ、その3メートルほど先に「二丁目」の丁目石がある。

 舗装が切れ山道らしくなる。そこから数分、五丁目石の所をV字形に左折する。朝鮮岩方向を記した標識があり迷う心配はない。さらに少し行くと、人が住んでいるようないないような一軒の民家が現れる。そこをつづら折れに登ると直ぐに八丁目石、その数十メートル先に小野寺がある。無人の小さなお寺だ.一息入れて、寺の右側の登山道を行く。しばらく行くとすごい急登、5分ほどで左手に鉄塔。さらに10分ほど急登が続き、小ピークに着く。右手の枯れ木越に静岡の町が見下ろせる。ピークをちょっと下ったところに大きな岩がごろごろしている。休憩する時の腰掛けになりそうだ。さらに数十メートル進むと、今度は左手の枯れ木越に海面がキラキラ輝く駿河湾が見える。

 朝鮮岩で一休み。富士山を背景にして、安倍川越に静岡の街並みが一望できる。右手には駿河湾、左手には竜爪山・真富士山などの山並み、いつもながら、登ってきた甲斐がある眺めだ。

 朝鮮岩を後にしてすぐに、左側にトラロープの張られた急登の尾根道がある。小ピークで道標に従い左折すると今度は急下り。お茶畑の脇や作業用の索道を横切り数回のアップダウンを繰り返し丸子富士の登り口に着く。
丸子富士登り口の左側にはしっかりしたトラバース道もある。安倍川駅から2時間強で3等三角点の丸子富士山頂着いた。「金光山蔵王権現」の石柱が建ち、小さな祠が安置されている山頂は、ぐるりを木に囲まれて展望はない。山頂から数分下ると先のトラバース道と合流する。小坂の分岐を通過すると、左手斜面に明るく照らされた茶畑が広がっている。

 丸子富士から25分ほどで満観峰の山頂に着いた。360度の展望だが、富士山は雲間に隠れてしまった。静岡市街地や駿河湾が一望できる。目を転ずれば、間近の高草山その右遙かに幾重にも重なる遠州の山々、まさに大パノラマだ。
 軽く食事をしながら30分ほど展望を楽しみ山頂を後にする。下りはじめると強風に杉花粉が飛んでいるのがはっきりと見える。あわててタオルを口に当てる。花粉症というわけではないがぞっとした。

 日本坂に向かう途中、このところ山の会に姿を見せないUさん夫妻とすれ違う。彼は、1年半ほど前、山登りをはじめてわずか3年で日本百名山を90座ほど登っていたので、「百名山は終わりましたか?」と聞いてみた。「体調を崩し、その後さっぱり登っていない」「身体を馴らすために、こうして近くの山を歩いている」とのことであった。
 Uさんと別れてしばらくすると、若い女性ばかり8人ほどのパーティーとすれ違った。若い人、それも女性ばかりのパーティーをここら辺りの山で見かけるのは珍しいことだ。

 日本武尊が東征の際に越えた日本坂峠を横切る辺りは特に風が強く、杉花粉が気になって仕方がない。峠のお地蔵さんにお参りしただけで休まずにそのまま、花沢山の急登を開始する。登りが緩やかになるとまもなく花沢山の山頂に着く。山頂手前の大きな電波反射板(航空灯台)は興醒めだが、三等三角点の山には2組のベンチと椅子が用意されていて、焼津の街並みと焼津港、小川港から遙かに広がる駿河湾が一望できる。

 山頂を出て数分で大崩海岸と用宗の分岐がある。大崩海岸方向はかんぽ(保養センターかんぽの宿の略称)と表示されている。分岐からいきなり急な階段下りだ。若い夫婦連れが登ってくる。「頂上はまだですか?」お決まりの問いかけに「もうすぐですよ」と応える。ホッとした表情に変わるのが印象的だ。

 再び石部への分岐を左に見送り尾根道を行く。突然、視界が開け、大海原が目の前に広がる。ちょっとした驚きと感動の一瞬だ。4年ほど前同じコースを歩いたとき見かけた、組み立て中の真新しい骨組みだけの丸太小屋が、ほとんどそのときのままの組立状態で見捨てられ崩れかけていた。

 階段状の道をどんどん下ると、再び左手の展望が開け、真っ青な海の中に小さな岬が見える。右は高草山と焼津の街が見渡せる。そこから70段ほどの階段を登ると道了権現堂。そこから幾重ものつづら折れを下る。展望の良い大日堂を通過するとすぐに「かんぽ」と小浜のY字分岐がある。「かんぽ」を目指し左へ行く。

 またまた展望が開け、左に駿河湾。右手に高草山とその前方から左に広がる志太平野。振り返ると花沢山の左にようやく満観峰も姿を現す。すばらしい展望である。正面に「かんぽ」、左手に観光ホテル松風閣が見えると花沢山登山口はすぐだ。「大崩ハイキングコース」と書かれた大きな案内板が建ち、近くに5・6台は停まれる駐車場がある。

 舗装道路を5、6分下るとバス停「保養センター(かんぽの宿)入口」に着く。JR東海道線に突き当った所だ。そこからは瀬戸川河口に架かる浜当目橋を渡り、30分足らずで焼津駅に着く。

概 要  富士山そして駿河と遠州に連なる山々,静岡・焼津の街並みから広がる駿河湾,伊豆半島や南アルプスなど欲しいままの展望を楽しみながら茶畑の中をのんびり歩く.
山 名 丸子富士(450m),満観峰(470m)
花沢山(449.5m)
山行日 2001年2月25日(日)
天 候 晴れ
同行者 単独行
歩行時間 6時間24分(休憩時間含む)
行  程  アクセスカウンター     
場 所 着時刻 発時刻
JR安倍川駅   8:00
井尻橋 8:16  
小野寺  8:38  
朝鮮岩 9:08 9:18
丸子富士山頂 10:11 10:15
満観峰山頂 10:38 11:05
日本坂峠 11:51  
花沢山々頂 12:15 12:21
道了権現 12:54   
花沢山登山口 13:50   
JR焼津駅 14:24  

「万葉の道」道標

満観峰直下より茶畑越にに花沢山を望む

小野寺

朝鮮岩から静岡市街と富士山(分かるかな)

花沢山々頂

日本坂峠のお地蔵さん

焼津の名峰,高草山とその左に広がる志太平野

浜当目橋より高草山(左),満観峰(中央小さく),花沢山(右)

花沢山登山口駐車場

更新:2013/03/14