越百山の下り早々から膝が不調なメンバーのザックも背負い,殿を務めてくれたサブリーダーのSさん.その二人を,地元の釣り帰りの車を止め粘り強い交渉で同乗の三人に降りてもらい,迎えに行ってくれたUさん.そしてなりよりも,長丁場の上,岩場,鎖場,梯子場の連続する難コースを全員が無事下山できたことに感謝し,想い出深い山行を締めくくった.     
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 岩場を下るとあとは緩やかな稜線となり丘のようなピークを越え登り返すと大きな山名板のある越百山山頂(左写真)に到着。ここまで来ればあとは下るだけ,気が楽になったのだが後になって思えばこれまた甘かった.

 下山路はエリアマップで点線の道.鎖場,梯子場が連続する沢筋の難コースだ.しかし,紅葉に彩られた山肌を幅広く真っ白な飛沫が滝壺に落ち込む飛竜の滝(右写真)をはじめ,大小さなざまな滝が目を楽しませてくれる路でもあった.
仙涯嶺付近を越百山(左奥)めざして
 赤椰岳を越え,左に紅葉に埋め尽くされた摺鉢窪のカールを見下ろすと程なく南駒ヶ岳(右写真)に着いた.花崗岩のザレとハイマツの登山道を急降下し,鎖で整備された岩場や崖淵を登ったり,トラバースして仙涯嶺の頂に出る.標示は無かったが神秘的な名を彷彿とさせる山頂だ.
 頭は痛いし寒気がする.ザックの底からセーターまで出し身につけるが,横になることもできず,壁にもたれてじっとしているしかない.食欲はゼロ,夕食はまったく口に入らない.寝る場所が決まるや早々と横になる.ふとん1枚に2人.何とか両肩をつけて寝ることができた.

 ぐっすり眠ったせいか体調は戻ったようだ.朝食もそこそこ食べられ,空木岳の登りもさほど苦もなくこなすことができた.視界ゼロに近かった前回とは大違い,南ア全貌をはじめぐるりと全部見渡せる.ここから池山尾根を下る二人に付いていこうかとも思ったが「めったに来られないのだから」とのUさんの言葉に意を決し皆についていくことにした.
 午後3時,木曽殿山荘(右写真)に着く.温かなお茶のサービスがうれしい.我々だけで貸し切りだった5年前とは大違い,すでに多くの客がいるにも関わらず次々と登山者が到着する.体調が思わしくないので横になりたいのだが,何人泊まるかはっきりするまで,寝る場所を決められないようだ.
 11時頃,濁沢大峰を通過.さらに南下を続けるといつしかアップダウンがきつくなる.檜尾岳・大滝山・熊沢岳と2700mを越える山々が次々と襲いかかる。熊沢岳は大きな岩が立ち並びなかなかの迫力だ.木曾殿山荘まであと2時間とあった。
 本日最後の登り東川岳山頂に,5・6人の我がメンバーが休んでいた.後は木曾殿越へ下るだけ.ようやく見通しがついた安心感から,ゆっくりと腰を下ろし,霧に見え隠れするみごとな岩峰,大迫力の空木岳にしばし見とれた.
 宝剣山荘まで折り返し,鎖の整備された岩場を15分ほど登ると宝剣岳頂上だ.ピークは大きな縦長の岩(右写真)で、ここは1人ずつしか登れない.岩によじ登ってみたが,降りるのは結構こわい.
 鎖場が連続する険路(左下写真)を下ると極楽平から西千畳敷までは,なだらかで展望のいい縦走路だ.木曽駒と宝剣,2つのピークを踏み,あとは気楽な稜線漫歩と勝手に思いこんでいたのだがとんでもない勘違いであった.地図では読みとれないアップダウンの繰り返し.その上,2600mまで一気に運ばれ軽い高山病になったのか,ちょっと頭が痛い.登りになるたびに睡魔がおそってくる.かかとがつま先に触れるばかりの歩幅で,ひたすら足元を見てゆっくりゆっくり歩くのだが,それでも足下がふらつき気味だからいやになる.
 朝食後,中岳を左に巻き鞍部からゆるく登ると木曽駒ヶ岳山頂だ(右写真).4度目の訪問になる.これほど気楽にアルプスを極め,360度抜群の眺望なのだから観光客に人気があるのも当然だ.
 ロープウエイ駅を出ると青い空に宝剣岳が聳えている.千畳敷カール(左写真)は紅葉と緑のハイマツそして白い岩石とがみごとなコントラストを醸し出している.その中へ吸い込まれるように,稜線上の宝剣山荘まで一気に登る.夜立ちのせいか高所のためか,はたまたいきなりのハイペースのせいか意外に辛い.
 朝5時過ぎ,長いバス待ちの行列を尻目に,予約のバスに乗る.空いた席に行列の客を超満員に乗せしらび平へ.ここから標高2612m の千畳敷駅まで8分足らずで運んでくれる,駒ヶ岳山頂までは標高差350m足らずだ.

東川岳山頂より空木岳

中央アルプス縦走

【山 名】木曾駒ヶ岳,宝剣岳,檜尾岳,熊沢岳,東川岳
     空木岳,南駒ヶ岳,越百岳
【年月日】2000年10月7〜8日
【同行者】静岡OAA 山の仲間
【行 程】
10/07 千畳敷駅6:35→7:10宝剣山荘7:30→7:55木曾駒ヶ岳8:10→9:00宝剣岳→10:45濁沢大峰→12:00檜尾岳→13:20熊沢岳13:30→14:40東川岳→15:05木曾殿山荘(泊)

10/08 木曾殿山荘5:55→7:10空木岳7:25→8:50南駒ヶ岳9:10→10:30仙涯嶺→11:25越百山11:35→13:30飛竜の滝→14:55乙女の滝→15:40登山口(林道)→シオジ平自然園