雪渓とお花畑の道をたどり飛騨の名山へ

【山  名】折戸岳,笠ヶ岳
【山行日】2000年7月22日〜23日
【天  気】曇り
【メンバー 】静岡OAA 山の仲間
【行  程】

三俣山荘(泊)5:08→三俣蓮華岳・双六岳巻道→7:23双六小屋8:27→9:36弓折岳→12:45笠新道分岐→13:06抜戸岩→13:44笠ヶ岳山荘(泊)5:03→5:16笠ヶ岳山頂5:27→10:19槍見温泉

笠ヶ岳山頂


  朝食をとる頃までは見えていた槍ヶ岳も,出発の準備をしているうちにすっかりガスに隠れてしまった.外に出ると,意外と風が冷たい.

  分岐で三俣蓮華岳・双六岳を目指す組と,巻き道を行く組に別れる.稜線コースは一昨年,槍ヶ岳へと歩いているし,霧が深く展望は期待できない.ためらうことなく巻き道組に入る.こちらの組は,ゆっくり歩き願望の強い仲間が多いのがありがたい.

  分岐からしばらくは大きなお花畑の中を行く.巻き道は雪渓と花の道である.ここらは春がはじまったばかり,楽しみながらのんびりと歩く.急坂を登りしばらくすると稜線からのコースと合流し,最後は下って双六小屋に着く.

双六小屋前

  健脚揃いの稜線組がなかなか到着しない.双六岳方向を見上げては「遅いね」とつぶやきながら待つことしばし,ようやく元気に下りてきたのを見てホッとした.「双六岳からの下りで往生した.大きな雪渓があり,ザイルを使ってひとりづつ下りたので思いの外時間がかかった」とのこと.待つ間に,巻き道組はすっかり身体が冷えてしまった.稜線組が着いてしばらくして「ゆっくり歩いているから」と言い残し,先に出発する.15分もしないうちに追いついてきた.さすがは健脚揃いの稜線組だ.

  双六小屋から1時間ほどで弓折岳コルに着く.ここで翌日用事のある G.T. さんが新穂高温泉へとひとりで下っていった.

双六小屋前

  弓折岳を通過し,大ノマ乗越で一休み.相変わらず霧の中,雨が降らないのがせめてものなぐさめか.しばらくして右手に大きな雪の壁が現れる.オレンジ色のスプレーに添って急な雪渓を登る.

  上から下りてきた人が「この雪渓はまだ続くのですか?」と,うんざりした顔つきで聞いてきた.急な斜面の上,深い霧で下は見えない,嫌になるのもよく分かる.

  10時半頃より,とうとうポツリポツリと降り出す.上着のみ雨具を着用する.深い霧と,時折降る雨に足取りはますます重くなる.笠新道への道を左に分け,抜戸岩の間を抜けひと登りでようやく笠ヶ岳山荘に着いた.

  部屋に入り,荷物を整理し寝るポジションも決まってしまうとやることがない.時間も早いし,笠ヶ岳へ行ってきたいのだが,だれも動こうとしない.明日は笠ヶ岳を越えてクリヤ谷を下る予定だし,霧が深く展望はまったく期待できないのだから登る気がしないのも当然か.しかし,時間を持て余していても仕方がない.リーダーに断り,ひとりで出かけることにした.

  岩屑が散乱する中を踏み跡を拾いながら10分ほどで山頂に着く.5,6人が休んでいた.記念写真を撮ってもらおうと思ったら電池切れ,予備は小屋へ置いてきてしまった.その様子を見て,山口市から来ていた S.N. さんがご自身のカメラに収まる際「一緒にいかがですか」言ってくれた.その写真は後日,郵送していただきました.感謝!

  山頂から下る途中で仲間の K.F. さんとすれ違う.「部屋にいても退屈なので」とのこと.夕食の時「3往復した」と聞いてその元気さにあらためてビックリ.

笠ヶ岳小屋直前の雪渓

笠ヶ岳山荘

 昨日よりもさらに濃いガスの中10分ほどで笠ヶ岳山頂に立つ.もちろん何も見えない.10分ほどで早々に山頂を後に,クリヤ谷コースを下山する.はじめは平たい石が折り重なるガラガラ道,しばらくすると丸いゴロゴロ石の滑りやすい道が延々と続く.疲れた足には何とも辛い.

クリヤ谷下りで焼岳(左)と錫杖岳(右)クリックで画像拡大

笠ヶ岳山荘

 頂上から2時間ほど下った辺りから霧が晴れ,正面に焼岳,左に穂高の峰が見渡せる.疲れを忘れさせてくれる展望も樹林帯に入るとすっかり見えなくなり,ひたすら急斜面の道をジグザグに下る.

 槍見温泉手前1.5kmの辺りで,上方の視界が開け,右手に錫杖岳(シャクジョウダケ)の岩峰が圧倒的な迫力でそそり立っている.岸壁には多くのクライマーが取り付いているのが見える.

 槍見温泉でゆったりと露天風呂に入り4日間の汗を流した.入山以来控えていたビールのうまかったこと,折立から薬師・黒部五郎・笠と歩いたのは,この一瞬のためのものであったような気さえした.


黒部五郎岳より続く

一浴温泉情報
奥飛騨温泉郷 −槍見館−  tel:0578-9-2808 10:00-15:00 \800
笠ヶ岳のクリヤ谷コース登(下)山口にある槍見館は、大正半ば頃、河原に湧き出る湯を見つけ、槍ヶ岳を一望できる槍見温泉として産声をあげた。以来、豊富な湯量は登山者や地元の人たちに山宿の湯として親しまれてきた。蒲田川の川辺の岩盤を利用した露天風呂が魅力。立ち寄りでは内湯は利用出来ない。
新穂高温泉
 新穂高の湯
 
tel:0578-9-2458(新穂高温泉観光案内所) 8:00-21:00 \ 寸志
蒲田川の河原にある露天風呂。男女別の更衣室はあるが混浴。水着着用OK。湯船は直径10mほどの岩風呂。塀、囲い、屋根、目隠しの類は一切なく、開放感が溢れている。対岸の道路からは丸見え状態。湯は無色透明で柔らかい感じ、つるつる感もある。湯は惜しげもなく岩から川に流れ落ちている。湯船の底に細かい砂利が敷いてあり、歩くと気持ちいい。
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