眺めの良い稜線,岩肌と
  残雪が彩なす大カールの縦走路

【山  名】黒部五郎岳
【山行日】2000年7月21日
【天  気】晴れ
【メンバー 】いつもの山仲間
【行  程】

太郎平小屋(泊)6:03→7:33北ノ俣岳7:40→9:55肩→黒部五郎岳→肩10:52→12:00黒部五郎小屋12:23→14:58三俣山荘(泊)

黒部五郎岳山頂


 昨日は夜行バスのためか薬師岳の登りがとても辛かったが,今日はよく眠れたこともあり体調は良さそうである.青空も広がっている.ウキウキした気分に知らずに笑みがこぼれる.

 太郎平小屋を出て直ぐ,雲の平への道を左に分け小屋裏手の太郎山を目指す.露をつけたチングルマの穂が朝日に照らされて輝いている.ゆったりとしたお花畑,小さな池塘が点在する気持ちの良い草原を行く.正面に目指す黒部五郎岳を挟み,その右手は明日登る笠ヶ岳,左には三俣蓮華岳越しに槍の穂先が見える.

黒部五郎岳の右に笠ヶ岳と左に槍の穂先

北ノ俣岳山頂より笠ヶ岳・乗鞍岳・木曾御岳

 快適な道もやがて雨水の流れにえぐられた溝状の歩きにくい道となり,急登にさしかかる頃には早くも少々バテ気味となる.今年は休憩も含めて数時間の山歩きしかしておらず,薬師岳の長丁場が堪え,その疲れが抜けないからなのだろう.
 急な登りが終わると緩やかな稜線の一角に出る.ここからは視界が開け,正面に北ノ俣岳を見ながらのゆったりとした稜線歩きとなる.青空と緑と残雪が美しいコントラストを描き出している.アルプスに来ている幸せをかみしめられるひとときだ.
 北ノ俣岳はゆったりとした山頂である.そこからは縦走路のはるか彼方に木曽御岳を望みながらの道となる.御岳の左には乗鞍岳,さらにその左に笠ヶ岳と連なる山々の重なる大展望を楽しみながら黒部五郎岳へ向かう.

 引き続き,緩やかで快適な道を行く.赤木岳山頂のすぐ下を巻き,小さな上り下りを繰り返すと中俣乗越である.黒部五郎岳は大きく見えるが,まだまだ遠い.小さなピークを越えるといよいよ黒部五郎岳への登りとなる.石ころの道を小さなジグザグを切りながら高度を稼ぐ.
 黒部五郎岳の肩で後続を待ち,空身で山頂へ向かう.飛騨側はすっかりガスに覆われてしまったが,昨日登った薬師岳は間近に見える.その右手には立山から白馬連峰までしっかり見渡せる.集合写真を撮り,肩まで戻り昼食後,スプーンで削り取ったようなカールの底に向かう.

中俣乗越付近より黒部五郎岳を望む

 カール底から見上げる山腹は,荒々しい岩肌と残雪の白とが彩なす見事な様相を見せている.残雪が生む清冽な流れ,ゴロゴロところがる大小さまざまな岩石,そしてお花畑.いつまでも長居したいところだが,今日の宿の三俣山荘はまだまだ遠い,カールを流れる清流を汲み取り喉を潤し先を急ぐ.(右の画像をクリックすると大きくなります)

カール底より

山頂より薬師・立山

黒部五郎小屋

 五郎平の草原に建つ山小屋の鋭角三角形の真っ赤な屋根が背後の樹林の緑によく映えている.しっかりと休憩をとり,腹ごしらえをして,もお一踏ん張り.黒部五郎小屋の裏手からいきなりの急登,朝から6時間以上歩いてきた身にはまことに辛い.その上,三俣蓮華岳を巻く雪渓のトラバースには嫌が上にも緊張を強いられ神経まで疲れてしまう.

 前方に鷲羽岳が大きく聳え,そのすそ野に三俣山荘の赤い屋根が見える.今日の歩きもようやくめどが立った.そこからはひとりで,写真を撮り,花を見るなどしながらゆっくり歩きでフィナーレを楽しんだ.山荘には予定よりだいぶ早い午後3時前に着いた.
 K.F.さんは北アルプスの日本百名山で未踏の山は,明日登る笠ヶ岳と目の前の鷲羽岳だけだそうである.小屋に着くと早速,「どうしても今回登っておきたいので,一緒に登らないか」と誘われたが,如何せんトレーニング不足,とてもついて行けそうもない.手を挙げたのは,O.N.さんとK.H.さんの2人,往復2時間半の鷲羽岳に向かった.私は小屋前のお花畑を散策しながら,ときおり3人が登る様子を眺めていた.

三俣山荘手前より鷲羽岳

 山荘はごった返しており,段取りの悪さもあるのだろうがなかなか夕食にありつけない.食堂下の階段に長いこと待たされ嫌になったが,食後テラスから夕日に染まる槍ヶ岳を眺めいっぺんで気持ちが和んだ.いつまでも飽きることなく,刻一刻と移り変わる様を眺めてた.

薬師岳(前日)

笠ヶ岳(翌日)

笠ヶ岳へ続く

三俣山荘ベランダより夕日に染まる槍ヶ岳

三俣山荘食堂のベランダより夕日に染まる槍ヶ岳 18:40頃

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