久しぶりに頑張りの山登り

【山  名】薬師岳
【山行日】2000年7月20日(前夜発)
【同行者】いつもの山仲間
【行  程】

折立登山口7:15→8:45三角点→10:30太郎平小屋11:00→11:15水場11:20→11:55薬師平→12:35薬師岳山荘→13:30薬師岳山頂13:45→14:15小屋→15:15水場→15:30太郎平小屋(泊)

薬師岳(左奥)山頂付近


 19日夜、10時半に静岡を発つ。久しぶりの夜立ちの上、小型バスのためか横揺れが激しく、一睡もできない。できれば夜行バスは避けたいのだが現役サラリーマンの身では仕方がない。

 翌早朝、折立に着く。空は真っ青なのに、いつも登山口で感じるワクワクとした心の高ぶりや、浮き立つような気持ちになれない。約3年ぶりの縦走の山旅、それも山小屋3泊、薬師岳・黒部五郎岳・笠ヶ岳を縦走し、クリヤの頭から槍見温泉に下る長丁場だ。「皆についていけるだろうか?」と、不安な気持ちが先立ってしまう。

薬師岳登山口

 7時15分、折立出発。樹林帯の中の単調な登り。急登の上、展望はない。寝不足のせいだろう、とにかく苦しい。こんな時、頭をよぎるのは「何でこんなことしてるんだ!」と自問自答。答えなど出るはずもない。それでも何か考えている(つもり)と、少しは気も紛れる。
 三角点の辺りから、傾斜も緩くなり、見晴らしのよい快適な道となる。左手に雲が懸かった剱岳、右眼下は有峰湖、正面に薬師岳、幅広くなった登山路脇にはニッコウキスゲやイワイチョウなどの高山植物が咲いている。あちこちで歓声が上がる。カメラのシャッター音も盛んだ。最高のロケーション、いつもなら「来て良かった」と思うひとときなのだが体調がいまひとつ、どうにもさえない。

 前方に太郎平小屋が見え出す頃は、皆についていくのがやっとの体たらく。これも日頃、頑張らないと言おうか、ぐうたら山歩きしかしない身には当然の報いだろう。柄にもなく、必死の頑張りをするはめになってしまった。小屋が見えてからの長いこと、「田舎の道じゃあるまいし、いつになったら小屋に着くのか?」ブツブツ言いながら黙々と歩く。10時30分ようやく本日宿泊予定の太郎平小屋に着いた。
 部屋に荷物を置き、昼食を済ませ、サブザックで出発。15分ほどで薬師峠の水場に着く。美味い!、身体とペットボトルに水を満たして薬師岳を目指す。

アクセスカウンター

太郎平小屋

 そこからは岩のごろごろした急な沢を登っていくようになる。険しい登山路の両側に、キヌガサソウ・シナノキンバイ・アオノツガザクラ・ハクサンイチゲ等々、まさに百花繚乱と咲き誇っている。ゆっくりと写真を撮りたいところだが、付いていくのがやっとの身では諦めざるを得ない。
 薬師平の愛知大遭難碑に黙祷。薬師岳山荘を通過して、13:30 待望の薬師岳山頂に立つ。平べったい雲の平の向こうに祖父岳、その後ろにワリモ岳と鷲羽岳。苦しかったことなどすっかり忘れ、今日はじめて「来て良かった!」と心の底から思った。こんなに頑張ったのは何年ぶりだろう?。幸せなひとときを心ゆくまで味わった。

薬師岳山頂

 全員で記念写真。ほしいままの大展望なのに、わずか15分で「出発!」とリーダーの声。下りは早い、30分足らずで薬師岳山荘通過。さらに30分ほど下ると太郎平小屋が見える。ここまで来れば一安心。花の写真を撮りながらゆっくり下りたい旨伝え、ひとりになる。小屋に早く着いてもどうせ酒盛り、自分は下山するまでアルコールを断つことにしているので急ぐことはない。
 15:30 太郎平小屋に戻る。部屋に入ると、男性陣は酒盛りの真最中。私もポットのお湯でレモネードを作り、話の輪に加わった。

黒部五郎岳へ続く