ゼンモン山は水窪湖の南にある。2.5万図に登山道は記されていない。もちろんガイドブックもない。はじめからルート探索覚悟の山歩きだ。

 東名袋井ICを出て約45分、山住神社に着く。ここでトイレなど済ませ再びマイクロバスに乗りスーパー林道を行くも、2Kmほど先で通行止め。定光寺山登山口の所に冬季閉鎖用のゲート(左写真)があり、4月15日まで閉鎖とのこと。

 今日の主目的はゼンモン山を経て水窪湖へ下り、山王峡温泉での汗流し。N.I.さんによると、3時を過ぎると受け付けてくれないとのことであり、予定外の4Km以上の林道歩きは痛い。

 歩き始めてしばらくすると右に京丸牡丹で知られる憧れの山、京丸山が見える。今日のメンバーのほとんどは昨年6月に登っているが、都合で行けなかった私にとっては見果てぬ夢の山で終わるだろう。
 行く手に洒落た野鳥観察舎が見える頃、左にどっしりとした常光寺山(右写真)が姿を現す。私はこの山も未踏だが、こちらは紅葉の季節に単独でも登ってみたいと思っている。

 ハイペースの歩みにもかかわらず、数人の女性は林道道端のフクノトウを丹念に摘み取りながら皆の後を追う。いつしかスーパーの袋が大きく膨らんでる。「女の子はしっかりしている」「女の子?」「そうじゃなくて女の古!」と男の古がやかましい。

 3つめの野鳥の森入り口と書かれた門を横目に「入り口ばかりで出口がない」などと言いいながら通過。しばらくしてリーダーたちが地図を広げ鳩首会談「門桁山はこの辺りから登るはずだ、さっき通り過ぎた門のところかもしれない、バックバック」引き返して、登ること10分強、余りにあっけなく門桁山頂に着いた。
 頂上展望台からは麻布山、前黒法師山が見える。両山とも98年8月に登った山なので懐かしい。その右に雪を残した丸盆岳などなかなかよい眺めだ。

 昼食を済ませ、尾根道を一気に下る。10分足らずで、以前来たことのある麻布山登山口に出た。大きな駐車場と休憩舎(左写真)がある所だ。
 再び林道を歩くこと15分、今登って来た門桁山を左手に見て、V字カーブの先端辺りから山道に入る。いよいよ本番、ゼンモン山へのアプローチ。かすかながら路もあるようだ。「意外に楽かもしれない、温泉に間に合うかも」とN.T.さん。温泉への期待からか、足取りが軽くなる。

 期待とは裏腹、踏み跡はだんだん怪しくなる。リーダーたちは頻繁に地図を広げ、時に鳩首会談をして行く手を確認。丹念に尾根を拾う。突然、右眼下に水窪湖が姿を現す。感動の一瞬だ。しばらくして前方から「松浦尾根だから、気をつけるように!」とリーダーの声。「……?」。松浦さんは山仲間一番の超痩身。何のことはないヤセ尾根のことだそうだ。そこからは一本道。迷うこともなく約15分後、ゼンモン山の山頂に着いた。三角点と幹にくくりつけられた「遠州山楽愛好会」の山頂表示以外何もない。林の中で展望も無いものの、山頂を探し当てたことで大いに満足する。

 山頂を後にして数分、急に明るく開け水窪湖の向こうに麻布山の雄姿が見える。急いでザックからカメラを取り出すがゆっくりはできない。得意の下りのせいか温泉への執念か、やけに早足だ。赤や白のテープがけっこう目に付き迷う心配は無いものの、急降下の足元は枯葉で滑りやすく、おまけに枯れ枝が足に絡みつき、いやでも緊張を強いられる。
 目標のトンネル上の峠をとらえ,調子よく下ったせいか、高度計を見ると下り過ぎたようだ。トラバース気味に少し登り返すと、林道が見えそこにマイクロバスが待機していた。

水窪湖

 すでに午後3時だが、とにかく山王峡温泉へ急ぐ。森閑とした温泉の玄関に「ボイラー故障のため休業」とある。N.T.さんはこれで6回も嫌われ、未だ温泉に入れない。まさに幻の温泉だ。

山 名  門桁山、ゼンモン山
山行日  2000年4月9日(土)
天 候  晴れ
同行者  いつもの山仲間
歩行時間  3時間15分(除 休憩時間)
コース  車止めゲート10:55→門桁山登山口11:55→12:05門桁山12:30→林道(麻布山登山口)12:40→山道分岐12:55→13:45ゼンモン山々頂14:00→14:55林道

【門桁山〜ゼンモン山】物好きハイキング

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