【満観峰】夕日を見に登り,夜景に感動

【山 名】満観峰(470m)
【山行日】1999年11月22日(月)
【天 気】晴れ
【メンバー 】単独行
【行 程】
花沢の里駐車場15:10→15:25法華寺→15:50鞍掛峠15:55→16:20満観峰17:15→18:00日本坂峠→18:20法華寺→18:30駐車場


 西南西の方向に日が沈む.厚い雲のためか決してできの良い夕焼けとは言えないが,空のキャンパスが刻々と茜色の様相を変えながら移りゆく様を無心に眺めていた.

 夕焼けの空に高草山のシルエットが目の前に迫る.その左手には焼津の街につぎつぎと灯が点る.振り返ると,アッという間に静岡市街の灯が点り,光の絨毯を紬出す.右方の駿河湾海面を月明かりが広い帯状に照らしている.決して戻ることのない今日の日が暮れる.そんな感傷にふける間もなく,晩秋の陽は釣瓶落としに夜の帳を下ろす.

 ヘッドランプを着け,普段は使わないが,捻挫など万が一に備えいつも携帯しているストックを使って下山する.アップダウンと急坂の多い道だが,眺めの良い日本坂のコースをとる.茶畑の道は月明かりに照らされヘッドランプは不要だ.右に焼津の夜景,左は静岡の街明かり.東名高速道路の光の帯がゆったり蛇行しながら彼方へ延びている.月に照らされた駿河湾はことのほか美しい.

 いつもは嫌な階段も,夜道ではありがたい.急坂のアップダウンを繰り返し日本坂峠に着く.小石がごろごろした山肌の歩きにくい道をジグザグに下る.農道を横切り,墓地横を過ぎると法華寺だ.ここから駐車場までは舗装道路,ようやく気が抜ける.

 お目当ての夕日はいまいちだったが,夜景がすばらしく,十分満足した.

 無性に夕日が見たくなった.少しでも高いところがよいだろうと,満観峰に行くことにした.10回以上登っているので暗くなっても心配はない.もちろん,こんな時間帯に登るのは初めてだ.

満観峰より高草山と焼津港(駿河湾)

 広い駐車場に数台の車が駐車していた.まだ明るいとはいえ,こんな時間から登るのは気が引ける.花沢の里を通り登山口のある法華寺へ向かう道は,奈良から平安時代にかけて栄えた道だそうだ.江戸時代風の名残をとどめるそのたたずまいは,夕暮れ前の風情にピッタリだ.
 法華寺の少し先の登山口から鞍掛峠を目指す.下りに使ったことは何度かあるが,登りに使うのは初めてだ.眺めは良くないが,アップダウンがなく急登のない楽なコースである.

 舗装道路に出たところが鞍掛峠.一息入れ満観峰への道を行く.いつもは薄暗く,何の変哲もない退屈な道だが,今日は,西日に明るく照らされて趣さえある.杉林の濃い緑が夕日の赤と混じり合い,不思議な色合いに染まっている.
 このコース唯一の急坂を2分ほど登ると頂上は目の前だ.その名にふさわしく360度の展望が広がる満観峰.もちろん誰もいない.晴れてはいるものの,地平線の雲が厚く,残念ながら富士山などの遠望はきかない.

月明かりに照らされる駿河湾

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