大パノラマの3000m稜線歩き

【山名】仙丈岳(3033m)
【日程】99年10月9日(土)〜10日(日)
【天候】両日とも快晴
【メンバ】Uさん夫妻、Nさん、志太颪
【行程】
北沢峠11:00→大滝ノ頭12:50→13:10藪沢小屋13:15→13:40馬ノ背ヒュッテ(泊)

馬ノ背ヒュッテ5:40→6:55仙丈岳山頂7:50→9:00小仙丈岳9:50→大滝ノ頭10:15→11:00北沢峠11:20→12:05北沢橋12:20→13:20広河原


小仙丈岳から仙丈岳を望む

 その混雑振りをいろいろと聞いていたので、シーズン中の登山を敬遠してきた仙丈岳に、こともあろうにベストシーズンの体育の日を絡めた3連休に登る羽目になってしまった。
 土曜や祝日でも休暇を自由には取れないNさん。ようやく確保したこの3連休で本格的な山に登りたいと言う。また、ここ3年ほどで,一気に80近くの百名山に登っているUさんが、どうしても今年中に、甲斐駒・仙丈に行きたいと言う。私が未踏の「仙丈だけでも付き合ってくれ」と熱心に誘う。甲斐駒は北沢峠へのテント泊で好天の日に2度登っている。仙丈岳はいつでも登れる.なにもこの超混雑が予想される時期にとは思ったが、いつもお世話になっていることもあり,運転手代わりに仙丈岳のみ、お供することにした。

10月9日(土)
 Uさんが調べてくれた広河原10:30発の北沢峠行きバスに合わせ自宅を出た.静岡でUさん夫妻、清水でNさんを乗せたのが朝6時.52号線は思いの外順調で、9時10分頃広河原に到着した。バス停から野呂川橋まではもちろん、橋の向こう側もびっしりと車が停まっている。駐車場所を探す車が数台うろうろしている。運良く、野呂川橋を渡って直ぐ右の広場から出ていく車があり、そこに駐車できた。

 バス停には10人近い人が並んでいた。時刻表を見ると9:00の後は12:30発までない。並んでいる人に聞くと、10:30は臨時とのこと。
 切符売り場の窓口で「臨時便は出ますか?」とたずねると,
「分かりません! 状況によります」とえらく冷たい言い方にカチンとくる.
「バス一台分の人数が集まれば出していただけるのでしょうか?」
「分かりません! 状況によります。切符を買ってお待ち下さい。出ないときは払い戻しもいたします」乗せてやるのだと言わんばかりの応答に腹は立つが,運行権限のない切符売りの人とこれ以上問答しても仕方がない.

 他のパーティーの人が「今並んでいる人とあと数人とで2倍の料金を払えば、バスの定員分になる。それで臨時バスを出してもらえるかお願いしようと思うのですが・・・」と提案してくれたが、それを聞いて先頭の3人が意を決したように歩き出してしまった。
 私も「臨時バスが出る可能性は極めて高いと思うが、時間はたっぷりあるし、歩こう」と提案したが、ガイドブックでは歩くと3時間近くかかると書いてある。12:30発のバスで行っても北沢峠への到着はあまり変わらないことから、あっさりと却下される。
 10時前頃から少しずつバス待ちの人が増えてきた、我々も切符を買って待つことにする。10時10分過ぎ頃になると、臨時バスが出る旨のアナウンスが再三流された。

 臨時バスは3台とも補助椅子が下ろせず、通路にぎっしりと人を立たせた超満杯の状態で出発した。バスから野呂川沿いの景色を見ながら、もし、このバスが川にでも落ちると、釣り船、カーフェリーあるいはトラックの過積載などで発生した事故の大惨事と同じように「定員を大幅に超える人を乗せ・・・・・」などと書き立てられるのかしらと思ったりした。

 北沢峠の仙丈岳登山口を11時に登りはじめる。1合目、2合目・・・,小さな合目標識が励みになる。大滝ノ頭(5合目)付近からは紅葉(黄葉)が目立ちはじめる。そこを通過して20分ほどで、正面に今日の宿、馬ノ背ヒュッテが見えてきた。すぐに着くと思ったが、藪沢小屋を経由して20分以上もかかってしまった。

 広河原行きのバスは一台分の人数が集まれば、随時出発するとのことだが、野呂川沿いに歩くのも一考だ。「乗せて頂かなくて結構」一人になれば意地も通せる。勇躍と北沢峠を後にする。時折、マイクロバスが追い越して行く。登山靴で歩くにはふさわしい道とはいえないが、もちろん後悔はしない。(でも、昨日は皆を歩かせないで良かった。一生恨まれたかも・・・)紅黄葉し始めた渓谷沿いの標高差500mくらいの林道を下ること約2時間、車を停めた広河原に着いた。               アクセスカウンター

 13:40馬ノ背ヒュッテに到着、受付で「今日は非常に混み合ってます。頭と足を交互に且つ、半身で寝ていただきます」と告げられる。
「アー!、やっぱり・・・」
 しかし、Uさん夫妻は山小屋とはそんなもんだと思っているようで、大して気にならないようだった。聞き伝てによると、今年一番の混み具合だそうだ。予約のない人は宿泊を断られたという。

馬ノ背ヒュッテと小仙丈岳

建設中の仙丈小屋

 翌日も快晴。夕食後に渡された、朝食用のお弁当を食べ、5時40分ヒュッテを出る。すがすがしい空気の中、朝日が紅葉し始めた山の斜面を照らし出している。快適な山歩きだ。建設中の仙丈小屋手前の水量豊かな水場で休憩後、大勢の人で賑わう仙丈岳山頂着。快晴の空の元、噂に違わぬ雄大な展望。写真を撮り、地図を広げて山座同定など1時間近くもその景色に見とれてしまった。

 名残の尽きない山頂を後に、ちょっとした捲き道も避け,岩稜の小ピークを丁寧に拾う.終始正面に甲斐駒ヶ岳を見ながらの稜線歩きは快適そのもの.立ち止まってはシャッターを切り、腰をかけては景色を楽しみ、ゆっくりゆっくりと天下一品の眺めを楽しみながら小仙丈岳に到着。ここでも飽きずに小1時間ほど時間を過ごす。

 小仙丈岳から北沢峠までは1時間10分ほどで一気に下る。まだ11時だ。長衛荘で、翌日甲斐駒に登る3人の宿泊手続きを済ませ、明日は桃ノ木温泉バス停で落ち合うことを約し、皆と別れる。

仙丈岳(右)を振り返って

小仙丈岳より甲斐駒と八ヶ岳