花は咲けども,楽しむゆとりは今一歩


 静岡を出て約10時間,登山口の小田越に6時過ぎに着く.朝食後,リーダーの「今日は花を楽しみながら,ゆっくり登ります.くれぐれも私を追い越さないように」との注意を合図に出発.
 大鳥居をくぐり,木立の中の木道を行く.樹林を抜け視界がひらけたあたりで一休み.振り返ると,薬師岳がきれいに裾野を引いて対峙している.小田越の小屋が小さく見え,思ったより高度を稼いだ気になりホッとする.
 ハイマツと岩間のあちこちにお花畑がある.ハヤチネウスユキソウくらいは記憶してきたが,あとは赤やら白やら黄色やら可憐な花としか書けないのが情けない.
 急登にさしかかるあたりから,『ゆっくり登ろう』はどこへやら,先を行くパーティーを次々と追い越していく.花を楽しむどころではない.皆についていくのがやっとである.長い鉄梯子を登ると,ほどなく稜線に出る.
 湿原帯のお花畑に敷かれた平坦な木道で,ようやく余裕のルンルン歩行となるが,花は期待はずれ.頂上直下で「何時頃から登りはじめましたか?」と聞かれ「6時50分頃です」と答えると「私たちより1時間もあとからのぼりはじめたのですね・・・・」と言う.感心されたのか,呆れられたのかは定かではない.
 山頂から眺める山々はなだらかだ.東北特有のゆったりした山並みが広がる.早池峰神社奥宮の祠の前で記念写真を撮り,下山.対岸の薬師岳や岩陰の花などを楽しみながら下りたいのだが,とてもそんなゆとりはない.急勾配の下り道は浮き石が多い上,多くの人に踏まれ続けた石はツルツルでよく滑る.寝不足で足下がおぼつかないこともあり,妙に疲れる.
 水場の頭垢離で休んでいると,「Kさんが転倒した」との連絡.リーダーが様子を見に戻る.不安な気持ちで待っていると,リーダーの肩に手を添えながらゆっくりとKさんが降りてきた.とりあえず皆ホッとする.しかし,すっかり安心できるほどの軽傷ではなさそうだ.
 渓流添いの路は少しは歩きやすくなったとはいえ,相変わらず滑りやすい岩とごろごろ石が続く.11時前に,バスが待つ河原坊に着く.Kさんも自力で下山.盛岡IC近くの日赤病院でケガの手当をして,岩手山麓の網張温泉に向かう.

アクセスカウンター

早池峰山頂

小田越6:50→8:30早池峰山9:00→11:00河原坊

【山 名】早池峰山(1913.6m)
【日 程】1997年7月19日
【天 候】快晴
【同行者】いつもの山仲間
【行 程】

更新:2013/08/22