荒涼とした山肌から真っ白な噴煙が青空に

【山 名】沓掛山,久住山,中岳
【山 域】九重
【年月日】1997年4月29日(火)
【天 候】快晴
【同行者】U.Mさん,O.Aさん
【交 通】静岡→別府:夜行寝台(特急 富士)
【アプローチ】別府駅→由布岳登山口→湯布院IC→やまなみハイウエイ→長者原−(バス)→牧ノ戸峠
【コース】牧ノ戸峠12:00→12:26沓掛山→13:05扇ガ鼻→13:24避難小屋→13:48久住山山頂14:06→14:19中岳分かれ→14:33天狗城→14:45中岳山頂14:57→15:54法華院温泉(泊)

久住山々頂


 夜行寝台「富士」で静岡を出て14時間。生まれて初めて乗る寝台車、眠りが浅くあまり眠れなかったが、体を伸ばし横になっていられるのは非常に楽なものだ。座った状態の夜行バスではせいぜいウツラウツラする程度。疲れ具合は大違いである。

 4月29日朝9時20分頃別府に着く。予約済みの駅レンタカーの手続きをする際に、まだ決めていなかった3日目の宿を紹介してもらう。9時40分頃、これも生まれて初めての、レンタカーを運転し牧ノ戸峠に向かう。レンタカー屋さんから「高速も一般道路も違わない」といわれ、一般道を行く。
 由布岳登山口付近の路上に、駐車場をあふれて多くの車が駐車している。ゆっくりと由布岳を見たいのだが、先を急ぐのでノンストップで通り過ぎる。由布院ICとの合流点でチョットした渋滞に遭ったものの、長者原に11時5分頃到着する。

 真っ先に牧ノ戸峠に向かうバスの時刻表を見ると、11時5分発がある。5,6人の人が待っている。間に合わないとは思いながらも、あわてて荷造り、運良く大幅遅れのバスに乗ることができた。バスの運転手さんがガイドも兼ね、三俣山や噴煙の解説をしてくれる11時40分頃牧ノ戸峠着。先ず、予約時の指示に従い法華院温泉山荘に「今、牧ノ戸峠です。これからそちらに向かうのでよろしく」と電話を入れる。

 峠の茶屋で昼食をとり、登り口でU.Mさんが登山記録に記帳して12時ちょうどから登り始める。
 やまなみハイウェイの最高点(標高:1333m)牧ノ戸峠の売店横のコンクリートの急坂を登る。26分で沓掛山に着いた。遠く阿蘇山がかすみ、三俣山が前方にそびえる。

牧ノ戸峠登山口

 星生崎(ほっしょうざき)の下を越えて避難小屋のある久住別れに出る。荒涼とした山肌のそこかしこから真っ白い噴煙がモクモクと噴き出し青い空に消えていく。
 目の前に聳える久住山にはまっすぐ火口の縁まで登り、右へ大きくカーブしながら山頂(1786.9m)へ至る。360度の展望が広がり阿蘇山や祖母山が印象的だ。

急崖を下ってカラマツ林を過ぎ、坂を登り灌木帯に入る。そこを右に上がれと台地に出る。やがて扇ガ鼻への尾根を登るようになり鞍部に着く。ここからが西千里ガ浜と呼ばれる草原、1500〜1600m程度の標高でありながら、樹木はまばらだ。九重山群は火山なのだとあらためて知る。視界を遮るものもほとんどなく、前方に目指す久住山が顔を出す。

久住山頂より北側を見下ろす

 岩だらけの山頂に別れを告げ、中岳へ向かう。来た道を引き返したのだが少し下ったところで左へ曲がらねばならないところを、まっすぐに下ってしまった。見覚えのない風景にすぐ気づいたが、霧にでもまかれたら迷うこと必定である。分岐のところに標識一つないのが不思議だ。山仲間のAさんが迷いこんだのもこの道ではないかと想像した。牧ノ戸峠から久住分かれまで頻繁に目にした標識が久住山を過ぎるとほとんど見あたらなくなる。

 空池に沿ってしばらく歩くと御池を右下に見下ろす尾根にでる。天狗城を越え、中岳に登る。中岳(1791m)は九州本土の最高峰だ。行く手の眼下に白口岳が見える。頂上で休んでいた人から「白口岳→鉾立峠→法華院温泉の尾根道より、途中から左に折れ、谷筋の道で法華院温泉へ行く方が楽である」と教えて頂く。

御池

 稲星山を見ながら東千里ガ浜に下る。直進の白口岳また、久住高原への下山コースを右に分け、十字路を左折して直接法華院温泉山荘に向かう。別府大学ワンダーフォーゲル部の人たちを追い越し、ガレ場の迂回路が合流してしばらくすると、行く手下方に坊がつるの展望と法華院山荘の赤い屋根が目に入る。
 法華院温泉山荘着、15時54分。宿泊の手続きを済ませて部屋に入る。部屋の窓から大船山と平治岳がよく見える。1泊500円も高い部屋であるのもうなづける。
 部屋からの眺めのすばらしさとは裏腹に、温泉とは名ばかり。夜10時(8時過ぎ頃から入り口に鎖がしてあった)までの入浴は仕方ないにしても、朝は入浴できないとのこと。マ、山荘だから仕方ないとも言えそうだが……。

法華院温泉山荘

【坊がつる】
【年月日】1997年4月30日(水)
【天 候】小雨
【コース】法華院温泉7:41→8:38雨ガ池→9:22長者原

 昼間の晴天が嘘のように、夜半過ぎ頃から激しい雨となる。半日この雨が早かったらとゾッとする。空が白む頃から、小雨模様となる。今日はとりあえず長者原までの2時間程度の九州自然歩道歩きだ。「雨ガ池コースは雨模様の方が風情がある」と自分を慰め朝食後、雨への完全武装をして7時40分頃、法華院山荘を出発する。
 小雨に煙る坊がつる、大船山と平治岳を背景に広がる湿原、われわれ以外人影もなく静まり返っている。ミヤマキリシマの大看板を入れて記念写真を一枚。
 長者原まで下りばかりと思っていたが、緩やかとはいえ結構登りがある。路傍には時折ボケの花が見受けられるが、他の花はほとんど見あたらない。たった一輪のイワカガミが印象的だった。
 歩き始めて小一時間、木道の傍らに雨ガ池が現れる。雨でできた水たまりほどの池だ。昨夜の豪雨でできたのだろう。この付近は、なだらかな草原で、水の通り道である溝が幾筋もある。
 道は緩やかな下りだが、石がゴロゴロ、木の階段は土が流され丸太だけが無惨に残り、歩きにくいことおびただしい。しかし原生林の新緑がとても美しく、気分は悪くない。この道には小雨が似合いそうだ。
 法華院山荘を出て1時間40分、昨日、レンタカーを駐車した長者原に着く。雨のせいか人影もまばらである。雨具を脱ぎ、そさくさと支度を済ませ、阿蘇へ向かう。

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更新:2013/08/22