大迫力の敬慎院勤行

【山名】七面山(1982m),八紘嶺(1918m)
【参加】うるさん,おりさん,HP管理人
【日程】1996年12月28−29日

12月29日(日)快晴
敬慎院7:32→8:16七面山山頂8:28→8:46希望峰8:56→9:42第2三角点9:50→10:29インクライン跡10:33→11:24八紘嶺山頂12:10→12:45富士見台12:50→13:08林道出合い13:12→登山口13:39→13:44梅ガ島バス停


【表参道】
 身延駅から30分足らずでタクシーは表参道入口(登山口)に到着。登山口の反対側、羽衣橋の向こうに白糸の滝(別名:お万の滝)が見える。寛永17年(1640)徳川家康の側室お万の方が64歳の時に、この滝で身を清め七面山に女性として初めて入山、以後、女人禁制が解かれたという。
  身支度を整え出発。杉林の中の幅広の表参道登山道は良く整備されていて歩きやすい。普段は毎日、白装束・団扇太鼓の信者さん等多くの人が全国から参詣に訪れているそうだが、さすがに今日は信者さんの姿はない。

 燈篭型の町名石に赤字で一町目と書かれているのが目に付いた。以後、順に二・三・四町目と、結果として五十町目の燈篭が敬慎院であった。何組かの登山パーティーを追い越し、二十三町目の中適坊付近で昼食。ガスコンロで湯を沸かしカップラーメン等を食べる。いつもの山仲間と行くときより,ちょっぴりゆとりの時間だ。
  三十六町目の晴雲坊でおばさんに「敬慎院まであとどれくらいか?」と聞くと「早ければ、40分、遅くとも1時間あれば着く」と言う。

【敬慎院】
 受け付けのお坊さんに「七面山までどれくらいで行けますか?」とたずねると、「今日は登れません!」と言われた。「何故?」と問い返せないほど、恐そうなお坊さんで取っ付きにくい。お坊さんに案内された部屋は2間続きで40畳ほどあった。先客の登山者2人が炬燵に入り居眠りをしている。先ほど叱られた(?)ようでもあり、仕方なく、部屋でじっとしていることにした。しばらくすると、次々と宿泊客が入ってきた。全て登山者で我々を含め、16人。

アクセスカウンター

 3時から風呂に入ってよいとのこと。ガイドブックには混浴と書いてあったが、実際は男女別風呂だった。ステンレス製の浴槽は男子4人が一緒に入れる大きさだ。石鹸などの使用は禁止、汗を流し、温まるのだけで満足。

 夕食は5時。ひじき、じゃが芋の煮付け、漬物だけの粗末な晩餐だ。部屋の全員で一緒に食べる。側面に大映株式会社と書かれた銘々膳は撮影に使われたもののお下がりだろうか?。2合入りのお神酒2本が下される。台所までの後かたづけはセルフサービスだ。

 6時から日蓮宗の守護神、七面大明神のご開帳。登山の無事などの祈願後、一パーティ毎、「○○殿!」と代表者の名が呼ばれ御札を受ける。本堂は2℃以下だ。25分くらいの儀式の間に、すっかり身体が冷え切ってしまった。

 休むまもなく、6時30分から勤行。大勢の僧侶のお勤めに参列。セーター、ヤッケ、チョッキなど5枚を着重ねてもまだ寒い。30分以上にわたるお勤めのクライマックスは、腹の底まで響き渡る4個の大太鼓とお題目『南無妙法蓮華経』の大唱和。大変な迫力に、思わず拍手をしたくなった。大僧正の説法によると、日蓮の弟子、日朗が永仁5年(1297)に七面山を開山したそうだ。来年で700年にもなる。

 部屋に戻ると布団が敷いてある。敷き布団・掛け布団とも6、7人用の細長いロール状のものだ。身体が冷え切っており、眠れそうもない。再度、風呂に入り温まってから眠る。消灯、9時。

【七面山】
 宿坊に戻ると食事の支度ができている。昨日と同じ、精進料理だ。早々に食事を済ませたが、予定より30分遅れの7時半頃の出発となる。
 七面山までの道はかなりのところが雪に覆われていた。急斜面ではアイゼンを使うほどではないとはいえ、滑り易くとても登りにくい。8時16分、山頂着。樹木が大きくなり、さほどの展望はない。笊ヶ岳の左に布引山、その奥に赤石岳。笊ヶ岳の右は荒川三山、塩見岳が姿を見せている。南隅が少し欠けた2等三角点をなでたり、記念写真を撮っていると、次々に敬慎院で一緒だった人たちが登ってきた。春日井市のご夫婦、女性3人のパーティー、単独行の男性達だ。我々と同じく梅ヶ島まで縦走する予定の女性2人のパーティーはまだ姿を見せない。

【八紘嶺】
 八紘嶺に向かう道はなだらかな尾根道。右手には冬枯れの雑木林越しに南アルプス、左後方には富士山が見える。鼻歌が出るほど気持がよい。しばらくして雪の急斜面を数回こなすと、あっけなく八紘嶺山頂出るに出る。振返ると真っ青な空に雪化粧の富士山が美しい。小広い山頂にはわれわれ3人だけ。 何度か登頂しているおりさんによると「こんなことは初めてだ」とのこと。そういえば、今年の7月初旬、小雨でまったく展望がないにもかかわらずこの山頂に何組みものパーティーが休んでいたのを思い出す。
 南アルプスを背に3人で記念写真後、昼食とする。ほとんど風はないものの、山頂は8℃、ラーメンがことのほか美味しい。40分以上の時間も瞬く間の感じで、山頂での至福の時に別れを告げる。

【下山】
 下山開始直後、七面山以来初めて男性2人、女性1人のパーティーに出会う。「七面山に向かうが、途中でキャンプをする」とのこと。下山路左手に、今たどってきた七面山からの山並みが見える。下り初めて20分、家族4人のパーティーに出会う。奥さんがかなり疲れている様子で「頂上まであとどれくらいか?」と聞かれる。「ゆっくり登っても1時間はかからない」と告げるが、あまり喜んだ様子はなかった。
 富士見台からの富士の展望も名称に恥じずすばらしい。目を転ずると、反対の山伏側はガスが出始めているものの、眼下の阿部川がくねくねと太陽の光を反射して照らし出されているのが印象的だ。
 富士見台から20分足らずで林道出合いに到着。一休みして、石のごろごろした歩きにくい道を下ること30分、登山口に着く。バス停はさらに5分ほど下ったところだ。バスの発車まで、1時間40分以上ある。バス停前の梅薫楼でゆたりと温泉に浸かった後、ビールで乾杯。テレビで有名な手塚昭次氏に足を見てもらうおまけつき。「肝臓が疲れている」と言われたが、当るも八卦・・・???。いずれにしても注意をしよう。
 静岡駅に向かう帰りのバスの中では心地よい居眠もでた。年末の静かな山旅は思いのほか印象深かった。うるさん、おりさんに感謝。 

【交通】往路
 8:43 静岡発 JRワイドビューふじかわ号(3250円)
10:04 身延着
10:15 発 タクシー(6890円)
10:40 表参道入口着
復路
15:28 梅ガ島発 バス(1450円)
17:30 静岡

敬慎院御来迎場からの日の出

【行程】
12月28日(土)快晴
表参道入口10:50→13町11:30→12:05昼食12:35→36町13:30→14:05敬慎院

【七面山〜八紘嶺縦走】
 8時半頃、七面山山頂出発。20分足らずで南アの展望台、希望峰に到着。真っ青な空に雪の南アルプスが映える。10分ほど堪能し、希望峰を後にする。樹林帯の尾根道の所々の幹や枝に赤テープが巻いてあり迷う恐れはない。歩調は快適、絶好の登山日よりだ。

 一休みした第2三角点を数分下った行く手に八紘嶺が現れる。その右手には山伏も見える。急斜面を慎重に下ると、真っ白な雪に覆われた笹道だ。白樺とダケカンバの明るい南斜面を下ると、背丈ほどの笹に覆われた雪道。ところどころに太い倒木があり、乗り越えるにけっこう大変な思いをする。10時半頃、明るい平坦地のインクライン跡に着く。道標はなぜかインクラ跡となっていた。

表参道登拝口

敬慎院

  四十五町で一休み。しばらく歩いて門(玄洋門)をくぐる。ゆるい坂をピッチを上げて登ると、突然、両脚の太腿がつるような感じになり、ベンチに座り込む。普段ちっとも歩かない報いがきたようだ。しかし、敬慎院はもう目の前、ちょっと休んで午後2時頃、本日の宿である敬慎院に到着。

【日の出】
  午前6時起床。日の出は6時45分頃とのこと。6時半からの朝のお勤めへの参列は断念し、出発の準備を整えてから御来迎場に向かう。宿坊から5分ほど登ると、随身門の中に富士山が見える。門をくぐった所の広場が御来迎場だ。すでに大勢の人がカメラを構えている。

  日の出前の薄明かりにそびえる半シルエットの富士山は荘厳さを感じさせる。冷え込みの中、聞いた時間になってもご来光の気配はない。7時5分頃ようやく富士の右手裾野から日が昇る。地平線が見る見るうちに茜色に染まる様は、いつ見ても感動のひとときだ。

七面山山頂

日の出前の御来迎場

希望峰より南アルプス

八紘嶺山頂

八紘嶺山頂からの富士山

更新日:2013/08/23