【大峰山】紀伊の名峰 奥馳け

報告者(文) 赤池 晋さん
山 名 大峰山、山上ヶ岳
山行日 1996年11月2〜3日
同行者 いつもの山の仲間
コース 天川川合→頂仙岳→八経ヶ岳→弥山小屋(泊)→天川辻→大普賢岳→山上ヶ岳→清浄大橋→洞川温泉(泊)
一浴温泉情報
 洞川
 温泉センター
tel:0747-64-0800 11:00-20:00 \510  
天川村営の日帰り専門温泉。内湯のみだが、建物や浴室に吉野杉をふんだんに使ったぬくもりのある湯場。泉質は無色でサラッとした湯ざわり。
 天の川
 温泉センター
tel:0747-63-0333 11:00-20:00 \510
吉野杉・桧・松・楓を使った建物。浴槽は高野槇。「木」にこだわっている。山の木々の緑がせまる露天風呂(男女)も完備。
 みずはの湯 tel:0747-63-0333 11:00-20:00 \510
平成11年にオープンした薬湯センター。天川村栽培の薬草「トウキ(当帰)」を中心に配合した薬草露天風呂 がメーン。内湯もある。

 大峰山脈は紀伊半島の背梁で、中央の八経ヶ岳は近畿の最高峰だ。又、北の山上ヶ岳は修験の道場で、未だに女人禁制を守り続けている珍らしい山だ。その為大峰山は八経ヶ岳を登頂すれば良しとされ、行者還トンネル西口から往復5時間程で登れる。しかし、大峰山の魅力は修験者の奥馳修業が行われる峰々の縦走にあり、今回の川合から入山し、祢山・八経ヶ岳・行者還・七曜・大普賢・山上ヶ岳・洞川の縦走コースは、女性会員には気の毒だが山好きには願ってもないコースだ。ただ山上ヶ岳の宿坊が9月下句で閉ざされ、2泊3日のコースを1泊2日で歩かねばならない。

静岡OAA会報抜粋

大峰山(八経ヶ岳)山頂

 11月1日静岡市役所前21時発。バスは快調に西下、2日早朝、山に囲まれた吉野の山奥天川村役場前に着き山行準備。昨夜来の小雨は上がる気配が無い。今日は標高差1280m、コースタイム400分。吉野杉の美林の中を登り始めて栃尾辻へ着く、更に数回のアップダウンの後、滝の音が聞こえ吊橋を渡ると狼平の避難小屋があった。更に急登を黙々と登り天川弁財天奥宮が祠られる祢山山頂に着いた。祢山小屋から直ちに八経ヶ岳へ向う。下り80m登り100mの鞍部付近はオオヤマレンゲの大群落で、7月には木蓮に似た花が芳香を漂わすことだろう。雨は上がっていたがガスの消える事を祈って登ったが真っ白だった。早々に小屋に引揚げ夕食迄の一時は定番の酒盛。皇太子さんの泊られた寝床で昨夜の睡眠不足を取り戻す。

 11月3日晴。6時20分御来光を拝んで今日の長丁場に挑む。樹の間越しに行者還岳から山上ヶ岳の稜線がしきりに登行意欲を煽る。300mを一気に下り聖宝の宿跡。後はブナの原生林の稜線をルンルンで歩き天川辻迄一息で飛ばす(貯金30分)。ここで縦走班は紅葉探勝班と別れ、リーダーは予定8時間を6時間半で歩くと強気。吾々は意を決して行者還岳に挑む。

  小普賢岳へ登り200m下って、更に阿弥陀ヶ森へ登り返すと初めて見る木製の結界門があった。『宗教的伝統に従って女性がこの門より向こうへ登る事を禁止します』と。「これかぁ」思わずつぶやく。急にだんまりになり、竜ヶ岳を越えて小笹の宿避難小屋が見えた。苔の間にルート唯一の流水の汲める水場だ。朱のお堂が場違いに感じられる静寂さだった。最後の山上ヶ岳へは後の矢崎さんが六根清浄を大声で唱えるうちに大峰山寺本堂広場へ着き、全員で左の山頂を目指す。祢山、稲村ヶ岳が陽射に輝いていた(貯金120分)。

阿弥陀ヶ森の女人結界門

 行者還の宿から捲道で長い木梯子を伝って稜線に取付く。山頂はパス。次は七曜岳、梯子、アングル、鎖で岩綾を登るがたいした難所ではない。狭い山頂には三角点と展望があるが横睨で素通り、下りも同じような難所越し。国見岳、弥勒岳をいつしか通り大普賢岳への100mの直登が始まる。途中の水太覗で絶壁の上から水太谷を眺める。尖峰の山頂は狭いが祢山、稲村ヶ岳が望めた。下がった所に和佐又分岐があり、多勢の人達が行交う。

山上ヶ岳山頂

 閉ざされた本堂、宿坊を後に下山。断崖の西の覗、鐘掛岩を覗いた後今までに見たことも無い長い木の階段を駆け下り、幾つかの無人の茶屋を通って清浄大橋へ向って走り歩く。ここにも結界門があった『従是女人桔界』。先着6名は洞川まで更に遊歩道を駆け下った。予定より3時間早く、15時に清浄大橋に着いた。奥馳けの荒行を地でやったと自己満足だけが残る山行だった。樹林帯を歩いたので疲れからは救われたが、大普賢岳から東に派生する笙ノ窟尾根が鋸の様な岩綾で見応えがあり、ポイントの行者還岳と七曜岳を素通りしたのが惜しまれました。

清浄大橋の女人結界門

11/02 行程(着時刻)
場 所 着時刻
天川村川合 発 7:10
栃尾辻 9:55
狼平 12:00
弥山 13:00
八経ヶ岳 14:15
弥山小屋(泊) 14:50
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 信仰心の乏しい私には山上ヶ岳は特別の感慨も無かったが、女人結界を潜った事だけが強く印象に残った。洞川温泉に予想外に早く着き、川迫川探勝組からびっくりされたが、皆さんも紅葉を堪能され、更に鍾乳洞観光をしてきたと大喜びだった。洞川温泉の一夜は楽しく夢の様に過ぎてしまった。4日はのんびりと帰路についた。

11/03 行程(着時刻)
場 所 着時刻
弥山小屋(泊) 発 6:25
弁天ノ森 7:21
天川辻 8:50
大普賢岳 11:13
女人結界門 12:12
山上ヶ岳 13:10
清浄大橋 14:55
洞川温泉 15:40

更新日:2013/08/23