今年は雪が多いと聞いていたが、早くも一の瀬休憩所から雪道である。三平峠を越えしばらく下ると、分厚く雪に覆われた尾瀬沼が視界一杯に広がって見えた。背景は燧ヶ岳だ。
 大清水から三時間近い雪道の苦労を一瞬に吹き飛ばしてくれる展望だ。
 全員で記念写真を撮り、長蔵小屋へ向かう。途中、記録的な大雪に餌を求め力尽きたのであろう、半ば雪に埋もれたかもしかの亡骸に出合う。合掌。

残雪たっぷり尾瀬の山


尾瀬ヶ原より至仏岳

 長蔵小屋の前は三メートル以上も雪が積み上げられていた。一息いれた後、燧ヶ岳に登り下田代十字路の燧小屋へ向かう登山コースと巻道を行く沼尻コースの二手に分かれる。
 全面雪に覆われたなだらかな道もしだいにきつくななる。最後は這いつくらんばかりとなって登る。13時頃、双耳峰の一方、俎嵒着く。眼下の尾瀬沼と彼方に広がる日光連山の絶景が、3時間強にわたる苦闘のご褒美だ。

俎嵒(マナイタグラ)山頂

アクセスカウンター

 雪の斜面下りを満喫しながら燧小屋に16時前に無事到着。
 翌朝は尾瀬ヶ原の散策だ。半ば雪に埋もた木道を至仏岳を正面に見ながら山の鼻へ向かう。諦めていた水芭蕉も所々で姿を見せる。
 鳩待峠でバスに乗り戸倉温泉で入浴後昼食。帰路、東洋のナイアガラと呼ばれる「吹割の滝」に寄る。例年にない大雪のためか、遊歩道にまで押し寄せるほど勢いのある雪解け水が、幅数十メートルの割れ目に落ち込む様は、迫力満点でした。

 鞍部まで下ると、雪をべったりと着けた急斜面が待っている。下山の人に連れられた犬は、おびえきって尻尾を丸めへっぴり腰。それを見ても笑う余裕はない。ひたすら前の人の踏み跡を一歩一歩力を込めて蹴込みつつ、慎重に歩をすすめる。
 最高峰の柴安嵒に着きようやく緊張から開放された。広大な雪の尾瀬ヶ原の向こうに悠揚とした至仏山の眺めが印象的だ。

柴安嵒山頂直下をつづら折れに登る

柴安嵒山頂

大清水6:00→6:55一之瀬7:05→三平峠8:25→9:30長蔵小屋9:50→12:55燧ヶ岳→15:55燧小屋

【山  名】燧ヶ岳
【山行日】1996年6月1日
【同行者】いつもの山仲間
【行  程】

更新日:2013/08/23