管理監督者はとにかく褒める努力を 
  一般的にいえば、俳優の演技というのは気に入らないことが多いものです。ああそうじゃないな、といつも思っている。頭からおしまいまで、監督がぼんやり見惚れるようないい芝居をする俳優もときたまいるけれども、だいたいがそうではないほうが多い。
  しかし、そういう場合でもどっかに褒めるところを見つけようと、努力しなければならない。俳優には自信をもたせなくてはいけないのです。監督がそういう努力をしていればスタッフもその気持ちになっていきます。みんなやさしい気持ちで、たとえば若い女優が緊張してカメラの前に立つときなどは、衣装部さんも小道具さんも結髪さんも労るように見詰めるというようになる。あるいは陰でやさしい言葉をかけてリラックスさせてやったりする。そういう労りの気持ちが俳優を勇気づけるのです。
映画監督 山田洋次
出典:【寅さんの教育論】山田洋次著

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